安定の兆しが見えない円安や、想定外の奨学金の不採用…。さまざまな理由から苦境に立たされている日本人留学生らを、ニュース番組『わたしとニュース』が取材。その背景にある課題を、留学奨学金プラットフォームの運営会社の代表取締役と考える。

【映像】日本人留学生のリアルな食事(実際の様子)

 東京大学3年生でイギリスに交換留学中のサクラさん。交換留学制度を利用して学費を抑えながらやりたかった学問に打ち込んでいるが、生活費は自分で工面する必要がある。

「一番困るのがお昼ご飯。寮にキッチンがついていないため、大学の前で無料の野菜カレーを配ってくれるサービスを使ったり、スーパーの『飲み物とサンドイッチとおやつ、3つ合わせて800円』というミールディールというサービスで安く済ませたりしている」(サクラさん、以下同)

 寮の家賃は、トイレ・風呂共有のシングルルームで約27万円。朝晩2食付きとはいえ、かなり高額。サクラさんは、奨学金を1つ受けているが、それでも生活はかなり苦しいという。

「私が現在受給している奨学金では、家賃の半額ほどしか賄うことができないので、外部の奨学金にも4つ応募したがどれも不採用だった。全落ちするとはまさか思っていなくて結構ショックだった。ただ自分の準備不足もあったと思う」

 その後アルバイトを探し、6カ所以上応募したもののすべて落とされてしまい、「もうメンタルもやられて、諦めてしまった」と語った。

 そんなサクラさんの日課は「円為替のチェック」。「家賃が数千円単位で変わってくるため毎日為替を確認して、レートがいい日に5万円、10万円ずつ替えるという感じでやりくりしている。勉強中や友達と遊んでいるときも、為替のニュースで一喜一憂している」。

 一方で、奨学金があっても円安で苦しむ留学生もいる。

貯金を切り崩してやりくりする留学生も…

 上智大学を休学して、デンマークに正規留学している野添葉音さん。かなりのリサーチの末に見つけた、理想的な勉強の環境があるとのことだが…。

「1時間バスに乗るだけで交通費が約1500円。カフェでサンドイッチを食べたら1つ約1800円。1日外に出るだけでも、かなりお金がかかってしまう」(野添葉音さん、以下同)

 2人部屋の寮で、トイレ・シャワー・キッチンは全て共同。野添さんが支払ったのは、授業料と3食の食費、寮費全て含めて130万円だったという。日本の奨学金を1つ受けながら貯金を切り崩して、なんとかやりくりできているとのことだが、この奨学金は高校時代の苦い経験があったからつかめたものだと語る。

「高校時代に長期留学に行きたかったが行けなかったという悔しい経験がバネになっていて、(奨学金の応募に)準備はかなり時間をかけて行った」

 ただ、奨学金があっても止まらぬ円安で生活は苦しく倹約の日々だと話す。

「今、円安の影響を大きく受けているので、十分な資金はない・全然足りないという印象。日常用品の文房具やシャンプーなどを日本から持ってきていて、それをできるだけ無駄遣いをしないように使っている」

「一つの枠を取り合う形に…」東大生も苦戦する“奨学金の壁”

 優秀な学生であっても奨学金の獲得や現地での生活維持が困難な現状について、留学奨学金プラットフォームを運営する株式会社RyuLogの平良美奈子氏は「奨学金はそもそも数が少なく、倍率が非常に高くなっている」と説明する。

「例えば東大生同士でひとつの枠を取り合う形にもなっている。『優秀だから奨学金を取れる』とよく言われるがそういう事ではない。あるいは、『いい大学に行ってたら、家庭的に余裕がある』と言われるが、学校のレベルはあくまで本人の努力と能力を示す一つの指標。金銭的なところは関係ない。彼らも一生懸命にさまざまなチャンスを取りに行っているというところは理解してあげてほしい」(平良美奈子氏)

 さらに、奨学金情報の探しにくさも大きな課題となっている。さまざまな団体が独自のフォーマットで募集を行っているため、学生が自分で情報を探し出し、ひとつひとつ手作業で応募しなければならない現状がある。しかも選考の結果がいつになるかわからないということもある。「自分で探しに行くには無理がある構造になっている」という。

 平良氏は、グローバル人材を育てるためにも、奨学金の在り方については、民間を含めた議論が起きるべきだと提言する。

「今は『国が奨学金を出すもの』というイメージが強いが、グローバル人材を必要としているのは社会であり、会社である。民間やさまざまな大人が学生を支援していく、そうした座組をムーブメントとして起こしていく必要があると考えている」

(『わたしとニュース』より)