タイミングベルトの役割とは

 タイミングベルトの交換は10万kmごと。交換しないと大変なことになる、というのはクルマのメカに詳しくない人でも知っているだろう。ボンネットを開けるとエンジンの上部に交換を促すステッカーも貼ってあったりする。

 交換しないと大変ということで、さすがに無視する人はあまりいないだろうが、交換するとなると、数万円単位での出費になるから負担としては大きい。では、交換しないとどうなるのか。エンジンが壊れるといっても、どこがどうなるのだろうか。

 まずタイミングベルトの役割としては、ピストンの動きとバルブの動きをつなげる働きをしている。エンジン内部で、吸排気バルブの開閉とピストンの上下は絶妙なタイミングでリンクしていて、たとえれば吸って吐いてという呼吸と、圧縮して爆発という動きをリズムよくリンクさせているのがタイミングベルトだ。

 技術的には比較的最近になって登場したもので、1960年代までに多かったOHV方式ではそもそも金属のロットでバルブを動かしていたので必要なく、OHCやDOHCの普及とともに併せて広がったもの。

 構造は下にあるクランクとカムシャフトをつなげていて、素材はゴムをベースにしてガラス繊維やアラミド繊維を芯線にしたもので、アラミド繊維は防弾チョッキに使われる素材で強度はかなりある。

 強度があるとはいえ、長年の使用で劣化が進んで破断してしまうために交換が必要とされていて、外したベルトを見ると実際はもっと長く使えるように思えるが、安全マージンを取って10万kmごとの交換としている。また、使用環境などにも大きく影響するので、この点でも指示どおりに交換した方がいい。ただし切れてトラブルになっているのは、メンテ不良で放置していた車両がほとんどではある。

切れるとエンジン内部に深刻なダメージを負うことも

 実際に切れるとどうなるかというと、紹介したようにバルブの開閉とピストンの上下のタイミングがずれるのでこれらが当たってしまう。バルブクラッシュという状態で、軽い場合はバルブが曲がったり、ピストンの頭に軽くキズが付くだけで済むが、ひどいとヘッドにもダメージが及ぶことがある。ただ、バルブはイメージするほど大きくは開かない(数ミリ)のでほとんどの場合、バルブの軸が曲がって、閉まらなくなってしまうことが多い。

 また、対策として、ピストンの頭にリセルというバルブが出ていても当たらないようにする逃げが入れてある場合があって、切れてもバルブクラッシュの可能性はさらに低くなっている。ただリセルがあっても、切れるタイミングによっては当たることはある。

 いずれにしてもタイミングベルトが切れるとエンジンがオシャカで、ものすごい出費になってしまうイメージがあるが、直すにしても安くはないが目が飛び出るほど高くもないというのが実際のところだ。

 定期的な交換を必要とするタイミングベルトに対してあるのがタイミングチェーンで、基本的には切れることはないが、伸びるし、音が出やすいというデメリットはあって、自動車メーカーの開発者に聞いたところでは、「タイミングベルトでいいものができると、次はチェーンメーカーも進化させたものを持ってくるので、どっちもどっち」という言葉が返ってきた。

 ただ、メンテナンスの問題や、チェーンの静音化や低フリクション化が進んだこともあって、最近ではチェーンのほうが増えてきている。