寺地拳四朗選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

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プロボクシングの世界ライトフライ級王座統一戦が2022年11月1日にさいたまスーパーアリーナで行われ、WBC同級王者・寺地拳四朗(BMB、30)がWBA同級王者・京口紘人(ワタナベ、28)を7回TKOで破り王座統一に成功した。寺地はWBC王座を初防衛し、京口はプロ17戦目で初の黒星となった。

「想像以上に差がついた感じがある」

日本人選手同士よる10年ぶりの世界王座統一戦は初回に寺地が左ジャブで主導権を握った。寺地はテンポ良くワンツー、右クロスを打ち込み5回には右ストレートでダウンを奪った。京口は5回のダウン直後に反撃し寺地を棒立ちにさせるもあと一歩及ばず。終始ペースをつかんだ寺地が7回に京口を仕留め2つ目のベルトを獲得した。

試合の模様は米国など海外でも放送され世界の注目を集めた。実力者同士の一戦は前評判通り緊迫した展開となったが、勝敗を分けたポイントはどこにあったのか。J-CASTニュース編集部は、プロボクシングの元協栄ジム会長の金平桂一郎氏(56)に分析してもらった。

金平氏は寺地の7回TKO勝利に「想像以上に差がついた感じがある」と率直な感想を述べ、立ち上がりの両者のボクシングに言及した。

「初回にジャブの打ち合いになった時に一番目立ったのが寺地選手のポジショニング。前後の出入りとサイドステップが非常に良かった。京口選手はガードがしっかり上がっていたが寺地選手のテンポの良い連打に後手を踏んでしまった。寺地選手がうまい戦い方をした。寺地選手が思い切り行って京口選手がポイントを失う。京口選手が焦っているところにうまくカウンターで迎え撃つ。ボクシングの幅の差。それが予想以上にあったと思います」

「京口選手は6回に勝負をかけるべきだった」

金平氏が試合のポイントに挙げたのが6回の攻防だ。直前の5回に京口はダウンを喫しながらもすぐに反撃に出て寺地を追い詰めた。続く6回は寺地選手が距離を取り再びペースをつかみ主導権を握った。

金平氏は「京口選手は5回にダウンを奪われた後、寺地選手が打ち疲れたところをうまくとらえかけたが、ゴングが鳴り攻撃が途切れてしまった」と振り返り持論を展開した。

「定石としてはその直後の6回にすぐ攻撃にいかなくてはならない。だが間を取ってしまっことで寺地選手がリズムを取り戻すことができた。あそこが大きかった。京口選手は勝負をかけるべきだったが、あそこでお互いに落ち着いてしまった。京口選手も分かっていただろうが出ることができなかった」

そして「寺地選手は常に先に先に攻めていった。いい距離感で右ストレート、右クロスが当たっていたので京口選手の陣営は混乱したでしょう。京口選手はしっかりガードを上げてパンチを見ていたが、それを上回る変化に富んだ寺地選手のボクシングでした。結果として非常に内容の濃い面白い試合になったが、全体の流れからすると寺地選手の完勝でした」と締めくくった。

世界主要2団体の王座統一に成功した寺地は試合後、この日のセミファイナルで王座防衛に成功したWBO世界ライトフライ級王者ジョナサン・ゴンザレス(プエルトリコ、31)に3団体王座統一戦を呼びかけた。