危険度チェック! 悪徳病院&ダメ医者の見分け方

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医療ミス、費用の過大請求……事故を防ぐには、病院&ドクター選びが重要。チェックリストで自分と家族を守ろう!

■医療もビジネス、医者は商売人である

ご存じのとおり、いまは公立病院でさえ倒産する時代。大規模病院がこうなのだから、今後、中小規模病院の倒産や廃院が増え続けるのは確実です。倒産や廃院の原因の多くが、患者数の減少と不況による経営悪化。これこそが、医者と医療をダメにする最大原因なのです。

経営悪化は医療の質を低下させ、さらには医者のモラルも低下させる。モラルの低下した医者(経営者)は、患者を人間と見ずに被験者として扱うことも。保険料の不正請求は日常茶飯事化し、医療従事者を削減して、患者よりも経営=お金を最重要視するようになります。医療従事者の不足は、医療過誤を引き起こしやすくする。そういった危険な病院(医者)に遭遇しないためには、「健康である」ことが第一ですが、誰もが医者にかかる可能性があるため、患者側の自衛策として、「医療もビジネス」=商売である、と頭に叩き込むことが大切なのです。

一般企業がそうであるように、病院経営も儲けがなければ先はない。儲けるためには患者を増やし、通い続けてもらうことが必要。だから医者は、薬を大量に処方し、不要な検査を繰り返し、いつまで経っても「もう来なくていいですよ」と、宣言しない。なぜなら、医者は患者が健康になると儲からない仕事だから。もちろん、すべての病院や医者が悪徳なわけではありません。給料は二の次、患者のために身を粉にして働いている医者も多くいることを忘れないでください。

いま、人々が「名医」と呼ぶのは「手術がうまい」医者であることが大半。また、最新機器を駆使して治療に当たってくれる病院を「いい病院」と呼ぶことも。これは、医療がかつてより高度化、専門家したからです。内科系の医者であれば、最新画像診断の分析力、判断力が求められ、外科医であれば、難しい手術を成功させる力量が求められる。いざというとき、メディアで紹介されるような「神の手」を持つ名医にお願いしたいと思うのは誰しも同じ。しかし、すべての患者の希望が叶うわけではありません。だからこそ、少なくとも金儲け主義、腕の悪い「悪徳病院やダメ医者」を見分ける力だけでもつけなくてはいけないのです。

とくに民間の個人病院では、金儲け主義に陥るとそれなりの傾向が表れてきます。「いつもすいている病院」は、もはや論外。ただし、すいているのを隠そうと患者のサクラを雇い、いかにも繁盛しているように見せる病院もあるから要注意です。豪華な待合室や、最新機器の多さに惑わされてもダメ。設備投資は経営を圧迫します。経営者であれば、少しでも早く「元を回収」しようと考えるのは当然。ちょっとしたことでも最新ハイテク機器で検査しようとする病院なら、「カモ」にされていると思っていいでしょう。利益を挙げられる病院(医者)というのは、人件費をうまく切り詰めているか、節税対策がしっかりしている病院(医者)だけ。「利益と患者サービスは相反する」と知れば、病院にかかったとき自ずと冷静になれるはずです。

私はかねてから「医者の常識は世間の非常識」と公言しています。医者の多くが、自分は社会的ヒエラルキーの上位にいると思い込んでいること、さらに勉強ばかりしてきたことで、他人とのコミュニケーション能力が極めて低い傾向にあるから。しかし、医者とは本来はサービス業であり、患者と医者の関係は消費者とサービス提供者にすぎない。なのに、多くの医者は消費者である患者を見下している。病気というものは少なからず人間の心理も影響します。“病状をきちんと説明したうえで患者を励ますことができる”コミュニケーション能力の高さも、「名医」の条件。しかし、現在はこれができない医者が多いから問題なのです。

▼病院チェック15のポイント

ご近所のあの病院は大丈夫!? 患者は二の次! 儲け至上主義の危ない病院には、こんな傾向がある!

