年収は上がる 採用は選ぶ 転職市場に強まる選別の波…選ばれるための条件は厳しくなる傾向
数字は景気の体温計といわれるが、今の転職市場はやや熱を帯びている。もっとも、その熱は均一ではない。賃金は伸び、求人も増える一方で、企業が求める人材像は絞り込まれている。
株式会社マイナビの集計によると、2026年3月の正社員の平均初年度年収は511.0万円となり、2018年の調査開始以来で最高を更新した。未経験求人でも1月451.9万円、2月455.3万円、3月457.5万円と連続して上昇し、全体を押し上げた。業種別では金融・保険が638.0万円、IT・通信・インターネットが594.3万円、コンサルティングが583.6万円と高水準が並ぶ。経験者求人に限れば金融・保険は724.3万円に達する。
採用の中身にも変化が見える。2026年3月の求人に占める経験者向けの比率は46.7%で過去最高となり、前年同月比でも上昇した。未経験は53.3%と依然過半だが、即戦力を重視する流れが強まっている。企業側は人件費の上昇を背景に、採用の量より質へと軸足を移しつつある。
求人と応募の動きも活発だ。2026年3月の求人件数は2023年平均比で205.7%、応募数は130.4%といずれも増加傾向を示した。金融・保険は求人312.7%、応募178.7%と突出し、不動産・建設・設備は求人237.4%、コンサルティングも234.7%と伸びが目立つ。応募面では公的機関・その他が162.7%、IT関連が149.5%と続いた。
給与水準の上昇と採用競争の激化を指摘する一方で、企業が求めるスキルや経験の明確化が重要になるとみる。賃上げの広がりは求職者に追い風だが、門戸は広がるだけではない。選ばれるための条件は、むしろ厳しくなっている。
