氷上に現れたピカチュウと、田中刑事(左)ら指導陣【写真:羽鳥慶太】(C)2025 Pokemon. (C)1995-2025 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

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田中刑事が監修「ポケモンチャレンジ」がスタート

 横浜市のコーセー新横浜スケートセンターで11日、ちょっと変わったイベントが行われた。日本スケート連盟が初心者を対象に行なっている「基礎スケート教室」の場に登場したのは、日本発の世界的な人気キャラクター「ピカチュウ」だ。スケートを履いて氷上を滑る姿に、子どもたちは驚きの声を上げた。実は五輪メダリストも大きな期待をかける、競技振興の切り札なのだ。

 この日リンクに集まったのは、小学1年以上の約100人。初めてスケートを履く子も多かった。リンクを囲むボードにつかまって立つところから始まり、体重移動しながら前に進んだり、しっかり止まる技術を学んだ。

 指導にあたったのは、そうそうたる顔ぶれだ。1998年の長野五輪、スピードスケート女子500メートルで銅メダルを獲得した岡崎朋美さんや、フィギュアスケート男子で2011年の世界ジュニア選手権2位、2018年の平昌五輪出場などの実績を持つ田中刑事さん、さらに日本代表としてアジア大会に出場し、現在は神奈川大学で後進の指導にあたるショートトラック男子の村竹崇行さん。リンクに現れた田中さんが高い滑走技術を見せると、子どもたちや保護者から歓声が上がった。

 それ以上の人気だったのがピカチュウだ。教室の後半に姿を見せ、3人の講師とリンクを1周する姿を、子どもたちは目を輝かせて見つめた。5月から全国のリンクで始まる普及活動「ポケモンスケートチャレンジ」に合わせての登場だった。

 これは小学生以下を主な対象に、スケート靴の履き方から基本的な滑りまでを習得していくためのノートを配布。全部で52個ある段階をクリアするごとに「こおりタイプ」のポケモンシールがもらえるというもの。全てクリアすると、スケートの滑り方が身につくだけでなく、ポケモン図鑑が完成するという仕組みだ。アニメ好きで知られる田中さんも、監修としてカリキュラムの作成に関わっている。

荒川静香、岡崎朋美も登場 メダリストが口にする期待

 背景には競技人口の減少がある。スケートにはアイスリンクがなければできないというハードルがあり、地域的な特性も強い。神奈川県で指導する村竹さんは「競技人口の減少は身をもって感じているところです」という。まして人口減の世の中だ。スケートに興味を持ってもらう入り口を広げるに越したことはない。

 帰宅する子どもたちを見送った村竹さんは、早くもノートを開いて、興味津々に見つめる子どもの姿が印象に残ったという。また岡崎さんはピカチュウを「国民的ヒーローですから」と表現し「これを見て子どもたちが僕も、私もとなる。あのノート、全部埋めて欲しいですよね」と笑った。

 またイベントの終盤には、2006年のトリノ五輪フィギュアスケート女子で金メダルを獲得した荒川静香さんが登場。自身がスケートを始めたきっかけは、フィギュアのコスチュームで一般的な「ヒラヒラのスカート」を履いてみたかったという話を引き合いに出し、ピカチュウ登場についても「これ欲しいとリンクに来たことで、スケートを知ることもあるかもしれない、人気があるものがスケートとコラボしてくれるのは嬉しい。ピカチュウがいるからリンクへとなるわけですよね。それで夢ができたり、成長するかもしれない」と大きな期待をかける。

 スケート競技にはフィギュア、スピード、ショートトラックと3種目があるが、揃ってアピールする機会はほとんどなかった。教室後のエキシビションでは、各競技の現役選手がリンクに登場。子どもたちはフィギュア選手のジャンプやスピン、スピード選手のバランス感覚、ショートトラックのぶつかり合いやバトンタッチの技術に目を見張った。

 岡崎さんは「スケートは非日常。氷に乗るだけでも楽しんで欲しいんです。子どもたちに全部見せられたのはすごくいいことだし、私も勉強になりました」。種目ごとではなく、スケート界全体で魅力を訴えていく必要性を口にしていた。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)