孤立した母子と寄り添おうとする看護師の葛藤と決断 『アダムの原罪』予告編&ポスター公開
6月5日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開されるローラ・ワンデル監督作『アダムの原罪』のポスタービジュアルと予告編が公開された。
参考:ローラ・ワンデル監督の新作映画『アダムの原罪』6月5日公開決定 製作はダルデンヌ兄弟
本作は、長編デビュー作『Playground/校庭』でカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞受賞、米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト選出を果たしたワンデル監督の2作目となる、小児科病棟を舞台にしたヒューマンサスペンス。ベルギーの巨匠、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌがプロデューサーを務め、第78回カンヌ国際映画祭批評家週間のオープニングを飾った。
容易に答えの出ない道徳的ジレンマに直面する看護師ルシーを演じたのは、『ジュリアン』でセザール賞主演女優賞に輝き、『CLOSE/クロース』『あやまち』などに出演するレア・ドリュッケール。孤立したシングルマザーのレベッカを、『あのこと』『タンゴの後で』『モンテ・クリスト伯』『ミッキー17』のアナマリア・ヴァルトロメイが演じた。
公開されたポスタービジュアルでは、4歳のアダムが、母レベッカ(アナマリア・ヴァルトロメイ)にしがみつき、看護師長ルシー(レア・ドリュッケール)が、心配そうにアダムの顔を覗き込もうとするシーンが切り取られている。
あわせて公開された予告編では、骨折し、栄養失調でもあるアダムが、養育不能と判断を下された母レベッカと引き離される様子が映し出されている。ルシーは、孤立した親子にできる限り寄り添そうとするが、司法制度がそれを阻もうとする。最後に、幼いアダムから「死ぬのはヤダ」という悲痛な言葉が発される。大人たちは「アダムのために」どう決断するのか。
さらに、映画監督の呉美保、想田和弘、森達也、池田香代子からのコメントと12点の新場面写真が公開された。
コメント呉美保(映画監督)人の後ろ姿を、どこへ向かうのか、何をしようとしているのか、固唾を呑みながら追い続ける79分。誰もがそれぞれの事情を抱えながら、ただ「今」を必死に生きている。無情な不条理に、思わず叫びたくなる。前作『Playground/校庭』に続き、ローラ・ワンデル監督の、極限まで研ぎ澄まされたリアリズムに、圧倒された。
森達也(映画監督/作家)これが監督第二作となるローラ・ワンデルの手法は今回も健在だ。まさしく映画の極北。あるいはドラマの最終形。看護をめぐる倫理的コンフリクト。制度と命のジレンマ。二本の軸が軋みながら向かうラストの解釈も問題提起だ。
想田和弘(映画作家)デビュー作『Playground/校庭』から、その卓越した描写力、演出力、世界観において、すでに名匠の風格を感じさせたワンデル監督だが、2作目となる本作で、1作目の成功が偶然ではなかったことが証明された。凄い作家が現れたものだ。
池田香代子(ドイツ文学翻訳家)カオスのような夜の小児病棟を駆け回る看護師長。その背中を追う手持ちカメラは、もがく社会を映し出す。観る者に媚びず、しかし飽きさせない、完成度高い稀有なサスペンス。(文=リアルサウンド編集部)
