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CX-60を象徴する直6 最上位のPHEV

それが何時になるかは分からないが、「いずれは電気自動車」は間違いないだろう。

【画像】「マツダCX-60」PHEV、ディーゼル、ガソリン、マイルドHV【4種のパワートレインを見る】 全94枚

電力インフラ整備等々の諸問題が手付かずでもあり、何時になるかは不明だが、パワートレインへの電動技術導入は進むばかりだ。


CX-60 XD Lパッケージ(ディーゼル/2WD/ソウルレッドクリスタルメタリック)    前田惠介

電動化では少々出遅れていた感の強いマツダだが、新開発の縦置(FR系)プラットフォームの導入とともに、電動化を一気に進めるべく「PHEV」を導入した。

一方、マツダのエコといえば忘れてならないのがディーゼル。

MX-30とロードスター、OEモデルを除く全モデルにディーゼル車をラインナップし、CX-60も例外ではなく、しかも新開発にして既存ラインナップの上位設定となる「直6」である。

2.2L 4気筒の気筒数と排気量を1.5倍にしたような構成だが、直6を展開できるのは縦置プラットフォームの強味であり、CX-60を象徴するパワートレインだ。なお、ディーゼルには“マイルドハイブリッド仕様”と“標準型”が設定されている。

今回は「シリーズ最上位パワートレインでもあるPHEV」と、直6ディーゼルの実力を直に味わえる「標準ディーゼル車」のツーリング試乗で実力や特性を試してみた。

PHEVの見所は、3要件のバランス

「PHEV」は、NA仕様の直4 2.5Lとトルコンレス8速ATをベースとし、最高出力129kW=175psの駆動(回生)用モーターをエンジンとミッションの間に配置したパラレル式を採用する。

駆動用バッテリーは17.8kWh。満充電でのEVモードでの航続距離は75kmであり、買い物等の短距離用途には十分である。


CX-60 PHEVエクスクルーシブ・モダン(PHEV/4WD/プラチナクオーツメタリック)    前田惠介

EVモード時のドライバビリティは穏やか。

2tを超える車重に129kW(175ps)とはいえ、変速ギア比を考えれば相当な瞬発力を示してもおかしくはないが、そうしないのは扱いやすさを重視した結果だろう。

しかも、深く踏み込めばEVモードでもパラレル制御に移行し、車重をものともしないパワフルな加速力を発揮する。

“ドライバビリティ、動力性能、自然なドライブフィールの三点を高水準でバランス”がこのパワートレインの見所であり、とくにノーマル(ハイブリッド)モードでの制御がCX-60のキャラにも似合い。

比較的早い時期からエンジン稼働あるいはエンジン出力を高め、巡航時から加速への応答がよく、滑らかで力強い。

加速の盛り上がりとか伸びやかさが適度な昂揚感も生み出し、電動化によるエコ性能の向上以上に“パワー面やファントゥドライブでの最上位モデル”の印象が濃い。

たんに出力を抑えたディーゼル?

「標準仕様のディーゼル」は、エンジン本体のパワースペックもマイルドハイブリッド仕様と異なり、最高出力が23ps、最大トルクが5.1kg-m低下している。

実際に試乗した印象もデチューン版の印象は否めない。


3.3Lの直6ディーゼル・ターボ(231ps/51.0kg-m)を縦置きで積むディーゼル仕様。こちらも8速トルコンレスATとの組み合わせだ。    前田惠介

踏み込み直後の加速の立ち上がりだけでなく、緩やかなアクセルコントロールに対する追従性、深く踏み込んだ時の加速の伸びやかさ等で及ばない。

ただ、悪い印象はない。

スポーティとか昂揚感を尺度にしてデチューン版としたのだが、大排気量とターボがもたらしたクラス最大級の太いトルクと低速域での穏やかな扱いやすさで、市街地も山岳路も高速も悠々としている。直6らしい滑らかさはディーゼルを意識させず、高回転域までストレスなく回る。

付け加えれば、トルコンレス8速ATとの相性もいい。駐車等の極低速域での扱いはトルコンATと遜色ない。

対策は万全にしても、多板クラッチ型でこれほど半クラッチ領域を広くして大丈夫なのか心配してしまうほど。ハイブリッド系2モデルに比べても、クラッチ制御や変速がスムーズだ。

