2026年欧州版 最も注目すべきEV 10選(前編) 今や英国の新車登録4分の1以上 UK編集部イチオシはチェコのコンパクトSUV
それぞれに独自の強み
電気自動車(EV)は短期間で飛躍的な進歩を遂げ、あらゆる用途に対応できるモビリティとして一定の地位を確立している。ほんの数年前までは、EVは期待を大きく下回る存在だった。高すぎる価格、実走行距離の短さ、そして遅々とした充電速度が、エンジン車からの乗り換えを躊躇させていた。
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しかし、現在の市場動向は変化し、英国における新車登録台数の4分の1以上をEVが占めるようになった。バッテリー技術、公共充電インフラ、そして走行性能の進歩が状況を一変させ、一方で生産コストの低下により、以前よりも手の届きやすい存在へ近づいてきている。

AUTOCAR UK編集部イチオシの「欧州EV」を10台紹介する。
維持費の安さや政府の補助金も考慮すれば、現代のEVはファミリーカーや社用車として十分に適した選択肢であると言える。
モデルの選択肢もかつてないほど広がっている。本特集では、現在英国で販売されているEVの中から特に注目すべきモデルをリストアップし、長距離走行に適したファミリー向けSUVから、スポーツカーのようなスリルを備えた高性能モデルまで、興味深い10台を紹介する。
あえて「最高の1台」を選ぶなら、AUTOCAR UK編集部はスコダ・エルロックを推している。汎用性、航続距離、完成度、そして圧倒的なコストパフォーマンスを兼ね備え、その絶妙なバランスに匹敵するコンパクトSUVはほとんどない。
(翻訳者注:各モデルの名称や装備などは英国仕様に準じます。各項目の最後の価格については、英国向けのメーカー公式サイトで確認できた金額を記載しています。)
1. スコダ・エルロック - ファミリー向け電動SUVのベストデザイン:8点 インテリア:9点 パフォーマンス:8点 乗り心地&ハンドリング:8点 コスト:9点
長所:成熟したシャシーとバランスの取れた走行性能 使い勝手の良いテクノロジーを備えた広々とした室内 優れたエネルギー消費効率(電費)
短所:運転の楽しさは少し物足りない 郊外道路では重く感じる DCCサスペンションが必須装備だが、高価格モデルに限定されている
6年前、フォルクスワーゲン・グループ傘下でチェコの自動車メーカーであるスコダが、快適で手頃な価格の中型電動SUVとしてエンヤクを発売した。一見すると、そのコンセプトを受け継ぎ、より小型で安価なモデルへと再構築したものがエルロックのようにも思える。しかし、同時にデザイン哲学も転換し、あらゆる面で確固たる強さを見せている。

1. スコダ・エルロック
「一般的な幹線道路では、適度にしなやかで快適な走りを見せる」
――マット・ソーンダース(ロードテスト編集者)
エルロックの室内は広々としている。トランクは特に実用的で、同クラス最大級であり、収納力も申し分ない。例えば、充電ケーブルはトランク下の収納スペースやトランク内のネット収納に収めることができ、パーセルシェルフは数段階の高さ調整が可能だ。
汎用性の高さも見逃せない。最上位グレードのWLTP航続距離は580kmで、AUTOCAR UK編集部による実走テストでも430〜480kmは容易に達成できた。
なお、WLTP航続距離570kmの『SE L 85』を含むいくつかのグレードは、英国では1500ポンド(約32万円)のEV購入補助金(ECG)の対象となっており、これによりエルロックの魅力はさらに高まっている。
英国価格は3万3970ポンド(約730万円)から。
2. BMW iX3 - ベスト・ラグジュアリー電動SUVデザイン:10点 インテリア:8点 パフォーマンス:9点 乗り心地&ハンドリング:9点 コスト:10点
長所:EV技術の飛躍的な進化 間違いなく運転が楽しい SUVの基準から見て、洗練されたスリムな外観
短所:室内レイアウトが非常にデジタル的で複雑、注意散漫を招く恐れがある 引き締まった乗り心地は、ややぎこちなく感じられることがある フリーホイールモードや回生ブレーキ用のパドルコントロールがない
iX3には、発表前から大きな期待が寄せられていた。BMWはEV専用プラットフォーム「ノイエ・クラッセ」の開発に数十億ポンドを投じ、同時に、今後のブランドの方向性を決定づける革新的なデザイン言語を採用した。

