古代エジプト人はなぜミイラを作ったのか? 文化によって変わる遺体の扱い方【図解 死の話】
永遠に続くのは肉体か魂か、死の先の考え方の違い
永遠を求めた人類の2つの道
古代の人々は、死後に消えてしまうことを怖れ、死の先に「永遠」を求めました。しかし、その永遠の意味は文明によって異なっています。
古代エジプトの人々は、肉体が永遠であることを選びました。死者の体に防腐処理を施し、ミイラにして保管していたことがわかっています。それは、一度離れた魂が再び肉体へ戻ってくると信じていたからです。死後の世界は地上での生活の延長とされ、衣食住や財宝まで副葬して、“もうひとつの人生”の準備をしました。肉体こそ魂の依り代であり、その保存は再生の条件だったのです。
一方、古代インドでは魂そのものが永遠であることが信じられました。肉体は仮の器にすぎず、死は魂が次へと移る過程だとする思想が広がりを見せます。人は何度も生まれ変わり、善行を重ねることで悟りの境地に近づくと考えられたのです。火葬はその象徴であり、炎が肉体を清め、魂を次の世界へ導くとされました。
この2つの道は対立するわけではなく、異なる形で永遠が求められた結果です。肉体を残す文化は形ある永遠を、魂を信じる文化は形なき永遠を追い求めました。
どちらの道を選ぶにしても、死を恐れる心の裏側には、「生を超えてなお続く何か」を信じたいという人間の本能があったといえます。
古代文明が求めた永遠
古代エジプトでは肉体の保存を、古代インドでは魂の浄化を重んじた。“永遠の命”をどう実現するかが、文明によって異なる死生観を形づくった。
古代エジプトの死生観
古代エジプトの人々は、死後の審判を経て永遠の命を授かると信じた。ミイラ化した肉体は、いずれ戻ってくる魂を迎え、来世で復活するために必要なものだった。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳
