ハンタウイルス集団感染の船から3人避難、船はカナリア諸島へ

(CNN)アフリカ西部の島国カボベルデの保健省は、ハンタウイルスの集団感染が起きているクルーズ船から3人を避難させると発表した。
クルーズ船に乗り込んで診察したカボベルデの医療従事者は、3人とも容体は安定していると診断した。当局は救急搬送機2機を派遣して患者の避難を支援すると述べ、うち1機は既に同国に到着しているとした。
これに先立ち世界保健機関(WHO)は、乗船者の間で人から人への感染が起きた可能性があると指摘していた。感染症対応の専門家マリア・バンケルコフ氏は「一部の症例では濃厚接触が確認されている。人から人に感染した可能性は否定できず、慎重を期すためにそれが起きたと想定している」と説明した。
ただし「公衆に対するリスクは低い」とバンケルコフ氏は述べ、人から人への感染が疑われる症例は、夫婦のような濃厚接触者の間で起きていると説明。「これはインフルエンザやCOVID(新型コロナウイルス)のように拡散するウイルスではない。全く違う」と強調した。
クルーズ船は現在、カボベルデの首都プライア沖に停泊しており、米国人17人を含む約150人が船内にとどまっている。
WHOによると、ハンタウイルス感染は4日の時点で2例の症例が確認され、5例は感染の疑いがある。
死亡したのはオランダ人夫婦2人とドイツ国籍の1人で、ほかに英国籍の1人が南アフリカで集中治療を受けており、容体は快方に向かっているという。
同船を運航するツアー会社やWHOによると、カボベルデから避難させた3人はオランダへの搬送を予定している。一方、クルーズ船は3日間の航海でカナリア諸島へ向かい、スペイン当局が疫学調査と消毒を行う。
スペイン保健省によると、容体の重い同船の医師1人は5日にカナリア諸島へ避難させる。寄港地はまだ未定だが、カナリア諸島で同船を受け入れる方針。欧州疾病対策センターは、カナリア諸島へ向かう前にカボベルデで緊急避難させる必要のある乗客の特定を進めている。残る乗客はカナリア諸島で診断や治療を受け、それぞれの国へ帰国させる。
船内では隔離や衛生措置の徹底、健康状態の観察といった厳格な対策が講じられており、ツアー会社によれば、乗客は全般的に落ち着きを保っているという。
WHOなどによると、クルーズ船は4月1日にアルゼンチンのウシュアイアを出航し、同月11日に船内でオランダ人男性(70)が死亡。遺体は24日に英領セントヘレナ島で降ろされた。妻(69)は南アフリカに運ばれた後、オランダ行きの便に搭乗しようとして空港で倒れ、近くの病院で26日に死亡した。女性はハンタウイルスの陽性反応が出た。5月2日には船内でドイツ国籍の女性が死亡した。
当局はクルーズ船に加え、南アフリカで死亡したオランダ人女性と同じヨハネスブルク行きの便を利用した搭乗者について、接触確認を行っている。
集団感染が起きた経緯は現時点で不明だが、WHOは、死亡したオランダ人夫婦が乗船前、アルゼンチン滞在中に何らかの形で感染したという想定で対応を行っている。
