『サンダーボルツ*』©2025 MARVEL

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 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!今回は『サンダーボルツ*』のネタバレ全開のトリビアです。

参考:初登場3位『サンダーボルツ*』 「安定期」に入ったMCU作品興行、その実態は?

 今回のコラムは『サンダーボルツ*』をすでにご覧になった方を対象としたコラムです。ネタバレ全開でいきます。

■なぜ落下シーンから始まるのか?

 映画の冒頭はマレーシアのクアラルンプールにある超高層ビルからエレーナ(フローレンス・ピュー)がダイブするシーンから始まります。

 このビルはもちろん実在のビルで、高さ678.9メートルを誇る、世界で2番目に高いビル、ムルデカ118です。このシーン、エレーナを演じるフローレンス・ピューが自らスタントをこなしたことも話題です。5月にトム・クルーズ主演の『ミッション・インポッシブル:ファイナル・レコニング』が公開されるから、彼女なりのトム・クルーズに対しての挑戦状だったのでしょうか?(笑)ちなみにこのシーンは『アベンジャーズ/エンドゲーム』において、惑星ヴォーミアの高い崖から身を投じたエレーナの“姉”であるナターシャ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)の行動を彷彿させます。ナターシャは崖から飛び降り彼女の物語を終わらせました。逆にエレーナのストーリーはこの落下から始まるのです。

■あのメルのペンダントの意味は?

 本作において印象的なキャラの一人が、ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)の秘書メル(ジェラルディン・ヴィスワナサン)です。

 映画オリジナルっぽいですが、実はコミックの『サンダーボルツ』にはメリッサ・ゴールドという人物が登場し、彼女はソングバードという音(発声)を使って活躍するヒーローとなります。どうやらこのメリッサを意識してメルというキャラが作られたようです。劇中メルは鳥=バードがデザインされたペンダントをしており、目ざとい海外のファン何人かは、これがメル=ソングバードであることの証と主張しています。

■タスクマスターのリキャスト?

 衝撃的だったのはタスクマスター(オルガ・キュリレンコ)の死。実は生きていたパターンで途中復帰かと思ったのですが、出てこなかった。ただこのシーンのおかげで、この先あのメンバーの誰が死んでもおかしくないという緊張感が生まれたともいえます。タスクマスターの正体が女性でありナターシャと因縁のあるドレイコフの娘というのはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のオリジナル設定であり、映画『ブラック・ウィドウ』に登場しました。コミックではアンソニー“トニー”マスターズという男性です。MCUとしては将来的にコミック版の設定に基づいたタスクマスターを登場させるため、一旦MCU版の方をここでリタイアさせたのかもしれませんね。

■“左から失礼”などキャプテン・アメリカへのメンション

 ジョン・ウォーカー/USエージェント(ワイアット・ラッセル)が電源を壊す際、このセリフを言ってエレーナたちの作業に割り込みます。これは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)が言ったセリフであり、『アベンジャーズ/エンドゲーム』ではまだファルコンだったサム(アンソニー・マッキー)が言いました。つまり、MCUの2人のキャプテン・アメリカが言ったセリフです。

 それを“キャプテン・アメリカもどき”のウォーカーが言うのが面白い。なお本作『サンダーボルツ*』では最後のほうの戦いでバッキ―が車の扉を盾にしますが、これは『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でスティーブがタクシーの扉を盾にするシーンを意識していると思います。また劇中、修繕中と思われるワシントンDCの塔が映りますが、これは恐らく『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』でレッド・ハルク(ハリソン・フォード)によって損傷したからでしょうか?

■サンダーボルツ*はニューアベンジャーズだった! ついに明かされたアスタリスクの意味

 本作のタイトル『サンダーボルツ*』の「*」(アスタリスク)が何を意味するのか、ファンの間で憶測が飛び交っていましたが、一番多かった説が、これは“このチーム名は注釈付きである”ということを示唆しているのだと。つまり『サンダーボルツ(仮)』『サンダーボルツ(変更の可能性あり)』みたいなニュアンスだろうと。実際、サンダーボルツは新しいアベンジャーズ(ニュー・アベンジャーズ)だったわけですから、「*」はやはり「(仮)」「(変更の可能性あり)」だったわけですね。

 ちなみに、コミックでは2005年にメンバーを少し変更した『ニューアベンジャーズ』なるコミックが発刊。スパイダーマンとウルヴァリンがアベンジャーズ入りした画期的なシリーズです。その最初のエピソードで、特殊な刑務所ラフトに収監されていたセントリーが復活するという展開になります。

