学生の窓口編集部

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皆さんは「録音スタジオ」に行ったことはありますか? 録音・トラックダウンのための卓があり、防音ガラスの向こうは録音用のスペースになっていますね。音楽業界の戦場というべき録音スタジオ。今回は、某プロミュージシャンに録音スタジオにまつわる面白い話を伺いました。

●代理店を黙らせる方法!
CM曲の録音・トラックダウンを行っていると、クライアント、広告代理店の偉いさんが立ち会いにやってくることがあるそうです。音楽的な教養が全くない上に、クライアントの意見をそのまま声高に言うだけの偉いさんは本当に邪魔だそうです。

指示も漠然としていてよく分からない上、従っていてもきりがないので、そんなとき実行する技があるそうです。「なるほど」などと言いながら、卓をあちこちいじったふりをして、「ボリュームを上げる」のだそうです。

音圧が上がって迫力が増すとそれにやられるらしく、「良くなりましたね。どうでしょう?」と水を向けると、「いいねぇ」などと言うとか(笑)。こればれたら怒られませんかね。
●昔は壁にラッパがあって……
現在では、防音ガラスの向こうの「金魚鉢」などといわれる部屋にミュージシャンが入り、そこで歌い、演奏して、「卓」のあるこちら側で録音するのが普通です。しかし、昭和初期にはこのような整った録音スタジオがありませんでした。

壁にラッパのようなものが取り付けられていて、そこに向かって歌い、それで集音してプリミティブな機材で録音するということが行われていました。

音量調節ができないものですから、ミュージシャンが顔を近づけたり、遠ざけたりして録音していたそうです。『青い山脈』で有名な故・藤山一郎先生が昭和初期の録音状況について「大変だった」と語っていらっしゃいます。
●美空ひばりさんはスゴイよ!
美空ひばりさんは天才歌手でした。ひばりさんの録音となると、スタッフはもちろんスタジオミュージシャンもミスのないように緊張しっ放しだったそうです。天才ですから、ひばりさんはミスなどしません。また、ひばりさんに「もう一回お願いします」となかなか言えないため、ひばりさんは一回だけ歌うのが常識。

そのため、バックも一緒に「一発録り」なんてことになると、その緊張は尋常なものではなかったそうです。その一発録りの録音で、なんとバックのミュージシャンが演奏ミス! をしたことがあったそうです。

ミスした人は顔面蒼白(そうはく)ですが、録音スタッフも血の気が引いたそうです。演奏終了時にはお通夜のような「しーん」とした状況に。そのとき、ひばりさんがにっこり笑って、「もう一度やりましょう」と一言。その場の全員が「助かった」と思ったそうです(笑)。

●いすが違うぞ!
各音楽会社には、もうけさせてくれる頭の上がらないミュージシャン、アーティストがいます。某社には、Tさんのおかげでできたスタジオがあります。そのスタジオの完成披露の際には、もちろんTさんが最初に招かれました。

Tさんがスタジオのいすに座って一言「……なんか、いすが違うね」。すぐに全部のいすが取り換えられたそうです。

いろいろ差し障りがありますので、取材先などを匿名にさせていただきました(笑)。録音スタジオにもさまざまなドラマがあるようです。

(高橋モータース@dcp)