2. BMW iX3
BMWにとって喜ばしいことに、その努力は実を結び、iX3は優れた航続距離、充電速度、そしてハンドリング性能を実現。同クラスで一気にトップに躍り出た。フル充電時には最大805kmという驚異的な航続距離を実現し、400kWの超急速充電により、わずか21分でバッテリーを10%から80%まで充電できる。
「現時点では、iX3は成功作と言える。乗り心地の硬さや使い勝手の面で若干の不満があるため満点は付けられないが、航続距離と充電性能の限界を押し広げた電動SUVであることは確かだ」
――イリヤ・バプラート(ロードテスター)
走行性能にも細心の注意が払われており、安定したハンドリングと繊細なステアリングがそれを物語っている。2.3トン近い車体ながら、その重量感をうまく隠しているが、パッシブダンパーのセッティングのため、リアの乗り心地がやや硬く感じることもある。
iX3の室内には物理的なスイッチ類はほとんどないが、デジタル技術は先進的で使いやすい。特に優れているのは先進運転支援システム(ADAS)で、多くの競合他社のシステムとは異なり、邪魔にならず、実際に役立つものだ。
英国価格は5万3250ポンド(約1140万円)から。
3. ヒョンデ・アイオニック5 N - ベスト電動スポーツカーデザイン:8点 インテリア:8点 パフォーマンス:9点 乗り心地&ハンドリング:9点 コスト:8点
長所:驚くほど自在に操れるハンドリング 活用しやすいドライブモード 強力な直線加速性能
短所:効率性が高いとは言えない かなり大柄 重量は2.2トン
ヒョンデ・アイオニック5 Nは、標準の電動クロスオーバーを電動スポーツカーの領域へと押し上げたモデルだ。デュアルモーターのパワートレインを採用し、合計出力650psと最大トルク75.9kg-mを発生。0-100km/h加速は3.4秒と驚異的だ。

3. ヒョンデ・アイオニック5 N
『EVのドライバーズカーがついに登場した。わたし達の生活にもすんなり溶け込んでいくだろう』
――リチャード・レーン(ロードテスト副編集長)
ヒョンデは、89kWhのバッテリーにより1回の充電で447km走行可能だと主張している。しかし、AUTOCAR UK編集部が試乗した際、1回の充電で約370kmしか走れなかった。
従来のスポーツカーに比べれば重く、はるかに大きく感じられるかもしれないが、その音と感触はスポーツカーそのものだ。内蔵されたサウンドジェネレーターにより、いくつかの「エンジン」の音色を選択でき、疑似変速システムと連動して音を奏でる。
少しやりすぎ? そうかもしれないが、ピストンエンジンと電気モーターの間のギャップを埋めるという意味では、AUTOCARがテストしたどの高性能EVよりも説得力がある。
その重量感にもかかわらず、アイオニック5 Nはダイナミックな走りが印象的で、大型の高性能セダンのような走りを見せる。エンジン音とシミュレートされた疑似的なギアチェンジが、本物のドライバーズカーのような没入感を与えてくれるのだ。
英国価格は6万5800ポンド(約1410万円)から。
4. ルノー5 Eテック - 小型EVのベストデザイン:10点 インテリア:9点 パフォーマンス:8点 乗り心地&ハンドリング:9点 コスト:8点
長所:内外装ともに素晴らしいデザイン コストパフォーマンスに優れる テクノロジーが使いやすい
短所:高速道路での効率が期待外れ ドアの質感が安っぽい サスペンションが時折うるさい
これは、際立った小型EVである。ルノー5 Eテックはレトロなデザインと現代のテクノロジーを難なく融合させ、しかも手頃な価格で世に躍り出た。インテリアには、通常はもっと高価なモデルに見られるようなカラーや素材が採用されており、アップル・カープレイやアンドロイド・オートを含む最新のテクノロジーも一通り備えている。

