5月20日、第17回中国国際エレベーター・エスカレーター展示会に出展されたエレベーター。(深圳=新華社記者/王豊)

 【新華社深圳6月9日】中国のエレベーター業界で、既存設備の更新や高度化を軸とする新たな需要が広がっている。新築物件への設置を中心とした市場拡大が一服する中、老朽化したエレベーターの更新や、エレベーターのない古い居住区への増設、バリアフリー・高齢化対応を見据えた改修が、業界の新たな成長分野となっている。

 広東省広州市でこのほど開かれた第17回中国国際エレベーター・エスカレーター展示会では、こうした市場の変化に対応した製品やサービスが紹介された。日立電梯(中国)の彭東斌(ほう・とうひん)副総裁は「今後5年間を展望すると、中国エレベーター業界の最大のビジネスチャンスは、引き続き都市再開発にある。バリアフリー化や高齢者向けの改修、優良な住宅建設、スマートシティー建設など複合的なニーズに、単一の製品ではなく、総合的な能力でどう応えるかが課題だ」と語った。

5月20日、第17回中国国際エレベーター・エスカレーター展示会に出展されたエレベーター。(深圳=新華社記者/王豊)

 国家市場監督管理総局のデータによると、中国のエレベーター保有台数は1200万台を超えている。このうち稼働年数が15年以上の老朽化したエレベーターは110万台余りに上る。エレベーターのない古い住宅団地への増設に加え、旧型設備の更新による需要が高まっており、市場の重心は「新規需要による量的拡大」から「既存設備の最適化」へと移りつつある。

 展示会に出展したフランツエレベーターのブースでは、利用者がエレベーターのかご内に長時間とどまるケースや、高齢者の転倒、故障による閉じ込め、子どもの単独使用など、異常状態を想定したシミュレーションが行われた。同社のシステムは、ミリ波レーダーによるモニタリング、子どもの単独利用を防ぐロック機能、スマート照明制御、モノのインターネット(IoT)を活用した遠隔対応などの技術により、従来の「受動的な保護」から「能動的な見守り」への転換を図っている。

5月20日、第17回中国国際エレベーター・エスカレーター展示会に設けられた日立電梯のブース。(深圳=新華社記者/王豊)

 既存設備市場で高まる質の高い需要に対応するため、中国のエレベーター業界では、人工知能(AI)、ロボット、デジタルビルディング技術を組み合わせた取り組みも進んでいる。優必選科技(UBテック)は今年5月、日立(中国)と協力協定を結び、産業用人型ロボット「Walker S2」をエレベーターの製造現場に導入した。日立電梯(中国)は、保守・運用のためのクラウドサービスセンターを構築し、エレベーターの稼働状況をリアルタイムで監視している。

 業界関係者は、中国のエレベーター業界は新たな発展段階に入りつつあると指摘する。都市再開発、スマートガバナンス、グリーン(環境配慮)・低炭素化を軸とした新たな産業の高度化が、業界発展の重要な方向性となっている。(記者/王豊)

5月20日、第17回中国国際エレベーター・エスカレーター展示会の会場。(深圳=新華社記者/王豊)