「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「旧正月」の「旧」。今年の旧正月は一月二十八日です。



「ふるい」「ひさしい」とも読む「旧」という字。

縦棒を一本ひいてその横に「日」と書きますが、そのなりたちは、旧字体(舊)からひもとくことができます。

「旧」という字のもとの字は、草かんむりの下に「隹(ふるとり)」を書き、さらにその下に「臼(うす)」という字を組み合わせます。

「隹」の部分は、ずんぐりとしたみみずくの姿。

その下の「臼」の部分は、足をはさんで鳥を捕らえる道具を表しています。

この二つを組み合わせた旧の古い字体(舊)は、みみずくが罠にかかって動けなくなった様子を示しているのです。

そこで「旧」という字は、捕まったみみずくがそこに留まる様子から「時間がたつ、ひさしい」という意味になり、さらに、時間がたてば「ふるくなる」ため、「ひさしい、ふるい」という意味ももつようになったのです。

みみずくは「羽の角(つの)」と書いて「羽角(うかく)」と呼ぶ耳飾りが特徴の、ふくろう科の一種。

彼らは夜中に活動するため、暗闇でも獲物を確実にとらえることのできる、高い身体能力を備えています。

視野を確保する、正面を向いた大きな瞳。

音を立体的にとらえて獲物の位置を特定する、左右の位置がずれた耳。

飛び立つときの羽音を消す、ビロードのようななめらかな羽毛。

そして、敏捷な狩人としての姿の合間に、ふと、思慮深い表情を見せてもくれる。

その様子に親しみを抱いたいにしえの人たちは、彼らを「森の哲学者」と名づけ、絵画や物語、置物や飾りのモチーフにしたのでした。

ではここで、もう一度「旧」という字を感じてみてください。

古代、西洋においては知恵や学問のシンボルだったふくろうたち。

日本人にとっても「苦労をしない」「福を招く」といった語呂あわせや、その愛すべき風貌から、身近な存在となっていきます。

国語の教科書でもおなじみのアメリカ人作家、アーノルド・ローベル。

彼の絵本「ふくろうくん」(※原題「OWL AT HOME」)も、人気の一冊です。

ひとり暮らしのふくろうはある日、「なみだのおちゃ」をいれるため、悲しいことを考えて泣き、やかんになみだをためていきます。

こわれた椅子、歌詞を忘れて歌えなくなった歌、なくしたスプーン。

そうしてためた涙で沸かしたお茶をのみ、しあわせな気分を取り戻すのです。

もう会うこともない古いともだちや、久しく忘れていた喜びのとき。

大切な記憶を呼び覚まし、そのぬくもりを抱きしめる冬の夜。

孤独を味わい深いものにする知恵を、ふくろうがそっと授けてくれます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『フクロウの大研究 知恵と学問の神といわれる鳥』(国松俊英/文 関口シュン/絵 PHP研究所)

『フクロウになぜ人は魅せられるのか わたしのフクロウ学』(小林誠彦/著 木魂社)

『ふくろうくん』(アーノルド・ローベル/作 三木卓/訳 文化出版局)

1月28日の放送では「待」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

<番組概要>

番組名:「感じて、漢字の世界」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/



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聴取期限 2017年1月28日 AM 4:59 まで

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