京都の街を歩いて巡るアート体験!「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」烏丸エリアの注目会場&楽しみ方ガイド

【写真】会場は赤いのれんや旗、看板が目印
国際的写真フェスティバル「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」が、2026年5月17日(日)まで開催中。今年のテーマは「EDGE(エッジ)」。町家やギャラリー、博物館や寺院など、普段非公開の場所を含む京都の文化空間を会場に、8カ国・地域から参加のアーティスト14組による展示会を没入的に楽しめるイベントだ。
■街を巡って楽しむ!KYOTOGRAPHIEの歩き方
同写真祭は、「1カ所の美術館を見る」イベントではなく、“街全体を歩きながら巡る”のが特徴。展示ごとに場所も料金も違う、いわば「街歩き+アート体験」だ。
会場はギャラリーや町家、寺院など、京都市内各地に点在しているので、公式ホームページや各展示会場にあるMapで確認しよう。

有料と無料の会場があり、チケットは、オンラインまたは有料会場、一部京都市内書店・カフェ、京都市営地下鉄(3駅)で購入できる。行くことを決めているなら、事前のオンライン購入がおすすめだ。
各会場の単館チケットのほか、すべての有料会場に1回ずつ入場できる「PASSPORT TICKET(パスポートチケット)」(一般 6000円、オンライン5800円)や、会期中、何度でも全会場に入場でき、優先入場も可能な「EXPRESS PASSPORT TICKET(エクスプレス パスポートチケット)」(一般 1万5000円)などがある。
■まずはここへ!「インフォメーション町家」をチェック
どこへ行こうか迷ったら、まずは、KYOTOGRAPHIEの拠点となっている「インフォメーション町家」に立ち寄ろう。京都市の有形文化財に指定され、通常は非公開の京町屋・八竹庵(旧川崎家住宅)が使用されている。

土日祝日には、JR京都駅中央改札近く、京都タワー側の駅前広場に「JR京都駅インフォメーションキオスク」(10時〜17時)も開設されているため、駅からスタートするのもいいだろう。
会場は広域にわたっているため、地下鉄やバスを利用して回ることをおすすめする。京都市営地下鉄・市営バス全線、京都バス、京阪バス、JRバス(一部路線を除く)が1日乗り放題となる「地下鉄・バス1日券」(おとな1100円)も、市バス営業所や地下鉄各駅窓口で発売されているので、上手に利用しよう。
■拠点町家で出会う!展覧会&限定グッズも充実
「インフォメーション町家」として使用されている八竹庵は、大正時代に流行したフランク・ロイド・ライト建築様式の洋間を持つ京町家。
チケットや書籍、グッズの購入のほか、4月19日、26日、5月4日(祝)、6日(振休)、9日(土)、16日(土)の午後には、有料のお茶席も設けられる。(予約優先、一般 6000円、学生 4000円)。手ぶらで参加OKで、今回のテーマ「EDGE」について考え、感じる時間が過ごせそうだ。


■メインプログラムの展覧会も開催
さらにこちらでは、2つのメインプログラムの展覧会を開催している。
1階奥の蔵では、ファトマ・ハッスーナの「The Eye of Gaza」を展示。2025年4月にガザで爆撃により亡くなった、25歳のパレスチナ人・フォトジャーナリストへのオマージュ。生前、「死と破壊のただ中で、私は“生”を探しているのです」と語っていた彼女の貴重な写真作品を映像で発表している。



母屋の2階には、もうひとつの展示「Photo book!Photo-book!Photobook!」(by Sean O’Toole、In collaboration with A4 Arts Foundation)が。こちらは、南アフリカで1945年から2025年までに出版された膨大な写真集のアーカイブを通し、南アフリカのフォトブックの歴史を紐解く。2020年にスタートした世界初の展覧会プロジェクト。


1945年から現在までの南アフリカにまつわるフォトブック、200冊以上を展示。さらに、自由に閲覧可能なのがうれしい。
■老舗帯匠で出会うアート、女性性を問う「Camo」シリーズ
インフォメーション町家から徒歩約3分、京都・室町で江戸から続く老舗の帯匠「誉田屋源兵衛」では、2つの展示を開催。竹院の間に展示されているのは、タンディウェ・ムリウの「Camo」シリーズ。自身の経験をもとに「女性性」への問いを投げかけ、社会における女性への偏見や不可視化をテーマにした作品群だ。

