大谷が発表した声明を確認するのが重要(Dogers/Jon Soohoo提供・共同)

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 ドジャース・大谷翔平(29)の通訳を務めていた水原一平氏(39)による違法賭博の真相は依然として藪の中だ。

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 大谷は日本時間26日に自ら声明を発表し、「僕自身は何かに賭けたり、(水原氏にブックメーカーへの)送金を依頼したりしたことはない」と違法賭博への関与を真っ向から否定。水原氏が大谷の口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)を不正に送金したと報じられていることに「彼が僕の口座からお金を盗んで、みんなに嘘をついた」と説明していた。

 大谷は「信頼していた方(水原元通訳)の過ちを悲しく、ショックに感じている」と吐露したが、米メディアやSNS上では懐疑的な意見が少なくない。

 大谷が自身の口座から約7億円の大金が消失したことに気付かなかったのは極めて不自然だし、そもそも通訳が選手の口座にアクセスし振り込みを行うのも不可解という声が消えない。

 ジャイアンツ、メッツの2球団で通訳を務めた経験がある小島克典氏(50)がこう解説する。

「通訳が選手に代わって支払いをするのは珍しくはありません。米国の光熱費は日本のように口座引き落としではなく、クレジットカード払いで手続きしていなければ、毎月請求書が送られ、コンビニ等で支払いを済ますのが一般的です。選手によっては面倒な支払いを通訳に代行してもらうため、生活費決済用の小口預金口座を預かる場合もあるはずです。大谷選手も水原元通訳に光熱費など小口の決済を頼んでいた可能性があります」

 遠征先で食事した際、選手が財布やクレジットカードを持ち合わせていない場合、通訳が支払って、持ち出しになることも少なくないという。

 メジャーリーガーは試合開催地の州で納税する仕組みになっている。今季のドジャースでいえば、本拠地ドジャースタジアムのあるカリフォルニア州以外に17州(ワシントンD.C.とカナダ・トロントを含む)で試合数に応じた納税の義務が生じる。

「1020(テントゥエンティー)といわれる確定申告は年に1度とはいえ、州ごとの納税はメジャーリーガーにとってはかなり面倒なものです。しかも、税率は州ごとに異なり、試合数から税額を計算して納める必要があり、手間がかかるからです。大谷選手が契約するCAAのような大手代理人事務所であれば、ファイナンスチーム(経理担当)が処理すると思われますが、個人で運営する小さな事務所であれば『おまえは通訳だろ。やってくれよ』と丸投げされることもあるでしょう。通訳の主な仕事は選手のコミュニケーションを手助けすることですが、球場外の生活サポートも役割のひとつであるため、球団や代理人からも重宝される存在です」(小島氏)

 昨年12月、ドジャースと合意したプロスポーツ史上最高の10年総額7億ドル(約1050億円)のうち、6億8000万ドル(約1020億円)を後払いで受け取る大谷の今季年俸は200万ドル(約3億円)。大谷は最高税率が適用され、連邦税37%の他、カリフォルニア州税だけでも約13%の計50%(約1億5000万円)超となる。

 仮に通訳が納税まで任されたとしても、億を超える金額を選手の口座から自由に振り込むのは可能なのかーー。(つづく)

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