※ここでの「病院」とは、大学病院や公立病院ではない、個人経営の中規模病院を指します。

[1]いつもすいている――待ち時間0分&患者1人あたりの診療時間も十分確保してくれる個人病院が、「長時間待ちの大病院よりいい」は、ありえない。評判が悪く患者が来院しない可能性もある。外来患者が常に少なければ、病院の経営状態が“危険”であるのは間違いない。

[2]スタッフが少ない――医療に関わるスタッフの数をまず確かめよう。治療の成否は「スタッフの充実」如何にかかっている。とくに手術や入院の際、看護師などのスタッフが少なければ少ないほど、医療ミスの確率が上がると頭に入れておきたい。

[3]看護師が忙しそう――「利益第一主義」の病院は、待合室に患者が大勢いるのに、1人の看護師がコマネズミのように忙しく走り回っているのが特徴。「患者サービスより利益追求」のため人件費を削っている可能性がある。医療ミスの不安も高まる!

[4]若い看護師ばかり――ベテラン看護師が1人もいない病院は、要注意。医療や現場を熟知したベテラン看護師がいると、ミスも起きにくくなるという傾向が。看護師が美人で若いとうれしい男性患者もいるが、それだけでは安心して医療を任せられない。

[5]受付が無愛想――接客が下手、または欠如した病院は信頼できない。スタッフ教育が行き届いていない証拠だ。サービス業同様、スタッフが患者の不安を和らげ安心感を与えるのは基本のき。医者の技量だけでは病院は成り立たない。受付があまりに無愛想な個人病院なら、論外のダメ病院だ。

[6]どんな急患も大歓迎――儲け主義の病院は、儲かることなら何でもやる。たとえ専門医がいなくても急患を受け入れれば、どんな処置でも点数は上がる。当直医が整形外科であっても心筋梗塞の患者でさえ受け入れる。これでは助かるものも助からない!

[7]スタッフのユニホームがバラバラ――赤字病院がまず着手するのが経費削減。文具類はすべて薬品メーカーなどからのもらい物に。末期にはスタッフの白衣がない、もしくは各自の自前で統一されなくなる。こうなると使い捨て器具も減菌消毒で使い回しの可能性大!

[8]規模に比べ、診療科目が多い――患者数アップのため、できもしない診療科目を増やす病院が多数。専門外の医者に平気で対応させるケースも見られる。日本では、医者の専門科目は自己申告登録制。さらにどんな看板を掲げても問題にならない。規模の割に診療科目がやたらと多い病院には注意が必要だ。

[9]きれいで豪華な待合室が自慢――病院の本題である「医療の質」と待合室の豪華さは比例しない。本業とは別の部分で目立つ病院には、ほぼ「何かある」。金持ちの医者ならば、医療以外の収入があるだけのことで、技術・能力とは無関係。高利貸しなど、危険な資金調達先が疑われるケースもある。

[10]最新設備(機器)がありすぎる――「最新設備があるからいい病院」は、超危険思考! ちょっとした頭痛でもCT検査をするような病院は、設備投資の「元をとる」のが最優先。「念のために」と検査を勧められたら要注意。最新設備があるからいいのではなく、それを医者が十分に使いこなせるかが問題だ。

[11]土日、夜間も診療OK――土日や夜間も熱心に診療するから「いい病院、医者」とは限らない。熱心さの裏には必ず「動機」がある。とくに地方では政治家への立候補を視野に、人望・評判を高める狙いから患者サービスをすることも。動機もなく寝る間を惜しんで患者に尽くす人は、そういないと考えよう。

[12]WEBサイトがない(または、必要な情報が無記載)――病院の過当競争が激化する昨今、この情報化時代においてある程度の規模の病院でWEBサイトを開設していないのは論外。また、住所等の連絡先、診療時間などの「お仕着せ情報」しか掲載していない病院も信用できない。

[13]終末治療に力を入れてくれる――30兆円といわれる医療費の約30%が後期高齢者に使われている現在、病院経営は「老人医療費」で成り立っているも同然。死期直前の老人にあらゆる検査を繰り返し、投薬し続けるのは、売り上げ拡大行為だと知るべき。

[14]「領収書」を発行しない――現在はほぼないはずだが、診療報酬明細書付き領収書を発行しない病院は要注意。保険治療範囲では経営できないため不正請求を行っている可能性大。健康保険組合からの「医療費通知書」は必ず確認し、治療金額に不審な点があれば開示請求を。

[15]病院の壁にスローガンを掲示――病院の壁に大仰なスローガンが貼ってある病院は要注意。過去にその逆の行為をした可能性が高い。たとえば「逃げない、隠さない」なら「逃げた、隠した」証し、「謝礼お断り」なら「謝礼」は習慣化している可能性が高い。

▼医者チェック8つのポイント

同じ病院内でも個々のドクターには当たり外れがあるものだ。学歴、実績、年齢……本質を見抜くのに一番重要なのはどれ!?

