LINE電話の番号成りすまし問題、公式見解は「悪用は難しい」が偽装可能。対応策検討

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携帯電話や固定電話と通話ができる LINE電話について、実は電話番号が偽装できてしまう、そんな懸念が広がりつつあります。これを受けLINEは、公式ブログで釈明しています。釈明内容を一言で言えば、「偽装の悪用は難しい」。誤解を恐れず言い換えれば「悪用しにくいが偽装できる」となります。一連の問題を解説します。

LINE

LINEは、利用者の携帯電話番号とリンクしたコミュニケーションサービスです。LINEアプリでは、メッセージやスタンプを使ってコミュニケーションがとれるほか、これまでもLINEユーザー間でVoIP電話としても使えました。当初は基本的には携帯電話番号を軸にしたメッセンジャーで、これまでの友人知人関係を中心にコミュニケーションを取ったり、ゲームを楽しんだりできました。現在ではFacebookでも認証可能。原則的には1つの電話番号で1台のデバイスで利用できるサービスですが、PC版についてはスマートフォンなどで認証したIDが利用可能です。一般的なメッセンジャーでは、IDはメールアドレスと連携するため、無料のメールアドレスなどを取得すれば、複数のアカウントを活用したり、複数のデバイスで同一のアカウントを利用したりといった柔軟性があります。電話番号やFacebookと連携するLINEは、現実の人間関係を中心にしたサービスである点を売りにしています。LINE IDなどを利用してバーチャルで知り合った人とも繋がれますが、ID検索するためには、未成年への配慮から年齢認証が必要。年齢確認は携帯電話の契約情報から行えますが、法人契約では年齢確認できません。実際に会った人とはQRコードやGPSの位置情報を使って繋がれます。

LINE電話

LINE電話は、VoIP電話と携帯電話や固定電話の回線交換通話を連携させたサービスです。VoIPで電話をかけ、回線交換網を経由して携帯電話や固定電話の相手先と通話できます。1分14円の低廉な通話料金が設定できるのは、おそらく料金の割安な海外事業社の通信網に接続しているためでしょう。ただし、LINEでは通信網については詳細を説明していません。LINE電話は、着信相手がKDDIまたはソフトバンクの場合ならば「発信者番号通知」にも対応しています。これは相手の電話に、発信元としてLINE認証に使った携帯電話番号を表示する機能。(携帯電話認証をせずFacebook認証でLINEを使っている場合、LINE電話は使えません)。LINE電話は実際に携帯電話の回線で発信しているわけではなく、アプリからネットを経由して出口だけ別の電話会社の回線を使うことで安い通話料金を実現する仕組みです。このため、「発信者番号通知」機能は最初から偽装であるという言い方もできます(実際の回線ではなく、設定した番号を通知するという意味で)。相手がNTTドコモの場合に非通知となるのは、ドコモが海外からの着信に対して、このような仕組みの「発信者番号」表示を受け付けていないためです。

LINEの見解

LINEの携帯電話認証は、端末の電話番号宛にLINE側からSMS認証を発信し、記載の暗証番号を確認する仕組みです。LINE電話で発信する前に毎回確認しているわけではなく、一度アクティベーションすれば、たとえSIMカードも外しても、相手にはLINE認証時に使った電話番号が表示されます。このため、うまくすれば、携帯電話の本来のSIMカードに登録された電話番号とは別の番号でLINE電話できるんじゃないか、つまり「偽装」できるのでは、というわけです。この懸念に対して、今回LINE側では以下のように見解を示しています。「既にSMS認証されているアカウントをSIMカードの差し替え等によって、他の端末でログインした場合、もとの端末ではLINEおよび「LINE電話」が再度SMS認証されるまで利用できなくなります。そのため、通常の利用では発生しませんが、万が一、故意や悪意のある第三者によって自分のアカウントがログインされた場合や、電話番号をなりすまされた場合は、もとの端末を保持している本人のLINEが利用できなくなるため、全く誰にも気づかれずに悪用され続ける可能性は非常に低いです。なお、現時点で日本国内ではLINEユーザーの9割以上の方が既に電話番号によるSMS認証を行っており、国内のユーザー数は5000万人を超えております。」これはつまり、仮に悪意をもった誰かが電話番号を偽装した場合、偽装されたほうのLINEアカウントのユーザーが使えなくなるため、悪用され続ける可能性は低い、との見解です。ということは、偽装されたLINEアカウントの利用者がLINEをあまり使わない人であれば、悪用され続ける可能性があるということです。また、「悪用され続ける可能性が非常に低い」というのは、継続的ではない悪用ならばできる、とも言えるでしょう。LINEでは、困難とする理由として以下の見解も明らかにしています。

