@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

通行量が時間帯によって変わる

この原稿を書いているのは、大型連休の最終日。昨晩(5月5日)のニュースでは、高速道路のUターンラッシュが映し出されていました。そこで東名高速道路や関越自動車道とともに紹介されていたのが、神奈川県川崎市と千葉県木更津市をトンネルと橋で結ぶ自動車専用有料道路、東京湾アクアラインでした。

興味深かったのは、夕方のニュースではアクアラインは目立たなかったのに、23時ぐらいにもっとも酷い渋滞になっていたこと。それを見て、自分も少し前に体験した、時間帯別料金を思い出しました。


海ほたるパーキングエリアから木更津方面を望む。    森口将之

首都圏で暮らす読者であれば知っている人もいると思いますが、東京湾アクアラインは土日祝日の通行料金が時間帯によって変わります。

昨年4月から、上り線(川崎方面)の13〜19時は、普通車ETC利用の料金が通常の2倍の1600円になる代わりに、20時から翌日4時までは400円に下がるようになりました。 下り線(木更津方面)はそこまでではないですが、朝5〜7時は1000円になるのに対して、0〜4時は400円になります。

その効果は昨年秋、金曜日と土曜日にアクアラインを使ったときに体感しました。週末の土曜日に上り線を利用したのが、1600円になる夕方だったこともあって、同じ夕方に通った金曜日より空いていて、渋滞がまったくなかったのです。

開通当初は片道4000円!

僕はかなり渋滞を嫌う人間だと認識しています。昨年のブログでは渋滞回避のテクニックを紹介しましたが、ほとんど動いていないのに運転という移動のための操作に専念しなければいけないのは、モビリティ(移動可能性)で言えば最悪に近い状況だからです。

なのでこのときは、距離と時間と費用をざっくり比較して、そのまま通過しました。あとで料金をチェックしたら、土曜日の分は1600円になっていましたが、時は金なり。特急料金を払ったようなものだと解釈しています。


木更津市内のアウトレットモール。    森口将之

今年の大型連休も、SNSの書き込みをチェックすると、時間帯別料金を活用した人がいたようで、1600円支払ったおかげで渋滞にはまらずに帰宅できた人、逆に400円になるのを待って20時まで近くの商業施設で過ごした人などが見られました。

ただ自分の肌感覚でも、アクアラインを走るクルマの数は年々増えている感じがします。僕は開業当時のアクアラインを利用したことがあるので、激変ぶりに驚かされます。

というのも、アクアラインの通行料金は、当初は普通車で片道4000円もしたのです。そのためガラガラ。千葉県側ではアクアラインの開通を睨んで、研究開発拠点の『かずさアカデミアパーク』を開発しました。しかしアクアラインの料金設定も影響したのか、最終的には運営会社が破産に追い込まれてしまいました。

こうした状況を見かねて、当時千葉県知事を務めていた森田健作氏が、菅義偉元首相などに掛け合い、国と県の負担で、2009年に800円を実現したのです。その結果、アウトレットモールなどの商業施設が数多く作られ、首都圏の人たちの身近なレジャースポットになりました。

クルマに関係する施設でも、袖ヶ浦フォレストレースウェイのオープンは同じ2009年で、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京、THE MAGARIGAWA CLUBはその後に開業しています。

強風時は通行止めにもなる

いずれにしても800円は千葉県側の要望なので、値上げ幅が大きいと、せっかく掴んだ客足を逃してしまいます。それに時間帯別にすれば、千葉県側で過ごす時間を伸ばし、消費を増やしてもらうというメリットもあります。

ただ、ピーク時の1600円はまだしも、閑散時を400円にするのは、やり過ぎではないでしょうか。とりわけ大型連休は、長距離ドライブに慣れていないドライバーが多いので、そういう人たちが深夜という、いつもは寝ている時間帯に運転するのは危険だと感じています。


木更津本線料金所での渋滞。    森口将之

もうひとつ気になるのは、アクアラインを使って千葉県に出かける人は増えても、移住する人はそれほど増えていないことです。

千葉県の統計では、人口増加数がトップなのはつくばエクスプレスが走る流山市で、アクアラインが乗り入れる木更津市、近隣の袖ケ浦市も増えてはいますが上位ではなく、逆に周辺の君津市や富津市が、減少数が多い自治体ベスト5に入る年もあります。

アクアラインは渋滞続きで時間が読みにくいうえに、強風時には通行止めにもなります。大型連休中も、5月4日は半日以上通れなくなっていました。そういう道路をインフラとして信頼しきるのは、難しいということではないでしょうか。

こうした状況を考えると、アクアラインに並行して鉄道を走らせるのが、現実的な解決策ではないかという気がします。アクアラインはトンネル、橋ともに、6車線に増やせる構造になっているとのこと。強風時は鉄道も運転見合わせになりそうですが、平常時は時間に正確で大量輸送が可能なメリットを活かせそうです。