この記事をまとめると

■トラックドライバー不足は日本だけではなく世界共通の問題だった

■2028年にはトラックドライバー不足は700万人規模に拡大するという予測がある

■トラックドライバー不足の原因は高齢化と規制強化や人材競争の激化だ

世界的に見てもトラックドライバーは不足している

「物流の2024年問題」が表面化する以前から深刻な問題となっているトラックドライバーの人手不足。ドライバーの高齢化と若手ドライバーが増えないという状況のなかで、2030年には輸送力の供給不足により、「全国でおよそ35%の荷物が運べなくなる」と試算されている。

 この問題は本サイトでも幾度となくリポートしてきた。その問題を解決するために、日本国内ではドライバーの労働環境を改善するための環境整備や法整備、トラックの輸送を鉄道や船舶に置き換える「モーダルシフト」やトラックの自動運転化など、官民協業であらゆる取り組みが行なわれている。しかし、まだまだ試行錯誤ともいえる状態で、根本的な解決には至っていない。

 そんなトラックドライバーの人手不足だが、じつは日本の物流業界だけに限った問題ではなかったのだ。バスやタクシー、トラックの事業者を養護する世界的な道路輸送組織「国際道路輸送連合(IRU・本部:ジュネーブ)」が2025年3月に公表したリポートによると、調査対象36カ国で360万人ものドライバーが不足しており、その数は2028年には700万人以上に倍増するともいわれている。日本の2024年問題は世界的なドライバー不足の一面に過ぎず、この構造問題は世界共通になっていたわけだ。

「ドライバーの高齢化」と「若手ドライバーがいない」という問題も世界共通。IRUの調査によると、世界のドライバーの年齢構成の比率は25歳未満が6.5%、55歳以上が31.6%という数字になっていた。そして、彼らドライバーの平均年齢は44.5歳。明らかに高齢化になっていることがわかる。また、2029年までに340万人が退職する見込みだといわれている。

 この世界的なドライバーの人手不足。前述したドライバーの高齢化と若手が入ってこないという問題はどの地域でも共通しているが、このほかの要因に関しては国によって違いが生じている。

 日本では1990年の規制緩和による運送会社の急増と運賃のダンピング、それにともなうドライバーの報酬減をはじめとした待遇悪化が問題視されており、それを改善するために2024年4月に本格適用された働き方改革関連法と昨年施行されたトラック新法によりドライバーの総労働時間が規制され、それにともない輸送力が低下した。

待遇がよくても規制強化でなり手が不足する欧州

 一方の海外では、とくにヨーロッパのドライバーの待遇は悪いものではなく、IRUの調査によればドライバーの平均給与は生活コストの1.3〜2.35倍の水準にあるという。欧州7カ国のドライバー1100万人への調査では、じつに81%が「仕事に満足している」と回答している。

 にもかかわらず人手不足が発生している原因は「規制強化」にあるという。アメリカでは移民政策と安全規制がその原因。FMCSA(連邦自動車運輸安全局)が施行した「非居住CDL規制」により19万人以上の外国人運転手が免許を失い、また英語力要件の厳格化により1万人が運行停止になり、薬物・アルコール検査データベースによる資格停止もそれに拍車をかけている。

 欧州では2020年から段階施行している「モビリティパッケージ」と呼ばれる規制が東西格差の構造問題を生み、イギリスでは2021年に行なわれたブレクジット(EU離脱)により、EU出身のドライバーが英国内の物流業界から大量に離脱。HGV(大型貨物車)危機が発生している。

 とはいえ、どの国・地域の規制も「悪法」というわけではなく、「安全」「労働者保護」「公正競争」という正当な目的をもっている。日本の規制はドライバーの健康を守るため、アメリカは交通安全のため、EUは東欧のドライバーの待遇改善のために規制を行っている。

 また、日・米・欧ともにその人手不足の解消のために動いているのが、「外国人ドライバー」の受け入れについて。日本では外国人の特定技能の対象分野に「自動車運送業」を追加し、2025年3月から本格運用している。

 しかし、この外国人ドライバーの受け入れもいずれ各国間による「ドライバーの取り合い」といった問題が発生するともいわれている。労働環境の整備や待遇改善はその国の国民も外国人も等しく改善すべき課題で、どの国の物流業界も人材確保のためにその課題に取り組んでいる。

 外国人ドライバーや国内の若手ドライバーに「ここで働きたい」と思わせる環境づくりが、物流業界の世界的な課題になっているといえる。