「友達ゼロで高校中退、バイト全落ち」コミュ障だったぼる塾あんり。学歴を捨て自由に生きる「元暴走族の両親」から見つけた答え
「友達の作り方がわからなかった」。高校を1年で中退し、バイトの面接も全落ち。かつての明るさを失い、暗闇の中にいた16歳のあんりさん。そんな彼女を救ったのは、学歴や世間体に縛られず「自分たちの人生」を自由に突き進む両親の背中でした。レールから外れた恐怖を、どうやって「自分らしい強さ」に変えたのか。挫折を経て芸人の道を選んだ彼女が、型破りな家族から見つけた「答え」を伺いました。
【写真】あどけない表情が新鮮!七五三のあんりさんが可愛くてほのぼのする(8枚目/全16枚)
「友達の作り方がわからない」高校中退、暗闇の中にいた16歳
── 3歳での両親の離婚、2年生での父の再婚。目まぐるしい環境の変化の中で思春期を過ごされたあんりさんですが、高校を1年で退学されています。当時の状況を教えてください。
あんりさん:私には少しヤンチャな兄が2人いて、小・中学校までは「あの兄貴の妹」ということで、自分から動かなくても周りが話しかけてくれたんです。でも高校に入ると、イチから友達を作らなければならない。その方法がわからないまま、気づいたらいつも1人でした。学校に行くのがツラくなり、1年生の夏休み前にはほとんど行かなくなりました。
── ご両親には相談されたのですか?
あんりさん: ある日「学校を辞めたい」と言ったら、父は「そうか」と。母には「頑張れるなら行ったほうがいいよ」と最初は止められました。父は元暴走族、母は元レディースで、父は20歳すぎ、母は19歳で結婚しています。とくに母自身は自由奔放な性格でしたが、若くして社会に出て、学歴がないことで選択肢が狭まる苦労を自分たちが味わってきたからこそ、娘には卒業してほしかったという親心だったのかもしれません。でも、私があまりにしんどそうに見えたのか、最後は「そんなにツラいなら辞める?」と言ってくれました。
コンビニバイトで出会った「恩人」と、取り戻した自分
── 高校を辞めた後は、どんな気持ちで過ごしましたか?
あんりさん:解放感と同時に、「この先どうしよう」という不安がありました。母からも「家でジッとせずにお金を稼ぎなさい」と言われて。中学時代のような明るい自分に戻りたくてバイトを探しましたが、面接を受けても受けても落ちるんです。友達ができなくて高校を中退したくらいだから積極性がなくなっていたんだと思います。
ようやくバイトを探しはじめて半年後にコンビニのバイトが決まっても、最初はスタッフとひと言も喋れませんでした。でも、3、4か月後に同い年の女の子が入ってきて、彼女が誰とでも仲良くなれる子で、私をみんなの輪に繋いでくれたんです。バイト先の実家が経営するお好み焼き屋さんにもその子とお邪魔したりと、どんどん縁が広がりました。彼女のおかげで4年間も楽しく働けたし、少しずつ本来の自分を取り戻せた気がします。
「あんりが、あんなに喋るなんて」驚いた母と、父の応援
── 本来の明るかったあんりさんを取り戻していったのですね。その後、バイトをしながら中学の同級生・相方のきりやはるかさんと芸人を目指すことになります。
あんりさん:中学時代にはるちゃんから、「将来一緒に芸人になろう」と言われましたが、私もはるちゃんも人前に出る性格ではないからムリだと断ったんです。でも、将来が決まっていないなかで再び誘われて、「友達と一緒にいられるなら」と決めました。
両親に伝えると、父は「あんりが自分から『これがしたい』と言ったのは初めてだから」と応援してくれました。母は、反対こそしなかったけれど、心配していましたね。家での私は大人しかったし、何より母のほうが私よりずっと明るくて喋りも上手いので、「あんりが芸人!?」って感じだったと思います。母が驚くのもわかります。普通に考えたら母の方が芸人向きな気がするんですよ。
── お母さんは明るくてお話上手な方なんですね。
あんりさん:はい。よく喋るし、場の空気を盛り上げるのがうまいから、気づけばみんなが母の話に引き込まれているんです。正直、今でも母が芸人になったら私より売れると思っています。でも、自分の意志が決まっていたので吉本NSC(吉本総合芸能学院)に入学。その後、芸人になってはるちゃんと舞台で喋る私を母が見て、「あんり、あんなに喋るんだ!」って驚いたみたいです。
「やりたいことを精一杯」両親の生き様が教えてくれたこと
── 高校中退から芸人へ。今、改めてご自身の歩みをどう振り返りますか。
あんりさん:今まであっという間でしたし、いろいろな出来事が繋がった先に、今の私がいると思います。私は元レディースの母と元暴走族の父のもと、大家族に育ち、3歳で両親が離婚。その後はフィリピン人の新しい母を家族に迎えるなど、「普通の家族」とはちょっと違う、多くの経験をしてきました。
でも、みんな自分がやりたいことを精一杯頑張っている人たちなんですね。仕事も人生に関してもそう。何かを我慢して惰性で日々を過ごすのではなく、自分ができること、自分が楽しめることをどんどん突き進む人たちに囲まれて過ごしてきました。
── 家族がいまのあんりさんを形づくってきたんですね。
あんりさん:そうですね。私は高校を中退して自分に自信が持てない時期もありましたが、芸人になることを諦めずに進めたのは、そうした家族の影響も大きかったと思います。
今はおかげさまで多忙な日々を過ごしていますが、何かあったときには戻れる場所、基盤となる家族の存在があるのは、とてもありがたいことだと思っています。
…
高校中退という挫折を経て、自分らしい生き方を見つけたあんりさん。「やりたいことを精一杯やる」という両親の潔い背中は、彼女の何よりの教科書でした。あなたが人生の岐路に立ったとき、迷いを消してくれた「誰かの言葉」や「家族の姿」はありますか?
取材・文:松永怜 写真:あんり

