宮市亮が苦しんでいる。

 今夏の移籍市場で新天地を求めたFCトゥウェンテに、この21歳のウインガーは大きな期待を持って迎えられた。

 9月13日のリーグ5節で後半途中からデビューを飾ると、ホームスタジアムは盛大な拍手に包まれた。かつてフェイエノールトでエールディビジに記したインパクトが、いまなお関係者やファンの記憶にとどまっていることをうかがわせた。

 翌週の第6節では、左ウイングとして先発した。その後も11月1日の第11節まで7試合に起用されたが、「得点やアシストで勝利に貢献したい」という言葉を現実にできない。ボールを受けても自ら仕掛ける場面が少なく、クロスやシュートで終わる頻度が少ないのだ。致命的なミスがない変わりに、ピッチに残す足跡が薄いのだ。

 宮市が結果を残せずにいる間に、チーム内の序列は固まっていった。メキシコ代表入りしたコロナが右ウイングの定位置をつかみ、左ウイングではモロッコ人のモフタルが存在感を強めてきた。ケガで戦列を離れていたデンマーク代表のクスクも復帰し、現在の宮市はウイングの4番手となっている。PSV、アヤックスに次いで3位につけるチームにあって、ここ2試合は出場機会に恵まれていない。

 アルフレッド・スロイデル監督が率いるトゥウェンテは、4−3−3のシステムを採用している。サイドバックのマルティナとコロナが形成する右サイドが攻撃の強みで、彼ら2人に司令塔ジィエフの絡みで多くの決定機を作り出す。宮市の仕掛けが少ないと前述したが、タッチライン際で勝負できる場面がそもそも少ない。

 右から崩して中央で仕留めるパターンは主たる得点源となっており、それもまた宮市がスタメンに定着できない要因にあげられる。左ウイングにはタテへの突破よりも、CFカスタイニョスとともにゴール前へ詰める仕事が求められるのだ。宮市よりもストライカーの性格が強いモフタルが、このところ先発で起用されている理由である。

 ケガなどで離脱した選手がトップフォームを取り戻すには、ピッチから離れていたのと同じ時間がかかるとも言われる。1か月の離脱なら1か月、3か月の離脱なら3か月は助走期間にあてられる、と。もちろん個人差はあるものの、長期離脱からの復帰に相応の時間がかかるのは確かだ。
 
 チーム事情やケガの影響で、宮市はここ2シーズンほど実戦から遠ざかっていた。公式戦で最後にフル出場したのは、13年9月26日までさかのぼらなければならない。実戦感覚を取り戻すには、まだ少し時間がかかるのだろう。

 日本代表を率いるハビエル・アギーレ監督は、国内外を問わずに視察の網を巡らせている。そのなかにはもちろん、宮市も含まれている。日本代表と同じ4−3−3でプレーする彼は、メキシコ人指揮官にとって魅力的なタレントのひとりだ。

 宮市にプレーの性格が似たタイプとして、アギーレ監督はここまで武藤嘉紀を重用している。11月のテストマッチでは、乾貴士も存在感をアピールした。サイドアタッカーというくくりで語れば、原口元気や宇佐美貴史らの名前もあがってくる。

 現状でも人材は豊富だが、定員があるわけではない。左サイドに圧倒的な存在感を示す選手が複数出てくれば、アギーレ監督は右サイドに眼を向けるかもしれない。左サイドが活性化されることで、攻撃陣全体の競争が激しくなることが期待できるのだ。

 宮市がトゥウェンテで定位置をつかむことは、日本代表のレベルアップをも促す。限られた時間のなかで分かりやすい結果──ゴールにつながる仕事をすることで、21歳の未来は切り開かれていく。