空気の乾燥が気になる冬の必需品と言えば、加湿器。乾燥状態が続くと、肌がカサつくだけでなく、風邪のウィルスが増殖しやすく、さらに、鼻喉の粘膜が乾いて感染しやすくなるなど健康面でも好ましく無い。また、湿度が上昇すると体感温度もアップする。そう、冬は加湿器を上手に利用して、省エネ&快適に乗り切りたいものだ。

新モデルが出揃った中、加湿の基本原理や機能は大きく変わっていないが新しい流れとしては、デザイン性を重視したモデルの充実。近年、バルミューダやCado、ダイソンが注目を集めていたが今年はシャープも加わり、デザイン家電化が著しい。そのほか、加湿機能を持つ空気清浄機「加湿空気清浄機」も加湿性能がアップし、製品選択の候補として視野に入る。さらに選択肢が増えた今、うれしい半面、どのような加湿器を選べばよいのか悩ましいところである。そこでここでは、目的に応じた加湿器の選び方を紹介しよう。

加湿器もいろいろ。方式と特徴を知ろう!

「スチーム式」や「気化式」「ハイブリッド式」「超音波式」など、加湿器にはいくつかのタイプがあり、目的や用途にあったものを選ぶことが大切。ここではまず基礎知識として、加湿器の方式とそれぞれの特徴を、製品例とともに解説しよう。

「スチーム式」とは?

原理:ヒーターで水を温めて蒸気を放出。やかんのお湯で加湿効果を得るのと同じ原理。メリット:水を沸騰させるので、カビや雑菌が空気中に放出されず衛生的。安価で加湿もスピーディー。デメリット:湯気が熱いので火傷の可能性。消費電力が多め。

象印「EE-RK35」沸とうさせた清潔な蒸気を、約65℃まで冷まして部屋を加湿。湯沸しポットのようなデザインも特徴

オムロン「HSH-101」睡眠中の、のど・鼻・肌の潤いを保つことが目的の “パーソナル”なモデル。運転「切」の状態で保湿のタイミングを知らせる「保湿ナビ」を新搭載

「気化式」とは?

原理:水を含ませたフィルターに風をあてることで、湿った空気を放出し、加湿する。洗濯物を室内干しして加湿効果を得るのと似た原理。メリット:火傷の心配が無く、電気代も少ない。また、気化現象を利用しているので、加湿のし過ぎが無い。デメリット:加湿用の水を沸騰させないので、手入れを怠った不潔な状態だとカビを撒き散らすことに。加湿のスピードはスチーム式に比べて緩やか(製品によっては、風量を多くして加湿能力を高めた製品もある)。

シャープ「HV-E30」加湿だけでなく、「高濃度プラズマクラスター」イオン発生機能により除菌・消臭効果も。温度・湿度のダブルセンサーで、過剰な加湿を防いだ省エネ運転が可能

パナソニック「FE-KXL05」低消費電力で高速回転が可能なDCモーターを採用し、気化式ながら「お急ぎモード」で急速加湿。「ナノイー」イオン発生機能搭載でお肌の潤いも効果も

「ハイブリッド式」とは?

原理:気化式にヒーターをプラスしたハイブリッド方式は、気化式のメリットを活かしつつ、ヒーターによる加熱で加湿のスピードをアップする。メリット:湿度が充分に高くなるとヒーターの電源を切り、低消費電力で湿度を維持。デメリット:本体が大きく価格も高価になりがち。

シャープ「HV-E70」「HV-E30」同様、「高濃度プラズマクラスター」イオン発生機能や温度・湿度のダブルセンサーを搭載

ダイニチ「HD-RX715」ハイブリッド加湿器でナンバーワンの静音設計(標準モード)。「おやすみ加湿」機能で入眠時はとことん静かに、1時間後にしっかり加湿するモードに自動切替

「超音波式」とは?

