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“国の事業”をうたった投資トラブル 被害総額は約250億円か

 被害者は約5000人、被害総額は約250億円か。サーバー事業をめぐり「高い利回りが得られる」とうたい投資を募った京都市のデータ管理会社「クリアースカイ」。

【図で見る】“国の事業”うたった投資…その仕組みは?

 多くの人が信用し投資を行った背景にあったのは、“国の事業”をうたった説明でした。その実態とは…。

「腹立たしいし、返してほしい。一番はお金を全額とり戻したい」

 悲痛な思いを口にするのは広島県に住む50代の会社員Aさん。

 高い利回りが得られるとうたった投資に、娘の教育資金や老後資金など約1500万円をつぎ込みました。

 しかし、そのお金が戻ってくる見込みはたっていません。

 Aさんが投資したのは、京都市に本社をかまえるデータ管理会社「クリアースカイ」が手掛けるサーバー事業です。

 サーバーとは、ネット上などの膨大なデータを処理・保管するいわゆる「心臓部」です。相次ぐサイバー攻撃からデータを守るためには、複数のサーバーに分散させる必要があるため、近年急速に需要が高まっています。

【クリアースカイのオンラインセミナー】
(社長)「次世代型のサーバーのオーナー権をみなさまに持っていただきまして、国内で今ナンバーワンの地位を築いています。次は世界一を目指している」

投資の仕組みとは 被害者「こんなすごい話があるんだと…」

 クリアースカイが説明した投資の仕組みがこうです。

 客はクリアースカイが構築するデータサーバーの所有権を1口110万円で購入。クリアースカイは、サーバーを企業などに貸し出し収益を得ます。

 3か月後に元本に10%の利息をつけて客から買い戻し、再契約を繰り返すことで、年利が30%から40%になるとうたっていました。

(1540万円の被害 Aさん)「こんなすごい話があるんだと。だまされたと思って一口乗ってみようかなって」

徐々に金額を増やしていた矢先…支払いが滞り会社側と連絡が取れない状態に

 最初はきっちり支払いがあったため、Aさんは徐々に金額を増やしていきました。

 しかし今年2月、支払いが滞り…

(説明会中止のメール)「経営陣の生命身体に危害が及ぶ重大な行為がありました。一時的に保護された状態となっております」

 釈明のための説明会も中止になり、会社側と連絡が取れない状態になったというのです。

(1540万円の被害 Aさん)「えっ、そんな急みたいな。頭真っ白というか。何がウソなんかがわからないんですけど。そこで『えっ、詐欺だったのかな』という…」

弁護団長「サーバーはそもそも存在していなかったと考えられる」

 そして4月、Aさんら205人が、投資した金を、会社の資産から返してもらうため、京都地裁にクリアースカイの破産申し立てを行いました。

 弁護団によりますと被害者は全国で5000人、被害額は約250億円にのぼるとみられています。

(加藤博太郎弁護団長 4月7日)「被害者の方が友達や家族を入れてしまって、いわゆる被害が被害をうんでいる。サーバーというものはそもそも存在していなかったものと考えられています」

“国の事業”をうたい…政府や自民党の資料を持ち出し勧誘

 多くの人が信用した理由は、“国の事業”であることをうたった説明でした。

【クリアースカイのオンラインセミナー】
(社長)「政府も国も各国も使っていってるという感じですね。国のホワイトペーパー(白書)に載っています」

 クリアースカイは勧誘のために定期的に開いていたセミナーで、国が今後力を入れていく事業だとして政府や自民党の資料まで持ち出し説明を行っていました。

【オンラインセミナー】
(販売代理店)「アメリカ一国依存です。今は全てみなさん、アメリカのものを使っています。そして依存から脱却し日本独自でサーバー対策を急げ、これをクリアースカイがやっているわけですね」

警察との“サイバーセキュリティ勉強会”をSNS投稿 スポーツ選手との関係も宣伝材料に

 さらに会社関係者は、SNSで、兵庫県警など各地の警察とサイバーセキュリティ勉強会をスタートしたと宣伝していました。

 兵庫県警はMBSの取材に対し…

「県警から講師を派遣した事実はある。勉強会の協力社としてクリアースカイが入っていた。クリアースカイに協力したわけではない」

 他にも国会議員やスポーツ選手との関係も宣伝材料にしていました。

 セミナーやパーティーなどに参加していた元阪神タイガースの関本賢太郎さんは、今回の事態をうけ、活動を自粛しています。

記者がクリアースカイ本社を訪問 扉には貼り紙が…

 約5000人が投資したとされる事業に実態はあったのか。手がかりを得ようと京都市内にあるクリアースカイ本社を訪れると…

(記者リポート)「反応はありません。鍵はかかったままです」

 扉には、社長の名前で「弁護士から正式な通知を送るまで時間が欲しい」という内容の貼り紙がありました。

【音声入手】返金が滞った直後の緊急会議「炎上して警察となれば僕たちは拘束されるが…」

 さらに取材をすすめると、返金が滞った直後の今年2月に、経営陣が“サーバー投資”の販売代理店を集めて開いた緊急会議の音声を入手しました。

【緊急会議の音声】
(販売代理店)「何十億か何百億かわからないんですけど、そのお金はどこに使ってそうなってしまったのか」
(社長)「サーバーの高騰で利益がほぼないので、ぎりぎりの状態で運営している状態での資金の遅れというところになっているので、今、実際に何十億円あったものは実際には今ないという状態です」

 経営陣はサーバーをつくる費用が高騰し会社の資金が底をついたと主張。

(社長)「もしこれで炎上して警察となればもちろん僕たちは拘束されるわけで、そうなると僕たちとしても何もできない状態になるんですが、それまでは絶対お客さんに返すっていうのは一番に考えている。逃げも隠れもするっていうところは絶対にない」

 客に金を返すとし、逃げないと強調しました。

経営陣に近い人物が証言「売れば売るほど赤字になるとわかっているのに、やり続けていたという“ずさんさ”」

 自らも勧誘を行い経営陣に近い人物は、資金繰りは去年の年末には悪化し、自転車操業状態になっていたと経営陣から聞いたと話します。

(経営陣に近い人物)「去年の末頃からもうお金がまったくなかったと。お金はサーバーをつくる方に回したお金ではなくて、そのまま返金だったり利益分のお渡しするお金に横流ししていたと言っていた。原価の高騰の話もそうですし、売れば売るほど赤字になるということがわかっているのに、やり続けていたという“ずさんさ”」

詐欺や預託法違反の疑いでの刑事告発を検討「サーバーは1基ないしほとんど存在しなかったと言われている」

 弁護団が調べたところ、勧誘の際にサーバーを保管するとしていた大阪府吹田市のデータセンターは2年前に解約されていたということです。

 元々サーバーが作られていなかったとみて今後、詐欺や預託法違反の疑いで刑事告発することを検討しています。

(加藤博太郎弁護団長)「実際にサーバー事業をやろうとして失敗したということであればまだ許されたかもしれませんが、実際には集めたお金はサーバーをつくることに使われておらず、サーバーは1基ないしほとんど存在しなかったと言われています。被害者が多いので、しっかりと捜査本部ができて、警察組織にもしっかり動いていただくように働きかけをしていくというのが、私たちの役割なのではないかなと思っています」

 巨額の資金はどこに消えたのか、実態の解明を急ぐ必要があります。

(2026年5月27日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)