米ダウ平均は40年で3380%成長も…日経平均は246%成長にとどまる。日本人が「現金」を信じ続けて失った“莫大な富”
過去40年間で、NYダウ平均株価は3380%の上昇を記録しました。一方、日本の家計資産の過半数は、いまだに利息のつかない預金に眠ったままです。この対照的な事実こそが、日本人とアメリカ人の間に生まれた資産格差の正体かもしれません。『普通のひとでも富裕層になれる シンプルな投資の学び』(日経BP)著者の市川雄一郎氏が、日米の資産構成の違いから、私たちが目指すべき「長期・分散投資」のあり方を紐解きます。
現金・預金割合アメリカの4.3倍…いまだ「現金依存」の日本
もうかなり過去の話になりますが、アメリカでは株式を個別に購入することが難しく、投資信託を通じて株式投資を行うのが一般的でした。しかし、インターネットの普及により、今では世界中の株式や投資信託に簡単にアクセスできるようになり、分散投資が容易になっています。
投資信託やETF(上場投資信託)を活用することで、個別株への依存を減らし、リスクを分散しながら資産を効率的に増やすことができます。これにより、株式市場の一時的な下落や経済的なショックにも耐えられる投資ポートフォリオを作成することが可能となります。
さて、日本、アメリカ、ユーロエリアの金融資産構成を見てください(図表1)。
[図表1]家計の金融資産構成 出所:「資金循環の日米欧比較」(日本銀行調査統計局、2024年8月30日)
日本の金融資産における現金・預金の割合は約51%であるのに対し、アメリカは約12%、ユーロエリアでは約34%となっており、日本人がいかに「現金・預金派」であるかがわかります。
アメリカでは投資信託や株式等が金融資産全体の過半数を占めていますが、日本ではこの割合が2割にも満たないのが現状です。ただし、それでも過去と比較すれば、日本でも投資への関心は着実に高まってきているといえるでしょう。
ダウ平均、40年で3380%成長…日経平均と“圧倒的格差”の米国株
アメリカ人は、確定拠出年金(通称「401k」)を通じて積極的に投資を行っています。いくつかの金融機関が発表しているデータによると、株式ファンドの保有比率はどの年代層でも比較的高く、20〜30代では70〜90%、40〜50代では50〜70%、60代以上でも30〜50%に及んでいるようです。
つまり、アメリカ人の多くは株式で資産を運用しており、株価の暴落は文字通り「死活問題」になり得るのです。
アメリカでは、企業が配当を減らしたり、増配を続けてきた企業が増配をストップしたりすると、社長や役員が辞任に追い込まれることもあります。それほどまでに厳しい経営責任が問われる国なのです。だからこそ、アメリカの株式市場は長期的に見れば着実に成長を続けているのだともいえます。
たとえば、ダウ工業株30種平均(ダウ平均株価)は、1985年10月4日以降、大きなトレンドとして右肩上がりに推移しています。以降の約40年間で3380%も成長しています。日経平均株価と比較してみると、その差は歴然です。これがアメリカ株式の強みといってもいいでしょう。
[図表2]ダウ平均株価の推移 出所:Google Finance
[図表3]ダウ工業株30種平均株価と日経平均株価の成長率比較 出所:Google Finance
資産形成のカギを握る「分散投資」
とはいえ、日本でも株式投資による資産運用を考える人は着実に増えています。さらに分散投資の重要性が徐々に認識されるようになり、特に長期にわたり安定的に資産を増やすためには、株式だけでなく不動産、商品(コモディティ)、債券など、さまざまな資産クラスに投資することが推奨されています。
分散投資は、異なる市場や経済環境でリスクを分散させ、安定的なリターンを得る手段として非常に効果的です。たとえば、株式市場が不調のときでも、不動産や債券市場が安定している場合、その投資がリスクヘッジとなります。これにより、リスクを低減しつつ、投資家はより高い利益を追求できます。
また、グローバルな視点で投資を行うことも重要です。特に日本の投資家にとっては、国内市場のみに依存するのではなく、海外の成長市場や新興国市場に投資先を広げることで、より高いリターンを得ることが可能になります。
世界中に分散投資を行うことで、特定の国や地域の経済状況に左右されるリスクを減らし、安定的に資産形成を行うことができるのです。
分散投資と長期的な視野が、経済の荒波を乗り越える
賢い投資家であるためには、将来的にアメリカ経済や日本経済がどのように変化していくのかを見越し、その変化に対応していく必要があります。
アメリカの経済は依然として強力であり、世界中でその影響力を持ち続けています。特にテクノロジー分野や消費市場が成長を牽引しており、今後もその傾向が続くと予測されています。
アメリカ政府の経済政策や中央銀行の金利政策も、グローバル市場に大きな影響を与えるため、これらの要素を注視することも欠かせません。またアメリカの金融市場は、企業の成長やイノベーションを支えるための資金調達がしやすい環境であることも、投資家にとっては魅力的です。
一方、日本経済は長らくデフレに悩まされていましたが、現在は景気回復の兆しが見られ、日経平均株価もさらに上昇していく可能性が高いとされています。日本企業の国際競争力も増しており、特に自動車や半導体産業は成長が期待されています。日本市場の特性として、安定した企業が多く、高配当株の魅力が増している点も投資家にとって有利です。
ただし、世界的なインフレ圧力や金利の変動、さらにはトランプ米大統領の再登場による国際環境の急変や地域的な紛争を含む地政学的リスクなど、予測不可能な要素が経済に影響を与える可能性もあります。
それでも今後、資産を増やすために大事なことは、目先の利益にとらわれず、長期的な視野で投資を行うことです。短期的な市場の動向に過度に反応するのではなく、経済の基本的な成長動向を見極めつつ、ポートフォリオの多様化を図り、リスクを抑えながら着実に資産形成を進めることが重要です。
特に、長期的な投資戦略をとることで、経済の波を乗り越え、安定的な利益を得ることができるでしょう。
市川 雄一郎