4. ルノー5 Eテック
「5の車体安定性は、ミニ・クーパーよりもはるかに優れている」
――イリヤ・バプラート(ロードテスター)
2種類のパワートレインが用意されている。最廉価モデルは122psのモーターと40kWhのバッテリーを搭載し、上位モデルは152psのモーターと50kWhのバッテリーを搭載している。つまり、価格が高くなるほど出力と航続距離が向上する。英国では、全モデルが3750ポンド(約80万円)の補助金の対象となる。
小型EVにおいても効率性は重要な要素だが、5 Eテックは興味深い結果を示している。AUTOCAR UK編集部がロングレンジモデル(50kWhバッテリー車)を試乗した際、日常走行テストでは8km/kWhのエネルギー消費効率を記録し、418kmに相当する航続距離を示した。これはWLTP基準の公称値407kmを上回るものだ。しかし、高速道路走行テストでは、燃費が5km/kWhへと急落した。
英国価格は2万1495ポンド(約460万円)から。
5. ポルシェ・タイカン - ベスト・プレミアムEVスポーツカーデザイン:9点 インテリア:9点 パフォーマンス:9点 乗り心地&ハンドリング:8点 コスト:7点
長所:軽快な機動力 バリエーション豊富なボディスタイル 長い航続距離
短所:高価 後部座席は狭め 見た目より大きい
タイカンはEVでありながら、紛れもなくポルシェらしい製品である。コーナリング時の荷重変化が完璧で、ボディを巧みに制御し、極めて滑らかでリニアな動きを見せる。

5. ポルシェ・タイカン
「圧倒的なパフォーマンス以上に、穏やかに運転した時のタイカンの心地よさには感銘を受けた」
――イリヤ・バプラート(ロードテスター)
直線での加速も圧倒的だ。フルスペックの『ターボS』モデルなら、公称値で0-100km/h加速2.4秒をマークする。
航続距離は選択する仕様に大きく左右されるが、最大容量のバッテリーを搭載したモデルでは、WLTP複合モードで驚異的な680kmを謳う。
AUTOCAR UK編集部による実測ではエネルギー消費効率6km/kWhとなり、実走行での航続距離は約580kmとなる。これほどの性能を備えたクルマとしては、非常に印象的な数値だ。
高級GTとしては、乗り降りのしやすさはやや限られている。車体の大きさを考慮すると後部座席のスペースはそれほど広くないが、運転時のエルゴノミクスは申し分ない。もう少し実用性を求めるなら、スポーツツーリスモ仕様も選択肢となる。
英国価格はVAT込みで8万8200ポンド(約1895万円)から。
6. フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリック - 電動Aセグメント車のベストデザイン:10点 インテリア:9点 パフォーマンス:4点 乗り心地&ハンドリング:4点 コスト:9点
長所:卓越したデザインと細部へのこだわり コストパフォーマンスが抜群 広々として装備の充実したインテリア
短所:走りに少し物足りなさがある EVモデルはハイブリッドモデルよりトランクスペースが狭い グレード間の価格差が著しい
フィアットは新世代のパンダでチャーミングな魅力を前面に打ち出し、ノスタルジックなスタイリングに見合う充実した内容を提供している。グランデ・パンダのデザインには細心の注意が払われている。エンボス加工されたパンダのロゴなどの独創的な工夫が、熾烈な競争が繰り広げられる小型EVクラスにおいて、際立った個性を与えている。

6. フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリック
「車内を見渡すたびに、新たなディテールに気づく。グランデ・パンダのデザインには、真心のこもった工夫が凝らされている」
――マーク・ティショー(編集者)
EVモデルのグランデ・パンダ・エレクトリックの英国価格は2万995ポンド(約450万円)から。最高出力113ps、最大トルク12kg-mを発生し、0-97km/h加速は11秒と、かなり穏やかなペースだ。速いとは言えないが、そもそもこれは子供の送り迎えやスーパーへの買い出しに使われることを想定した小型EVである。運転のダイナミズムに優れているわけではないが、軽快なステアリングと思い通りに扱いやすいハンドリングは、街中を走り回るのに理想的だ。
公称航続距離は最大320kmで、AUTOCAR UK編集部のテストではさまざまな速度域の道路を走行した結果、約300kmという非常に立派な数値を記録した。
同様に際立っており魅力的なのがインテリアだ。広々としており、装備も充実している。物理ボタンが適切に配置され、過度に複雑なスクリーンやテクノロジーに邪魔されることもない。
グランデ・パンダ(ハイブリッド)の英国価格は1万8995ポンド(約410万円)から、グランデ・パンダ・エレクトリック(EV)は2万995ポンド(約450万円)から。
(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)