原理:超音波振動で水の粒子を飛ばす。メリット:低消費電力で、電源投入直後から水煙が登る。デメリット:空中に放出される水の粒子が大きく、空気を加湿せずに落下しやすい。また、清潔にしておかないと、カビや雑菌も空中に放出してしまう。

アピックス「AHD-015」コンパクトでインテリアにも映える「しずく」型が人気のロングランシリーズ最新モデル。タッチ操作でLEDライトのオン・オフ切替可能

ダイソン「Dyson Hygienic Mist AM10」超音波式ながら、本体内部に除菌用UVランプを搭載し、加湿用の水を99.9%除菌できるというこれまでにないタイプ。さらに、“羽根のない扇風機”の技術を利用し、ミストを広範囲に放出できるのも特徴

最適な加湿方式を用途で選ぶと?

各種方式の原理とメリット&デメリットがわかったら、ライフスタイルや用途に合った加湿タイプを考えてみよう。

●デスクトップでお肌に潤いを→「超音波式」がピッタリ!省電力で、しかも、電源を入れたら即加湿ができる「超音波式」モデルは、スポット加湿に最適。小型でオシャレな製品も豊富なので、デザインで選んでもよし。

●小さな子供がいるから家の中は1日中加湿したい→「気化式」がピッタリ!熱い湯気が出ないので、火傷の心配なし。また、消費電力が少ないので、電気代を気にせず1日中運転したい用途に最適。

●帰宅後スピーディーに加湿したい→「ハイブリッド式」がピッタリ!“素早く加湿したい”という用途なら「スチーム式」もよいが、予算があれば、省エネ運転が可能でコストとのバランスもよい「ハイブリッド式」の中から選ぶのがよい。

●小さなお子さんがいないなら→「スチーム式」がピッタリ!家族の誰かが必要な時に使うなら、素早く加湿ができる「スチーム式」がいいだろう。コンパクトで持ち運びしやすい製品も豊富で、比較的安価なのもファミリーにうれしいところ。

次ページでは、製品選びに必要なチェックすべきスペックとその目安を紹介!

加湿器選びのためのスペックチェックポイント

方式に目処がついたら、加湿能力やその他のポイントで、買うべきモデルを絞り込もう。

部屋の広さと加湿能力

どれも同じように見える加湿器だが、加湿能力に違いがあり、製品選びの際にはその数値をチェックするのが重要だ。大きな部屋で適正な加湿効果を得るために は、加湿能力の高い製品を選ばなければならない。加湿能力は各製品にスペックとして記載されているので確認してほしい。ちなみに、部屋の広さと加湿能力の 関係は以下の通りだ。(引用: 日本電機工業会 JEMA 1426)。

水タンクの容量

水タンクの容量が小さいと、水の補給が頻繁で面倒。いっぽう、タンクが大き過ぎると、給水作業が重くて大変になってしまう。夜通し運転するなら8時間以上連続使用できる製品を、高齢者や、また、スポット的に使うなら、タンク容量が少なく軽量で、給水のしやすさや持ち運びやすさを重視して選ぶという選択肢もある。

その他の機能性

加湿器はいずれの方式でも、清潔に保つためのメンテナンスが欠かせない家電。清掃のしやすいい製品を選ぶのもポイントだ。最近では、雑菌やカビを抑える機能を搭載した製品も多く、特に小さなお子様や高齢者が居る家庭ではそのあたりも注目してほしい。

そのほか、アロマオイルを添加できる製品や、リビングに設置することを考えデザイン性を重視した製品などもある。多少、価格はアップするかもしれないが、加湿機能にプラスアルファを求めるユーザーなら、こうした製品も視野に入れるといいだろう。

Cado「HM-C610S」スタイリッシュなデザインが目をひく超音波式加湿器。独自開発の抗菌ゼオライトによりタンク内の水を抗菌し、更に空気中にミストとして放出することでウィルスや浮遊菌を抑制するというユニークな性能が特徴「日本製」も魅力だ

シャープ「HV-EX30」薄型コンパクトでスタイルを重視したユニークモデル。7色のイルミネーションで湿度の目安お知らせ

バルミューダ「Rain ERN-1000SD」“壺型”の気化式加湿器。本体に直接水を注ぎ入れるタンクレス構造でやかんなどで給水すれば、床に水をポタポタたらしながらタンクを持ち運ぶといったストレスはがないのが特徴。サイズは、350(幅)×374(高さ)mmと案外ビッグ

