転倒は<歩けなくなる未来>の始まり…リハビリの名医が語る「歩く力の衰えのサイン」は「横断歩道の白線を…」
「外出先などで、階段や段差を避けるようになった」「気がつくと、すり足やちょこちょこ歩きになっている」という方もいるのではないでしょうか?「それは、『歩く力』が低下してきたという、体からの重要なサインです」と語るのは、リハビリテーション科医である安保雅博さんです。そこで今回は安保さんの著書『歩幅を見れば、寿命がわかる 「死ぬまで歩ける体」のつくり方』より一部を抜粋してお届けします。
【書影】1日3分からできる!歩く力を取り戻してイキイキ老後を手に入れる方法。安保雅博『歩幅を見れば、寿命がわかる 「死ぬまで歩ける体」のつくり方』
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「歩く力」は全身の健康状態を映し出す
「長い距離を歩くのが、つらくなってきた」
「段差や階段を避けるようになった」
「無意識に、手すりや壁に手を伸ばしている」
それは、体からのとても重要なサインです。
「歩く力」は、筋力・バランス力・柔軟力、そして脳の認知機能までを反映する、いわば全身の健康状態を映し出す指標です。
この力が衰えてくると、
●転倒しやすくなる
●外出が減り、活動量が落ちる
●認知機能の低下にもつながる
といったマイナスの変化が次々に起こります。
歩く力の衰えのサイン
転倒は要介護のリスクを高める大きな要因です。
そしてその先にあるのは、「歩けなくなる未来」「寝たきりの未来」です。
ただし、ここで大切なことがあります。
「歩く力の低下」は、ある日突然起こるわけではないということです。
少しずつ気づかないうちに進み、ある日ふと「あれ?」という違和感として表れる。
だからこそ、多くの人が見過ごしてしまうのです。
逆に、早い段階で気づき、正しく対処すれば、歩く力は何歳からでも取り戻すことができます。
歩く力の衰えのサインとして、わかりやすいのが歩幅の変化です。
成人の理想の歩幅(一方の足のつま先から、もう一方の足のつま先までの長さ)は、身長(cm)×0.45が目安とされています。身長が150cmの人なら、67.5cmです。
あくまで目安なので体型や年齢によって個人差はありますが、健康を維持するための目標としては65cmほどが適正とされています。若い頃と比べて歩幅が小さくなってきた気がするという方は、家の中などで一度計ってみるとよいでしょう。
横断歩道の白線の幅は、およそ45cmです。足の大きさが23cmなら、白線の幅に足の大きさを加えた長さである歩幅は、68cmとなります。
つま先を白線に合わせて次の一歩で越えられれば、適正とされる歩幅で歩けているということです。
しかし実際には、加齢と共にこの白線をスムーズに跨げない人が増えています。
体全体の衰えが表れる入り口
歩幅が狭くなる背景には、
●お尻や太もも、背筋の筋力低下
●股関節などの柔軟性の低下
●姿勢の崩れ
●バランス能力の低下
といった、全身の機能の衰えが関係しています。歩幅の変化は、単なる歩き方の問題ではなく、「体全体の衰えが表れる入り口」なのです。

(写真提供:Photo AC)
そして見逃してはいけないのは、歩幅が狭くなることで起こる「負の連鎖」です。
歩幅が狭くなる
↓
すり足や、ちょこちょこ歩きになる
↓
つまずきやすくなる
↓
転倒や骨折のリスクが高まる
↓
外出が減る
↓
筋力・体力がさらに低下し、気力も低下する
こうして、気づかないうちに「歩けなくなる未来」へと進んでしまうのです。
「歩く力」を取り戻す
特別な器具や難しい運動は必要ありません。
日常の中で少し意識を変えるだけで、体は確実に変わっていきます。
「歩く力」とは、単なる移動手段ではありません。
好きな場所に行ける。
会いたい人に会いに行ける。
買い物も、旅行も、自分の意思でできる。
この「当たり前の自由」を支えているのが、「歩く力」なのです。それは、「自分の人生を自分で動かせる力」そのものです。
「歩く力」を取り戻すことが、あなたのこれからの10年、20年、30年を支える一歩になることを、心から願っています。
※本稿は、『歩幅を見れば、寿命がわかる 「死ぬまで歩ける体」のつくり方』(アスコム)の一部を再編集したものです。