認証のために電話番号を入力する際、故意や悪意を持って第三者の電話番号や、他の端末の電話番号を入力するなどして、仮にその端末の電話番号と異なる番号の場合でも、SMS認証は、入力した電話番号の端末に届きます。そのため、本人と全く関連のない第三者の任意の番号を利用して身元を偽装することは、道端に落ちていた携帯電話を拾って犯罪利用するような非常に限定的な状況だと想定しています。

これはつまり、わざと第三者の電話番号を入力しても、SMSの認証自体は、電話番号の所有者当人に送信されるので、全く面識のない人が偽装するのは難しいという意味です。

偽装は可能

確かにその通りですが、これは複数台の回線を契約していれば、本来の電話番号でなくともLINE電話は利用できるという意味でもあります。たとえばAとB、2つの電話番号を持っていたとして、一方の回線でもう一方の電話番号を認証すると、本来のA電話番号と、LINE電話用にBの電話番号でも発信できることになります。好意的にこれをとらえれば、1台の端末で、090や080、070で始まる携帯電話を2つ持てると言えるのかもしれません。仕事用とプライベートのスマートフォンを所有しているなら、発信用に使っている電話番号をLINE電話で偽装アクティベーションしておけば、スマートフォン1台を手元に置いておくだけで、もう一方は鞄の中に入れっぱなし、そんな使い方も考えられます。なお、LINEではこうした使い方を認めているわけではなく、「利用規約上NG」としています。ただし、2回線以上持っていれば、現在こうした使い方は可能です。LINE電話は、仮にB電話番号を解約してもアクティベーション後は、B電話番号の次の使い手がLINEを使うまでは使い続けられます。通常、解約した電話番号は一定期間、他のユーザーの電話番号にはなりません。解約した当人が悪用する(以前自分が使っていた携帯の番号を表示して悪事を働く)ことは考えにくいとして、これから解約する電話番号を第三者にLINE電話アクティベーション権として売却すれば、犯罪者が発信用電話番号として使う可能性も考えられます。

050番号は使う予定なし。認証方法は技術的に見直し

なお総務省では、IP電話サービスには050番号を割り当てており、050 plusやSMARTalkといったスマートフォン向けのVoIPアプリではこれを利用しています。一方、LINE電話は050番号を使っておらず、LINE側では今後も050番号を使う予定はないとしています。LINEでは、今回の見解を発表した理由について、TwitterなどでLINE電話などへの不安の声がひろがっているためとしています。同社は悪用のリスクは低いとする一方で、ユーザーの利用動向を見ながら技術的対応策を検討する方針としており、今回の見解発表後の反応を見て、認証方法も含めて技術的な見直しを図っていくそうです。

番号偽装通知は世界標準ではない

LINEでは、番号通知は世界標準サービスであるとしてLINE電話への採用を決定しました。しかし、残念ながらLINE電話が現時点で提供している番号偽装通知サービスはその限りではありません。また発表文では、番号通知が犯罪抑止効果があるとしていますが、LINE電話の番号偽装通知についてもその限りではないはずです。ドコモの仕様上、現時点でLINE電話から番号通知はできません。LINE側が主張するように、LINE電話の取り組みが犯罪抑止に繫がるとするならば、携帯電話会社に要求してもいいはずです。この点をLINEでは、「ユーザーの反応を見て打診を検討します」と話しており、現時点では打診していません。