ドウシシャ「クレベリン LED搭載 kamomeハイブリッド式加湿器 KHQ-651C」大幸薬品との共同開発のより生まれたハイブリッド式加湿器。加湿器に除菌・消臭製品「クレベリン」の薬品技術を組み合わせ、二酸化塩素を放出することでウィルスや菌を抑制するという

どう考える? 「加湿空気清浄機」

加湿器を購入する際に気になるのが、空気清浄機に加湿器機能が加わった「加湿空気清浄機」だ。どう考えればよいだろうか? 加湿空気清浄機の加湿機能は、ほぼ「気化式」。空気清浄機の送風機能を利用して、湿ったフィルターに風を当て、加湿された空気を放出するというものだ。

メリットは“1台2役”。空気清浄機と加湿機の2台を購入するのに比べ、費用と設置スペースが節約できる。年間を通して片付ける“理由”が無いのもポイントだ。一方デメリットは、加湿方式が選べないことや、製品によっては湿度設定ができないなど、加湿器としての機能が簡素化されている点。適正湿度に保つ自動運転が行われるので大きな問題にはならないが、留意しておきたいポイントだ。また当然ながら、空気清浄機能が搭載されている分、大きくて重いので移動させにくいので、主な使用者が非力な女性や高齢者の場合は、事前にサイズや重量を確認しておこう。

なお、加湿性能自体は加湿専用製品に劣らないほど進化している。気化式の空気清浄機を検討するなら、上記の注意点を考慮しつつ、加湿空気清浄機も候補に入れてよいだろう。

シャープ「KI-FX100」業界最大の加湿量930ml/hでプレハブ洋室17畳、木造和室28畳に対応できるハイエンド空気清浄加湿機

ダイキン「TCK70R」加湿量630ml/hでプレハブ洋室10畳、木造和室17畳に対応できるシンプルな空気清浄加湿機

ダイキン「MCZ70S」「除湿」「加湿」「空気清浄」機能を備えた最新プレミアムモデル。加湿性能は630ml/hで、日本電機工業会の規格に照らすと、プレハブ洋室10畳、木造和室17畳に対応

さいごに 「正しく使って快適に!」

この記事で、自身が購入すべき加湿器がおおよそ掴めたのではないだろうか? 加湿方式や加湿性能に加え、デザインもお気に入りの製品を選べば、家にこもりがちな冬場も楽しく過ごせるかもしれない。

なお、用途に適した加湿器を購入しても、使い方を誤ると期待した加湿効果が得られないばかりでなく、快適さや健康を損ねてしまう可能性もある。上手な「使いこなし」も重要なのだ。まず、結露するほどの高湿にも関わらず、加湿を続けるのは厳禁。見えない壁内に結露が発生し、カビの温床になる危険性がある。適正湿度は40〜60%前後。風邪ウィルスの活動が抑えられ、皮膚の乾燥を防ぎ、結露しない目安だ。部屋全体を加湿したい場合は、センサー搭載製品を選んで自動運転を利用するとよいだろう。

次に、加湿方式によって、適正な設置場所があるのも覚えておきたい。スチーム式加湿器の設置場所は、部屋の中央付近 で床に近い方が理想だ。湯気が天井まであがり、部屋全体に行き渡りやすいからだ。壁や天井、そして特に窓の近くに設置すると、せっかくの蒸気が結露してしまい加湿も進まない。また、送風機能を搭載した気化式やハイブリッド式は、吹き出す空気が部屋の中央に向くように設置しよう。超音波式は、高い場所に設置する方が有利。床付近におくと、放出された水分が空気に馴染む前に落下し、床が濡れてしまうケースもあるからだ。

ちなみに、製品によっては旧モデルと性能に大きな違いが見られないケースもある。こうした場合、いわゆる「型落ち」を狙うのもアリだ。その反面、外観が似ていても新機能がプラスされている事も多い。この場合はその新機能が自身にとって価値があるかどうか、それが価格差に見合うのか見極めよう。

加湿器を賢く選んで、スマートに使いこなして、この冬を快適に乗り切ろう!


>> 最適な1台はどれ? 正しい加湿器の選び方 <2015〜2016最新版> の元記事はこちら