安倍元首相の事件現場の献花(写真:ZUMA Press/アフロ)

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「お花とお供えなどは、故人へのお気持ちと共にお持ち帰りください」――。奈良市が、街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の事件現場(近鉄大和西大寺駅付近)に掲示した張り紙に、SNSで賛否の声が上がっている。

「故人へのお気持ちと共にお持ち帰りください」の真意

張り紙をめぐっては、「冷たい」などと疑問視する声が、2022年10月14日頃からツイッターに寄せられ、注目を集めていた。花やお供えを持ち帰るように呼びかける一文だけが書かれており、掲示主などの記載はない。

SNS上では「故人に花を手向ける気持ちが迷惑だと言いたいのか」「あまりにも酷すぎませんか」などと批判する声が上がる一方、「片付ける人の事を考えましょう」「あの場所は献花をするには危険」と理解を示す声も見られた。

張り紙について、奈良市役所都市整備部の西大寺駅周辺整備事務所の担当者は10月17日、J-CASTニュースの取材に対し、市が掲示したものだと明かした。

担当者によれば、今回の張り紙は、7月18日まで設置していた近鉄大和西大寺駅前の献花台が撤去された後に置かれた。この献花台が設置されていた時期は、自民党の関係者が献花の回収や保管などを行っており、奈良市では回収していなかった。

しかし献花台が撤去されるとともに、こうした関係者もいなくなり、市が回収作業を行うようになった。担当者は「奈良市としてもお花を無碍に扱うことも出来ません」とするも、処分や包装の仕分けなどのコストがかかり、「最小限にしていきたい」という方針だという。

張り紙の内容について、担当者は次のように説明している。

「『故人へのお気持ちと共に』というところは、お花を持って帰って頂いても、そのあとすぐに捨てるわけではないと思っています。例えば、ご自宅に飾られるなどと思います。その際には常に安倍元首相のことを考えて、お花を生けられたりするでしょうから、そういったお気持ちとともに(献花を)持って帰って頂いて、また然るべきところで、安倍さんの事を思いながら、お花を生けて頂ければな、と思っております」