 そう、コミックにおいてセントリーが再フィーチャーされたのが『ニューアベンジャーズ』誌であり、映画においてセントリー(ルイス・プルマン)が登場したのは、映画『サンダーボルツ*』=『ニューアベンジャーズ』ということです。

■オープニングタイトルはセントリーをフィーチャー

 『デッドプール&ウルヴァリン』でデッドプールに茶々を入れられたり、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』にはなかったマーベル・スタジオ・ロゴの映像ですが、本作で復活。ただし今までみたいに歴代MCUのヒーロー映像ではなくコミックの画像です。これはセントリーが登場するコミックのシーンをコラージュしています。

 コミックといえば、O.X.E.グループは原作にも出てきますが、なんと創設者はヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌの性格・外見をしっかりコピーした彼女のアンドロイド(Life-Model Decoy)。このアンドロイドが創設した組織という設定です。

 なお、セントリーことロバート/ボブ役のルイス・プルマンは、『トップガン マーヴェリック』でもロバート/ボブという名前のキャラを演じていました。

■『ローリング・ストーン』誌のカバーの意味するものは?

 晴れて“ニューアベンジャーズ”としてデビューしたサンダーボルツの面々。エンドクレジットでは、彼らが様々なメディアの表紙を飾ったことがわかります。その中で、『ローリング・ストーンズ』誌の表紙になったことがわかりますが、これはイギリスのロックバンドであるクイーンが表紙に載った時のパロディです。ちなみにこの時の表紙は『QUEEN II』というアルバムのためのものでした。つまり、サンダーボルツの連中がクイーンのこのアルバムの真似をしているということは、自ら“アベンジャーズII”と名乗りたかったからではないでしょうか?

■『サンダーボルツ*』の製作が遅れた理由とは

 サンダーボルツには“裏アベンジャーズ”的なノリがあります。であるならば、『アベンジャーズ』映画が盛り上がっているときに製作すればよかったのでしょう。しかし海外の記事が指摘しているのが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が予想以上に大成功したので、裏アベンジャーズとしての立ち位置がガーディアンズで埋まってしまったからだそうです。つまり、ガーディアンズとの差別化が難しいと。確かにどっちもポンコツ軍団が大いなる驚異の前に団結し立ちあがる、というストーリーですよね。ガーディアンズとサンダーボルツがある意味似ているから、両者がつぶし合いにならないよう『サンダーボルツ*』の製作を遅らせたようです。

■3チームが出そろって『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』へ!

 次のMCU超大作は『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』ですよね。すでに伝えられているように、この作品は、いまのMCUのメインタイムラインとは別のバースの話とされています。

 しかし今回のポストクレジットシーンにおいて、別のユニバースにいるファンタスティック4のメンバーが時空を超え、メインのMCUのタイムライン(時間軸)にやってくるということがわかりました。

 ということは、2026年公開の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ(原題)』においては、エレーナたちのニューアベンジャーズ、サム・ウィルソンが立ち上げようとする“こっちが本家だ!”的なノリのアベンジャーズ、バースを超えて活躍するファンタスティック4という3チームが揃って、大いなる脅威=ロバート・ダウニー・Jr.が演じるドクター・ドゥームに挑むという展開になるでしょう。こうなると、サムが編成中の“こっちが本家だ!的アベンジャーズ”の面子が早く知りたいですね!

 以前、セバスチャン・スタンにインタビューした際、彼は「『サンダーボルツ*』はヒーロー版『ブレックファスト・クラブ』」と言っていました。なにもかも違う5人の高校生が集められ、自分と向き合い心を通わせていく映画です。まさにサンダーボルツの面々とあの高校生たちがオーバーラップします。

 僕が『サンダーボルツ*』を好きな理由は、相手を殺すということでしか解決策を持っていなかった連中が、無血で、銃でなく心で脅威から人々を守ったという展開です。相手をその人が持つトラウマ体験の中に永遠に閉じ込めるって、物理的な攻撃よりずっと恐ろしいことです。

 そうした闇を電撃稲妻(サンダーボルツ)が蹴散らしてくれたんですね。『デッドプール&ウルヴァリン』、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、そして『サンダーボルツ*』とMCUの快進撃が続きます! 早くも次の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が楽しみです!

(文=杉山すぴ豊)