ド軍にまた悲報、1か月超の離脱リスクも…「重大な損傷」危惧されるキケの故障 難しい復帰の道
キケを襲ったアクシデント
米大リーグ・ドジャースの「キケ」ことエンリケ・ヘルナンデス内野手は26日(日本時間27日)、本拠地ロッキーズ戦で左腹斜筋を痛め途中交代するアクシデントに見舞われた。オフに受けた左肘手術から復帰2試合目。3回に本塁打を放つなど活躍を見せていたが、負傷者リスト(IL)入りとなった。ムーキー・ベッツ内野手も今季一時離脱を余儀なくされた腹斜筋の故障について、トップアスリートの専属トレーナーを務める「Tokyo Acupuncture Shibaura /はり治療院」の新盛淳司院長に聞いた。
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脇腹にある腹斜筋は、体の回旋や姿勢維持、呼吸の補助などに使われる筋肉です。野球ではスイング、投球、走塁のいずれの動作でも腹斜筋に負担がかかります。特にスイングでは、下半身から伝わる回転を上半身までつなぐ上で、左右の腹斜筋が大きく作用すると考えられます。
残念ながら再び離脱することになってしまったキケ選手は右打者です。右打者がスイングする際には、体は右から左へ大きくねじれ、ピッチャー方向へ体幹が回旋します。このとき左側の腹斜筋は、下半身から胸へつなぐねじれのパワーを出す上で、大きく働きます。フルスイング後のフォロースルーでは、加速した回旋を止めてバランスを取るため、同じ筋に伸ばされながらブレーキをかけるような負担もかかります。
大リーグの記録統計サイト「ベースボール・サバント」によると、今季復帰してから2試合でのバットの平均スピードが今季72.3マイル(約116キロ)。4打数4安打で本塁打1本、二塁打2本と打撃好調だったキケ選手の凄まじいパワーが脇腹に強烈なストレスを与える諸刃の剣となりました。大リーグの調査では、打者の腹斜筋損傷の多くは、右打者では左腹斜筋、左打者では右腹斜筋に生じると報告されています。
腹斜筋の損傷では、まず炎症を抑えるための安静が必要です。腹斜筋は咳やくしゃみでも使われるため、日常生活でも痛みを感じやすく、なるべく安静に保つことが大切です。
ベッツも5週間離脱、復帰までの難しさ
リハビリでは、痛みのない範囲でストレッチなどエクササイズを始め、徐々に腰を捻る動きを加えていきます。打者の場合は、軽いスイングからティーバッティング、フリーバッティング、実戦形式と段階を踏んでスイングの強度を上げながら、実戦に復帰する流れが一般的です。股関節の可動域が腹斜筋損傷のリスクになるとの報告もあり、全身のリハビリが必要になります。
腹斜筋損傷の問題は、復帰判断の難しさにあります。脇腹の痛みが引いたからといって、すぐに実戦で強く振れるわけではない点です。特に強打者ほどスイングスピードが速く、腹斜筋にかかる負担も強烈になります。
ベッツ選手は右腹斜筋を痛めて約5週間離脱しましたが、復帰に向けたリハビリの途中、フィールドでの打撃練習を再開した際に違和感が出て、一度ペースを落としたと報じられています。ケージ内の打撃に戻して様子を見たあと、再び段階を上げていき、5月上旬に復帰した経緯があります。どの段階で実戦の強さに戻せるか、試合で迷いなくフルスイングできるか、走塁や守備動作まで問題がないかを、こうした事例を踏まえて慎重に見極める必要があります。
大リーグの報告では、腹斜筋損傷からの復帰におよそ3〜5週以上かかることが多いですが、今回のケースは打撃練習で違和感を抱えながらプレーしたことで、悪化した可能性もあります。ロバーツ監督も「重大な損傷」と発言しているので、怪我の範囲が広がり、1か月以上の離脱を強いられるリスクも考えられます。
再発の例も報告されています。キケ選手自身も腹斜筋損傷は再発が少なくない部位でもあるため、慎重な対応が必要になります。3連覇を目指すドジャースのキーマンであるキケ選手の一刻も早い回復を願っております。
新盛 淳司
Tokyo Acupuncture Shibaura /はり治療院 院長。新浦安しんもり整骨院入船院、新浦安しんもり整骨院今川院代表も務める。関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔さんをセルティック時代から専属トレーナーとして支えるなど、トップアスリートのケアにも従事。
(THE ANSWER編集部)