[1]コミュニケーション能力が低い――腕のよさとコミュニケーション能力は比例することが多い。たとえば、診察の際に患者の顔を見ずPCばかり見ている、質問を嫌がる。また、手術決定の際の面談時に名刺を渡さない、自己紹介しない医者は、総じて信頼できない。腕に自信がない医者ほど、患者とのコミュニケーション能力が低い傾向にある。

[2]手術実績を教えない(外科医の場合)――外科医は経験豊かで手先が器用な医者が名医。つまり、肩書よりも実績がものをいう。「教授なら大丈夫」は、大間違い。手術が決まったら変に遠慮せず、これまでの手術実績、術後の経過、ミスはなかったかを聞くといい。質問に憤慨したり、答えないような医者なら手術は見合わせ、ほかの病院を訪ねるべき。

[3]薬を大量に処方し、通院させ続ける――大した病気でもないのに、いろんな薬を大量に処方したり、ほとんど完治しているのにいつまでも通院させ続ける医者は要注意。医者は経営者でもある。売り上げを上げなければ病院経営が立ちゆかなくなる。つまり、薬を大量に与え、通ってもらうことで儲けが生み出される。「もういいですよ」は、できるだけ先延ばしにしたいのがダメ医者の心情だ。

[4]検査データの提供を渋る――技術レベルの高低に関係なく、どんな医者でも「自分の信じる治療方法」がある。が、患者がセカンドオピニオンのために検査データの提出を求めても快く応じない医者なら、患者を逃がしたくないと、「儲け」の観点で考えているか、治療法に自信がないかのいずれか。いまの時代、カルテを開示しない医者には非難が集まり、患者は寄りつかなくなっている。

[5]電話をかけてくる――わざわざ電話をくれて「最近、具合はどう?」と聞いてくれる医者には注意が必要。民間病院の非常勤医師ならば、入院手当が目的の場合もある。空きベッド数を確認し、老人に電話をして具合を聞き出し「お待ちしています」と来院を促す。あれこれ理由をつけて入院となると、手当がもらえるためだ。医者の「親切」の裏には理由があることも多い。

[6]趣味は“ゴルフ”と“高級外車”――医者が興味を持つのは「政治・投資・趣味」の3つ。政治に興味がない医者もいるが、投資好きは多い。医療で儲けた金をさらに増やそうと躍起になる。最後に趣味に目が向くが、この趣味が「ゴルフ」と「高級外車」なら要注意。ゴルフの腕磨きに熱心になれるほど本業が暇な証拠であり、こういった金満な医者は“反社会勢力”にも目をつけられやすい。

[7]出勤時間が遅い――診療時間は9時からと書かれているのに、のこのこと9時半すぎに出勤してくる医者は、信用できない。たとえ近所でどんなに腕がよいと評判であっても、「時間を守る」など社会人としての常識が欠如している医者では、どんな診療をされるかわかったものではない。もちろん、こんな医者を十分に訓練もせず、野放しにしている病院にも行ってはいけない!

[8]病状・治療法を説明しない――病状・治療法をきちんと説明しない医者は、いくら腕がよくても敬遠すべき。医者は病状や治療法を患者に説明する義務がある。とくに大病の場合、治療の内容やリスクなどの説明は必須。無口な医者には、患者側からあれこれと質問を。質問を嫌がらず、わかりやすく丁寧に答えてくれ、さらに理解できたかを確認する医者は信頼に値する。

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医師、ジャーナリスト 富家 孝
16代続く医者の家系に生まれる。1972年、東京慈恵会医科大学卒業。開業医、病院経営、助教授等を経て、医療コンサルタントに。現在、医師紹介会社「イー・ドクター」代表取締役の傍ら、新日本プロレス・コミッションドクターなども務める。『生命がけの医者選び』(講談社)、『医者しか知らない危険な話』(文芸春秋社)など60冊以上の著書がある。

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(戍亥真美=構成)