巨人「井上温大」の途中降板は不可解…一番勝てそうな投手だが“欠けているモノ”も 「浦田俊輔」は失策にめげず堂々とプレーを【柴田勲のコラム】
浦田、プロ初失策にめげるな
巨人がリーグ戦再開後の中日3連戦(東京ドーム)を1勝2敗と負け越した。首位から2位に後退だ。これは痛い。
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交流戦が終わって首位に立ち、最初の相手が最下位に定着する中日ということもあってうまくいけば3タテ、悪くても2勝1敗と思っていた。
特に痛かったのは21日第3戦での逆転負けだ。3点リードの8回に大勢がマウンドに上がったが浦田俊輔の失策も絡んで4失点した。
無死一塁から鵜飼航丞の併殺性のゴロをグラブではじいた。この浦田のプロ初失策で一、三塁と傷口が広がった。これから逆転負けにつながったのだが浦田は責められない。第一、野球にミスはつきものだ。

浦田はもともと守備を買われて入ってきた選手だ。吉川尚輝と比較する向きもあるが、守備範囲は広くうまい。
打率は2割1、2分くらいの選手かと思っていたが、打撃もここに来て向上してきた。2割6分だ。確かに以前に比べて大振りになってきた。慣れてきたことがあるし、ボール球を振るようになった。
でも、よく頑張っている。吉川の抜けた穴を埋め、また坂本勇人の代役として起用されている。めげずにこれからも前を向いて堂々とプレーしてほしい。
井上が真の完投能力を身につけるには
気になったというか不可解だったのが、先発の井上温大が2点リードの6回表に2死二塁から細川成也に四球を与えると、船迫大雅に交代したシーンだ。
細川を迎えると、巨人ベンチから内海哲也コーチがマウンドに向かった。井上は細川を苦手にしている(※対井上の成績は26打数12安打(2本塁打)、打率.462、1四死球、5三振)。こんな時、コーチが投手に言うのは「本塁打を打たれても同点だ。勝負しろ」か「際どいところを突け。歩かせてもいい」の2つだ。
井上は結果としてフルカウントから細川を歩かせた。ここで巨人ベンチは船迫の名前を告げた。
なぜ代えるのか。負けたから言うのではない。試合の流れは巨人にあった。船迫が次打者のミゲル・サノーを抑えて事なきを得たが、このへんから試合の流れが微妙に変わっていった気がする。
井上はこの時点で3安打しかされていない。巨人ではいま一番勝てそうな投手だし、完投能力を持つ投手だ。今季一度完投勝利を挙げてはいるものの、これでは真の完投能力は身につかない。細川に対する苦手意識も抜けない。
8回に大勢、9回にはライデル・マルティネスのコンビが控えていることもあっての交代だろうが、これではお前はそういう投手だよと言われているに等しい。
こうならないためにも井上は球数を減らすことが肝要だ。この時点で96球を投げていた。70球くらいが理想だ。とにかくムダ球が多い。攻めの姿勢が必要だ。0−2と追い込んだらズバッと3球勝負をする。これくらいでいい。
投手陣の頑張りはいつまでも続かない
19日の第1戦、竹丸和幸がまた勝てなかった。自身4連敗だ。自滅の感があった。井上同様、攻めの姿勢がない。チェンジアップを多投しているが、どうしても逃げているように映る。
もっともっと真っすぐで向かっていくべきだ。投げ合った金丸夢斗は真っすぐが多かった。攻めの姿勢が見えた。スライダー、チェンジアップ、フォークなどの変化球が生きてくる。真っすぐがあってこその変化球だ。
今年の大勢はもろい。力で押している。自信を持つのはいいけど、これが過信になっているのではないか。行き当たりバッタリの投球で怖い。必要なのは制球力だ。マルティネスよりも悪い。球に威力があってもベルト周辺に集まれば打たれるのは道理だ。
巨人打線は相変わらず打てない。一発で得点するケースが多い。交流戦最後の西武戦から最初の中日戦までの6試合の得点は0・2・0・2・1・3だ。平均1.3点だ。
これまでの巨人は投手陣の頑張りで乗り切ってきた。いつまでも続かない。
明日以降の10試合で阪神に3ゲーム差くらい付けられて沈んでしまった――そうならないことを願い、逆に阪神、ヤクルトとの三つ巴から抜け出す戦いをしてもらいたい。
巨人に引き続き注目する。
(記録などは22日現在)
柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。
デイリー新潮編集部
