南海トラフ地震、12年ぶりに愛知県が被害想定を見直し 堤防強化や早期避難で死者は減少へ
この地方で甚大な被害が予想される南海トラフ巨大地震。愛知県は、12年ぶりに県独自の被害予測を見直しました。
国によると、今後30年以内に発生する確率が「60%から90%」とされる南海トラフ地震。
愛知県は「マグニチュード9」レベルの地震が起きた場合、県内のほぼ全域で震度6弱以上の揺れが襲うとしています。
最新の防災対策などを反映させて見直された被害想定では、最悪の場合、県内の死者は約2万7000人に上ると試算。地震直後、早期に避難した人が多ければ、1万8000人ほどに減るとの試算も示されました。
いずれも、2014年の前回調査に比べると減少するとの想定です。その要因は―。
「県民の皆様による防災対策の取り組みや、県が実施をしてきた河川海岸堤防、そして水門の整備の成果などにより前回調査と比較して被害が大きく減少するということも明らかとなりました」(愛知県 大村秀章 知事)
水際対策で死者想定1000人以上減
12年前と比べて改善したのが、浸水や津波など水による被害です。
水はけが悪い飛島村や弥富市などのゼロメートル地帯にとって、川の水門は、浸水・津波対策の生命線です。
「海抜ゼロメートル地帯が広がる愛知県西部を流れる日光川です。この日光川と伊勢湾とを繋ぐ水門がこの10年余りで地震に強い構造に造り変えられました」(記者)
愛知県西部の防災の要に位置付けられている日光川水閘門。
完成から50年以上が経っていた、かつての水門が丈夫な構造と予備電源などを備えた新たな水門になり、遡上する津波を防ぐ機能も強化されました。
また、三河湾に臨む豊橋市沿岸部の堤防は、コンクリートの内部を鋼鉄製の板で強化する技術が取り入れられ、大きな地震でも堤防としての機能を失わないようにしています。
沿岸部の“水際対策”の強化によって、浸水と津波で全壊する建物は、12年前と比べてほぼ半減。亡くなる人の数も1000人以上減るとの試算に見直されました。
「地震が発生したら、お住まいの地域やお勤めの地域で、どのような状況になるかを正しく理解していただいて、地震への備え、例えば建物の耐震化や家具の固定、十分な備蓄の確保などに取り組んでいただきたい」(愛知県防災危機管理課 山本真一郎 課長補佐)
要請待たずに物資を届ける「プッシュ型支援」
長久手市のモリコロパークの一角に国による支援物資の備蓄庫があります。全国に数カ所ある拠点の一つです。
「こちらが国から預かっているパーティションなどの物資です」(愛知県災害対策課 齊藤裕計 課長)
倉庫に保管してあったのは、湯沸かし器やシャワーなどの入浴用器材や調理用のシンク、段ボールベッドなど大掛かりな備品ばかり。
これが国の目指すスピード感を持った支援「プッシュ型支援」です。
プッシュ型支援は、国が被災自治体からの要請を待つことなく、災害時に調達しにくい支援物資を一早く被災自治体へ届ける仕組みです。
「元々ここは愛知県の備蓄倉庫、トラックへの積み込みも便利ですし、東名高速道路など交通手段も確保できていると思う」(愛知県災害対策課 齊藤課長)
建物の耐震化や堤防の強化などハード面での対策と避難生活のストレスを和らげる物資支援などのソフト面での取り組み。
さらに、迅速な避難行動など一人一人の意識の高まりが南海トラフ地震での被害を減らすことに繋がります。
「対策を講じれば確実に被害を減らすことができるとお示しできたのではないか。“備えあれば憂いなし”皆様と一丸となって、引き続き安全安心な愛知をづくりに取り組んでいきたい」(愛知県 大村知事)