アフリカの伝統的なワックス・プリントを用い、布に溶け込みながらも強い存在感を放つ女性たちを通して、女性の身体の対象化や沈黙を強いる社会への抵抗を表現している。

今回の展示では京都での滞在で生まれた新作も発表。こちらは無料会場の出町桝形商店街に展示されている。

同商店街内にあるギャラリー兼カフェ「DELTA」では、作品展示のほかにグッズの販売や図録などを見ることもできる。散策途中の休憩にもぴったりだ。

■フィクションが現実を変える!?注目作「シャイン・ヒーローズ」
母屋の奥にある黒蔵では、フェデリコ・エストルの写真プロジェクト「シャイン・ヒーローズ」を展示。エストルは、同祭と同時開催される公募型アートフェスティバル「KG+」の「KG+SELECT」の2025年受賞者だ。

同作品は、ボリビア・ラパスの街頭で働く靴磨き職人への偏見を払拭するために始まった協働型作品だ。顔を隠すマスクによって匿名性と連帯を保つ彼らを、悪と戦う“ヒーロー”として描き直し、新たな物語を創出している。


エストルは「フィクションが出口となり、希望を与え、変化を引き起こす可能性があるのです」と語る。これまで社会変革の手段として用いられてきたフィクションに着目し、現実を変える可能性を提示。さらに、当事者自身が自らの物語を再構築することで、希望を見出し、社会に新たな変化をもたらそうとしている。
■明治を代表する洋風建築で体感、リンダーの日本初個展
京都文化博物館 別館では、アーティストでありパンクの精神を体現してきたリンダー・スターリングの作品を展示。日本初の個展となる本展覧会では、彼女の主要な作品が紹介されている。

リンダーは、フォトモンタージュを大胆に駆使した作品で、欲望や身体、社会の固定観念に鋭く切り込む表現が特徴だ。約50年にわたる活動の中で生み出された代表作を通して、美しさやユーモアを交えながら、権力構造や価値観に問いを投げかける。


会場となる京都文化博物館 別館は、もともと日本銀行京都出張所だった建物。東京駅や日本銀行などを手がけた辰野金吾と弟子の長野宇平治が設計した。明治を代表する洋風建築で、昭和44年(1969年)に国の重要文化財に指定されている。

通常非公開の2階では、映像作品を上映。1階を見下ろせるスペースもあり、営業室や、屋根から自然光を取り入れるためのドーマー窓越しの自然光など、建築の様式も楽しむことができる。

■アートと一緒に楽しむ!周辺の観光スポット
市内各地に散らばる会場を巡るうちに、アートと観光がゆるやかにつながり、気づけば一日中歩き回ってしまうはず。ちょっと立ち寄りたい烏丸エリア近くの観光地を紹介する。
■▼烏丸エリアの観光情報
■京都国際マンガミュージアム
今や世界をリードする日本のマンガ文化。そんなマンガの歴史と文化を広めるため、国内で初めて登場したマンガ文化の総合博物館だ。明治期以降のマンガにまつわる関連資料から現代のマンガにいたるまで、数多くの資料や実物を通してマンガ文化に触れることができる。
■京都万華鏡ミュージアム姉小路館
眩い光の反射と屈折が織り成す幻想的な万華鏡の世界を広める万華鏡に特化したミュージアム。国内外から集められた万華鏡が常時50点程度展示され、自由に手に取ったり、実際にのぞいて見ることもできる。また、自分だけの万華鏡が作れる手作り教室も随時開催している。
■六角堂(紫雲山頂法寺)
いけばな発祥の地として知られる、聖徳太子が創建した寺院。本堂前の縁結びの柳には、妃を求めた嵯峨天皇が、この木の下で絶世の美女と出会って結ばれたとの伝説があり、縁結びのスポットとしても人気を集める。
■▼出町柳エリアの観光情報
■賀茂御祖神社(下鴨神社)
通称「下鴨神社」。「上賀茂神社」とともに賀茂神社(賀茂社)と総称される。上賀茂神社の祭神である賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)の母の玉依媛命(たまよりひめのみこと)と、玉依媛命の父の賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)を祀ることから「賀茂御祖(かもみおや)神社」と呼ばれる。毎年5月15日に行われる、賀茂神社両社の祭事である賀茂祭(通称「葵祭」)は京都三大祭りの一つとして有名。
会場を巡るごとに異なる京都の表情に出合えるのも、この写真祭ならでは。訪れるなら、ぜひ周辺の街歩きもセットで楽しんでみてほしい。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026
会期:2026年4月18日〜5月17日(日)
会場:京都市内各所
取材・文・撮影=二木繁美
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