90年代の国産スポーツカーが人気

1980年代から1990年代のバブル景気真っ只中の日本では、潤沢な資金を投入しさまざまな贅沢な車が生み出されました。

特に、その年代は国内の各メーカーから後に名車と呼ばれるスポーツカーも多く誕生しており、それらを象徴的な存在とし、メーカー自らがリフレッシュサービスを提供したり新しい車のデザインモチーフに使ったりと、現在もそれを資産として活用しているメーカーは少なくありません。

トヨタ スープラや日産 スカイライン GT-R、マツダ RX-7、スバル インプレッサWRX、三菱 ランサーエボリューション…など、人気がある90年代のスポーツカーを挙げればキリがなく、これらは性能も超一級だったと、伝説的な扱いをされています。

国内のみならず海外にも熱狂的なファンを生み出し、25年ルールによって続々と中古車が海外へ輸出されている影響もあり、中古車販売価格は軒並み上昇中。新車販売価格を超えるものも珍しくありません。

販売価格の高いならその分状態も良い?

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一般的に、中古車の販売価格はその車の状態によって上下します。走行距離がわずかで年式も新しく、ボディや内装の傷、汚れが一切なければその値段は高くなります。いっぽうで、走行距離が多く年式が古い、ボディや内装の傷、汚れも目立つというような状態であれば値段は安くなります。

ところが、90年代のスポーツカーは一部例外となるケースはあるものの、ほとんどのモデルで「年式相応に、状態があまり良くない程度」であれば高値となっています。人気があるうえ、生産終了でもう手に入らないというプレミアによって、一時期は安ければ数十万円で買えたようなモデルも価格は高騰。

現在は多少落ち着きを見せてはいるものの、例えば15年前であれば20万円で買えたようなモデルに100万円以上の価格がつけられているため、落ち着いたとは言ってもまだ高騰が続いていると言える状況です。

例えば、日産 スカイラインのER34型は、かつては中古車市場の中でも手軽に買えるFR車のひとつでした。状態にこだわらなければ学生がアルバイトで買える程度の金額で販売されており、ER34型スカイラインのほかにも、今では信じられないような金額で販売されていたスポーツカーは中古車市場に無数に存在していました。

しかし、現在のER34型スカイラインは安くとも100万円近くかそれ以上。かつての相場で言えばとても状態の良い個体が買えた金額ですが、現在はこれだけ出しても状態は「いちばん安い中古」なりのものです。

さらに、そもそも年数も経っているため、より高価な状態が良い中古車であっても、慎重なケアやこまめなメンテナンスが必要になります。「高額な中古車なら状態が良く手間がかからない」というわけではないため、注意が必要です。

性能に期待しすぎると肩透かしを食らう?

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また、90年代のスポーツカーはそれが登場するアニメやマンガ、映画等もあり、こうした作品に観てそれらの車に憧れを持ったという人も少なくありません。ハイスピードでのカーチェイスや派手なドリフト走行など、車が魅せるアクションを観て一度は真似してみたいと思う人もいるでしょう。

これらの車はモータースポーツシーンでも多大な活躍を見せており、新車登場時にはレーシングドライバーや評論家によるサーキットでの試乗インプレッションも人気があるほど、各メーカーが走行性能でしのぎを削っていました。

そのため、90年代スポーツカーの「走りの性能」に期待している人は多く見られます。実際に、高い出力を誇るエンジンと、現在の水準で見れば軽量な車体にそれを搭載しているため、速い車であることは間違いありません。

しかし、当時と現在では技術、特にタイヤの進化が著しく、またエンジンをはじめとしてさまざまな箇所で高効率化が進められているため、現在の車と比較するとカタログのスペックでは圧倒的に差があるにもかかわらず、体感できる速さにそこまでの差はないという場合もあります。

アニメやマンガ、映画等で憧れを持ち「速さ」に期待して購入すると、肩透かしを食らってしまうことも。それらの作品はあくまでもフィクションであり、速さは演出のひとつであることを十分に理解し、過度な期待をしないことが、その車を持てる喜びを噛みしめるためには必要です。

補修部品は「ない」or「高い」?維持には愛が試される

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走行性能に過度な期待をすると期待外れになる場合もあるという話に付け加えると、全開走行などは車への負荷が大きくなり、部品の消耗・劣化も早くなります。修復が難しいダメージが蓄積してしまったり、交換しようにも部品の製造が打ち切りになっているということもあるため、愛車と長く付き合いたいのであれば、車に無理をさせるような走り方はしないほうが懸命です。

また、そういった走行をしないにしても、ゴムやプラスチックなどでできた部品は経年劣化によりいずれは交換が必要になります。交換しなくても走行に支障がないという部品もありますが、走れはしても車検で不適合となる場合がある部品もあり、思わぬパーツが原因で公道での使用ができなくなったという例は、古い車では少なくありません。

各メーカーは、ある程度の年数はその車を補修するための部品を供給していますが、保管できるスペースには限りがありますので、古いモデルの部品は、需要が少ない部品から順に供給が打ち切られていきます。少なくとも25年以上前となる90年代の車の場合はその部品の供給がすでに終了となっていることは珍しくなく、その場合は中古部品や同一部品を使うモデルから流用するなどの対応が必要です。

在庫があったり、一部のモデルでは復刻部品として新たに販売されたりする場合もありますが、いずれも割高。そして次から次へと部品の交換をはじめとした修理が発生していくため、90年代のスポーツカーに限らず、古い車を維持することはお金も時間もかかります。このように、憧れる人が多い90年代スポーツカーは、実際に所有するのにさまざまな苦労が伴うことになります。

それでも「買わなきゃ後悔すらも味わえない」

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これらの中古車は、現在のスポーツカーを新車で買うよりは安く買えることもありますが、車体価格だけを見て安易に購入するのはのちのち後悔につながるかもしれません。

「いつかは所有したい」と憧れる人が多い90年代スポーツカーですが、「憧れるだけで終わらせる」という選択肢も持っておくことも重要です。

ただし、これらは二度と生産されることがなく、中古市場へ流通する台数も限りがあります。前述の25年ルールにより、人気のモデルは海外へ輸出されている状況です。自身で所有できないだけでなく、本物を目にする機会すら減っていくおそれもあります。

買わずに後悔するか買って後悔するか、オーナーの中には後者を選んだという人も少なくないようです。