皇室典範改正案「薄氷の調整」…政府が骨子提示、「立法府の総意」逸脱せぬよう正副議長と協議重ねる
政府は、皇室典範改正案の骨子を作成するにあたり、衆参両院の正副議長と水面下で調整を重ねた。
皇族数の確保に関する「立法府の総意」から逸脱しないよう腐心し、薄氷を踏む思いで法案化に向けた作業を進めている。(岡田遼介、薦田大和)
「衆参正副議長に皇室典範改正の骨子を報告し、おおむね了承をいただいた」
木原官房長官は19日夕の記者会見でこう述べ、改正案の要綱の作成に入る考えを明らかにした。これに先立ち、木原氏は衆院議長公邸で、衆院の森議長と石井啓一副議長、参院の関口議長と福山哲郎副議長と骨子を巡り、約1時間半にわたり協議した。
政府は、衆参両院の正副議長が各党・会派の見解を10日に取りまとめたことを受け、法案化に向けた最初のプロセスとして慎重に骨子の作成を進めた。正副議長による取りまとめとの食い違いが出ないようにするため、19日の正式な提示の前から、正副議長に内々に骨子の内容を伝えた。
正副議長は17、18日に東京都内で秘密裏に集まるなどして協議し、意見を政府側に伝えた。提示された骨子をおおむね了承したものの、衆参正副議長の一人は19日、「課題がまだいくつか残っている。解消しながら要綱案を作ってほしいと指示を出した」と語った。
政府が慎重な検討を要した課題の一つが、皇族数の確保を恒久的な制度とするか、特例法などを念頭に時限的な対応にとどめるかだ。取りまとめでは、具体的な制度設計は政府に委ねられていた。
旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える案については、立憲民主党などが慎重で、国民民主党の玉木代表も「皇室典範の改正ではなく、特例法で行うべきだ」と主張していた。
与党の足並みも微妙にずれた。女性皇族の身分保持を巡り、日本維新の会の藤田文武共同代表は15日、「年限を区切った上で、現世代の問題を解決する手法として運用されるのが正しい」と記者団に語った。政府・自民党は、いずれの案も皇室典範本体の改正による恒久的な制度化を想定しており、温度差が浮き彫りになった。
政府は今後、要綱を各党・会派に示した上で、法案の作成に入る。「立法府の総意」が曖昧さを残しただけに、与野党の意見が割れる懸念も生じており、政府は調整を急ぐ考えだ。