頼もしくも親しみやすい高性能なのだ。

重量差 250kgもあるけれど

駆動方式はPHEVとマイルドハイブリッド車が4WDに限定されるが、標準ガソリン車と標準ディーゼル車は4WDと2WD(FR)が設定され、試乗した標準ディーゼル車は「2WD仕様」。

フットワークはサス設計だけでなくホイールベースや重量、駆動方式等々の物理的条件の影響が大きい。


CX-60 PHEVエクスクルーシブ・モダン(内装色:ナッパレザーピュアホワイト)    前田惠介

車体サイズは同じでも、PHEVと2WDの標準ディーゼル車では車重に250kgくらいの差がある。駆動方式も車重も異なる2車だが、乗り味の差は少ない。ほぼ同じといってもいいくらいだ。

加減速や旋回でのノーズダイブやスクォートが少なく、ピッチ方向の車体軸線変化を抑えた挙動。緩みや遅れなく、しかも過剰反応や揺れ返しの少ない操舵応答性とライントレース性。

操舵初期応答など2WD車のほうが多少切れ味が強めの印象もあったが、マツダの目指したハンドリングがどういうものか伝わってくる挙動と操縦特性だ。

さらに言うならマツダ車味が濃いせいで、FF系プラットフォームモデルとの差異があまり感じられない。また、段差乗り越え時の突き上げが目立つなど乗り心地のしなやかさが薄いのが残念だ。

見極めは「走りの質」「扱いやすさ」

パワートレインのグレードアップで動力性能は向上するのが一般的である。

「PHEV」は、実用動力性能やエコ性能だけでなく、昂揚感等のファントゥドライブの要素でもCX-60の最上位パワートレインらしい味付け。刺激よりもドライバビリティの質を求めた特性も好感が持てる。


CX-60 XD Lパッケージ(ディーゼル/2WD/ソウルレッドクリスタルメタリック)    前田惠介

「標準ディーゼル車」は、マイルドハイブリッド仕様に比べると切れ味・昂揚感は今ひとつ及ばないが、得手不得手のない扱いやすさや馴染みやすさが見所。

同グレードの4WD車同士の価格差は、約160万円である。

WLTCモード燃費はPHEVが14.6km/L、標準ディーゼル車(4WD)が18.5km/L。ちなみにマイルドハイブリッド車は21.0km/Lであり、燃料コストの点ではディーゼルが有利である。

……スポーティなプレミアムSUVとして選ぶのがCX-60の本筋だろう。

ならばPHEVは魅力的だが、標準ガソリン車以外の3パワートレインを試乗して最も印象に残ったのは「標準ディーゼル車」だった。

コスパの面ではマイルドハイブリッド車と悩ましい部分もあるが、シリーズでは手頃感のある価格設定と直6ディーゼルの“エンジンフィールと余力”が好印象だった。

マツダCX-60 スペック

CX-60 PHEVエクスクルーシブ・モダン(4WD)

価格:584万6500円
全長:4740mm
全幅:1890mm
全高:1685mm
車両重量:2060kg(サンルーフ車:2090kg)
パワートレイン:2488cc直4+モーター
ギアボックス:8速トルコンレスAT
最高出力(エンジン):188ps/6000rpm
最大トルク(エンジン):25.5kg-m/4000rpm
最高出力(モーター):129kW(175ps)/5500rpm
最大トルク(モーター):27.5kg-m/400rpm
動力用電池:リチウムイオンバッテリー
燃料:ガソリン
燃料タンク容量:50L
WLTCモード燃費:14.6km/L
乗車定員:5名

CX-60 XD Lパッケージ(2WD)

価格:400万4000円
全長:4740mm
全幅:1890mm
全高:1685mm
車両重量:1810kg
パワートレイン:3283cc直6ディーゼルターボ
ギアボックス:8速トルコンレスAT
最高出力:231ps/4000-4200rpm
最大トルク:51.0kg-m/1500-3000rpm
燃料:軽油
燃料タンク容量:58L
WLTCモード燃費:19.8km/L
乗車定員:5名


CX-60 PHEVエクスクルーシブ・モダン(PHEV/4WD/プラチナクオーツメタリック)    前田惠介