KNB北日本放送

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地域の伝統産業として鋳物業が盛んな高岡市に、鉄を溶かす炉の「キューポラ」が老朽化している工場があります。効率的な電気炉ではなく、コークスを使う昔ながらのキューポラを修繕して次世代に残そうと、工場の男性がクラウドファンディングで協力を呼びかけています。伝統の火を絶やさぬための取り組みを取材しました。

高岡市内免の、鉄器を作る鋳物工場にある昔ながらのキューポラ。炉の中でコークスを燃やし、その熱で鉄を溶かす仕組みです。キューポラから出てくるのは、真っ赤に溶けた鉄。温度は1500度です。そして職人たちが素早く丁寧に、所狭しと並ぶ型に、流し込んでいきます。鉄を溶かす設備では、電気炉への切り替えが進む中、キューポラは高岡の鋳物産業の変遷を知るうえで、貴重なものとされています。しかし…

大谷彰郎さん
「ここの天井部分が、丸い天井部分が所々穴があき始めて」
「この鋳造を行うために、特にこの箇所は心臓部になりますので、ここが故障となると鋳造ができないということになってしまうので」

工場を営む大谷彰郎さんは、キューポラの傷みが激しく、安定して使えるのはあと半年ほどだとみています。

大谷彰郎さん
「電気炉の前にこういう形(キューポラ)があったっていうものが今も現存している、稼働しているということは、すごく歴史をつなぐ意味でも意味があるのかなと思います」

高岡で生まれ育った大谷さんは54歳。祖父が鋳物工場を営んでいましたが、自身はサラリーマンや喫茶店の経営など、長く別の道を歩んできました。

転機は11年前。

母親が営む、鋳物を製造・販売する会社に入り、伝統工芸の素晴らしさに魅了されました。そして、後継者不在で廃業の危機にあった取引先の鉄鋳物の工場の経営を3年前に引き継ぎました。50年余り、キューポラとともに歩んできた工場の火を守りたいと考えたといいます。

大谷彰郎さん
「電気炉で細かく毎日鋳造していくやり方ももちろん電気炉としての利点はあるんですけど、キューポラとしてはいっぱい型を込めてたっぷりのゆを沸かして(鉄を溶かして)、ダイナミックなやり方というのがキューポラの醍醐味かなと思っています」

キューポラは、炉をこまめに分解して行うメンテナンスが欠かせません。鉄を溶かすのは3日に1回で、その間に内部へレンガを付けるなどして高温による影響を抑える対策をしていますが、損傷は避けられないということです。

高岡の町が開かれた400年余り前、前田利長が呼び寄せた職人が最初に手掛けたのは、生活に欠かせない「鉄器」でした。その後、江戸中期に、扱いやすさなどから銅器が主流となりましたが、「高岡鉄器」は県の伝統工芸品に指定されています。

大谷彰郎さん
「本当に始まりというのは、前田のお殿様が高岡鉄器を、鉄鋳物で生活必需品を作っていこうというところから始まったものであると考えた時に」
「それがこうなかなか日々皆さんに、なかなか伝わることも知られることもなかったので、自分が携わるようになって、それはもうどんどん(高岡鉄器を)知っていただけたらいいなと」

キューポラを修繕して次世代に残そうと、大谷さんはクラウドファンディングで協力を呼びかけています。来月7日までの最終的な目標金額は250万円です。大谷さんは「キューポラを残すことで、高岡のものづくり職人の心意気を将来へ伝えたい」と話しています。

大谷さんによりますと、キューポラで鋳造するとやわらかさが感じられる鉄器に仕上がるということです。