タイガー・ウッズがDUI逮捕・起訴で無罪主張も…裁判のカギは「9年前の逮捕」
尿検査を拒否して
米男子ゴルフのタイガー・ウッズ(50)が3月27日午後(現地時間、以下同)、フロリダ州ジュピターアイランドの自宅近くで車を運転中に交通事故を起こして、DUI(飲酒運転または薬物の影響下で運転)の疑いで逮捕・起訴された事件で3月31日、タイガーは無罪を主張し、裁判で争う意向を示した。
ウッズはSUVランドローバーを運転中に高速でトラックを追い越そうとしたが、トラックの後部に接触して、運転席側を地面に打ち付けて横転した。ウッズは自力で脱出して、ケガはなかった。同乗者はいなかったという。
ウッズは酩酊の兆候が見られたことから呼気検査を受け、アルコール濃度はゼロだったが、尿検査を拒否したため、DUI(飲酒運転または薬物の影響下での運転)などの疑いで逮捕された。
米Page Sixが入手した警察の報告書によると、現場に駆けつけた警官たちは、ウッズと会話する中で、運転の機能障害の兆候をいくつか確認したという。ウッズは
「大量の汗をかいていた」
といい、目が充血して濁っており瞳孔が極端に開いているのが確認されたとしている。また、ウッズの左側のズボンのポケットから、麻薬性鎮痛薬ヒドロコドン2錠が見つかったとされる。ウッズは警官に
「携帯電話を見下ろしながらラジオのチャンネルを変えていたため、前方の車が速度を落としていたことに気づかなかった」
と説明したという。
ウッズはDUI、薬物検査の拒否の罪で起訴され、逮捕から8時間後に保釈金を納入して保釈された。米国のDUIとは「Driving Under the Influence of alcohol and/ or drugs」(飲酒運転または薬物の影響下での運転)の略で、米国では運転能力が損なわれた状態で車両を運転する刑事犯罪とされ、罰金、運転免許停止、禁錮刑などの罰則が科せられる。
メジャー15勝など数多くの記録を持ち「史上最高のプロゴルファー」と称されるウッズだが、’17年にもDUIで逮捕されている。
また、’21年2月にはロサンゼルス近郊で車を運転中に道路から飛び出し丘の斜面に激突して車は大破。右脚を粉砕骨折する重傷を負い、金属棒、ねじ、ピンを埋め込む大手術を受けた。再起不能といわれたが、’22年4月、マスターズで508日ぶりに復帰して「奇跡の復帰」と新たな伝説を作った。
そうしたなか、’17年のDUI逮捕があらためてクローズアップされている。
ポケットから麻薬性鎮痛薬
ウッズは当時、路上に止めたベンツの運転席でうなだれている状態でパトロール中の警官に発見された。外に出て歩行の検査などを受けたがもうろうとした状態で、DUIの疑いで逮捕され、薬物検査で2種類の鎮痛剤を含む5種類の薬物が体内から検出された。
Radar Onlineによると、当時ウッズは背中の痛みのために麻薬性鎮痛薬のヴィコディンを含む複数の鎮痛剤を服用していたことを認めて、
〈処方薬による予期せぬ反応で、複数の薬の併用がこれほど強い影響を及ぼすとは気づかなかった〉
と釈明。DUI、無謀運転、不適切な停車という3つの軽犯罪で起訴され罰金と1年間の保護観察処分、50時間の社会奉仕活動、更生プログラムへの参加を命じられた。その後、鎮痛剤依存症の治療のためリハビリ施設に入所した。
そして、今回の事件では、9年前のDUI事件を担当した弁護士を起用し無罪を主張して陪審員による裁判を要求するという異例の展開を見せている。
「あくまで推測ですが、ウッズが今回、アルコールの呼気検査は受けたが尿検査を拒否したのは、飲酒はしていなかったが、9年前のDUI逮捕の時と同じように鎮痛剤などの薬の影響で正常な運転ができなかった疑惑が発覚するのを嫌がった可能性がある。捜査には協力的だったものの、発言にかなり慎重な様子だったと報じられています。これは無罪を主張する布石だったのでは」(ハリウッド事情通)
はたしてウッズは裁判で無罪を証明するためにどんな主張をするのか。
「ウッズは当日の朝に鎮痛薬を服用したとしていて、事故は午後なので薬物の影響はなかったと主張する可能性も考えられます。彼が薬物検査を拒否しているので、事故当時に薬物を摂取していた物証はないことがどう判断されるか注目されます。検察側はポケットから麻薬性鎮痛薬ヒドロコドン2錠が見つかったことや、当時のウッズの状態などの状況証拠で有罪を証明する方針と推測されます」(法曹関係者)
ウッズは4月3日、治療施設に入所するためにスイス入りしたという。米TMZによれば、米国では安全かつ効果的に実施できないレベルの治療が緊急に必要なこととプライバシーを守るためで、判事が許可を出したという。
ウッズは4月に予定されていた初公判への出廷は辞退し、5月に再び法廷に出頭することになっているという。ウッズの無罪主張に対して陪審員がどんな評決を下すのか……。いずれにしても、再び華麗なプレーでファンを魅了するためにも治療して完治することが望まれる。
取材・文:阪本良(ライター、元『東京スポーツ新聞社』文化社会部部長)
