現存する最古の“チンチン電車”、平安神宮でよみがえる 修繕費2億円!「あの音が聞こえる…」
平安神宮(京都市左京区)は、境内で保管している現存最古級の路面電車「京都電気鉄道電車(京都市交通局二号電車・通称N電 ※)」の修繕を終え、4月1日から一般公開を始めた。


文化庁によると、国の指定重要文化財の鉄道車両を本格的に修繕したのは初めてという。
平安神宮は昨年(2025年)、創建130年を迎え、記念事業として車両の修繕と無料区画への移設を決めた。
修繕費用は約2億円。その一部はクラウドファンディングで集められた。


1895(明治28)年、日本最初の公共電気軌道となった京都電気鉄道は琵琶湖疏水の水力を利用して開業したが、1912(明治45)年、京都市電が営業を開始したため、京都電気鉄道は京都市電と競合することになり、その後1918(大正7)年、京都市に買収され、車両も市に移管された。


1911(明治44)に製造されたこの車両は、台枠の上に木製車体を載せている。人々からは「チンチン電車」と親しまれた。長さ8.3メートル、幅2メートル、高さ3.2メートル、構造体としての重さは6.7トン。


戦後、モータリゼーションの波が押し寄せ、この車両は1961(昭和36)年に廃止され、その姿を消した(京都市電の全面廃止は1978年)。この時、平安神宮が京都市から譲り受け、境内の神苑(有料区画)で展示していた。




約60年間、屋外で展示されていただけに塗装がはがれ落ち、内部のつり革が切れ落ちたり、座席生地が破れたりして傷みが激しかったが、車両修理を施し、多くの方々が見学できるよう、応天門の西側に新たに整備した覆屋で展示することになり、グリーンとベージュのツートンカラーの美しさがよみがえった。



ポーランドから訪れた21歳と17歳の兄と妹は、「私たちが住むワルシャワでは、路面電車は生活に欠かせない交通手段。展示されている車両は“日本的な”構造で趣がある。今の京都は地下鉄やバスの路線網が発達して便利だが、どこかの区間だけでも運行してほしい」と話した。

京都府向日市の85歳の男性は、「ああ、懐かしい」と感慨深げ。「もう60年以上も前だったが、京都駅前から衣笠(京都市北区)の立命館大学まで通学で使っていた。北野天満宮にもよく行った。あの当時ですら、広い堀川通の車の通行量が増えて、市電が“立ち往生”していたのを思い出す。展示を見ていると、市電が走る音が聞こえてくるような気がする」と話した。

※N電〜線路が狭軌(Narrow gauge ナローゲージ)だったことに由来する。


