秋田の発酵食はこんなにも奥深かった。日本酒、しょっつる、甘酒も!

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秋田といえば?
なまはげ、きりたんぽ、藤あや子の故郷……どれも正解ですが、国内でも有数の日本酒の名産地であり、発酵食の豊富なところ。発酵食といえば健康によいとされ、注目の食品ですよね。今回は、日本各地のローカルフードを愛するライター・白央篤司が秋田の酒と発酵食をテーマにレポートしますよ。

東京駅

伝説の美女ゆかりの地・秋田へ

新幹線「こまち」内のドア、稲穂のデザイン

せっかく秋田を旅するからには、昼ごはんから楽しみたい。そう考えて、JR東京駅を7:32に発車する秋田新幹線「こまち5号」に乗り込みました。

お米に「あきたこまち」があるように、秋田といえば小町がつきもの。平安時代の歌人・小野小町が秋田の生まれという伝説からきてるんですよね。世界三大美女のひとりにもあげられる彼女が生きた(かもしれない)時代の秋田は、さてどんなところだったのかな……。

秋田駅

待ち時間にオブジェめぐり

などと考えつつ、11:25にJR秋田駅に到着。新幹線の改札を出ると、なまはげが出迎えてくれました。

在来線構内にも、なまはげ。
ちなみになまはげ、県内でも男鹿(おが)半島とその周辺のみの伝統行事なんですよね。昔、「秋田市では、家になまはげ来ないよ」と秋田の友人に教えてもらって驚いたな。県内中にいると思ってた。

さて、12:08発の羽越本線・酒田行きに乗り換え、秋田駅から47分のJR羽後本荘(うごほんじょう)駅を目指します。ドアは乗客がボタンで開閉するタイプ。乗ったら閉めるのをお忘れなく。待ってる間寒くなくていいよね、これ。

途中で日本海が見えます。日本海って荒々しいイメージもあるけど、海の色がきれいなんですよ。この日はちょっと天気が残念、うまく色を写せなかった。太平洋とは全然違う色です。

羽後本荘駅

日本酒の蔵元が営む「発酵」カフェへ

さあ、羽後本荘駅に到着!

駅から徒歩約23分、目指したのは「発酵小路 田屋」というショップ&カフェ。秋田が誇る銘酒のひとつ「雪の茅舎」(ゆきのぼうしゃ)の蔵元である齋彌(さいや)酒造店が営むお店です。

古民家を改築した店内は、開放的で気持ちのいい空間。こちらは「雪の茅舎」の仕込み水を使った自家製食パンのプレートが人気とのこと。そう、パンも発酵食ですからね。まずは腹ごしらえさせてください! 

「みそピザトースト」770円(税込)

自家製の「あまこうじみそ」(糖化させた酒米の麹にみそを混ぜたもの)とチーズ、ドライトマト、ピーマンなどをのせて焼いたピザトースト。うーん……みそとチーズ、合うもんですね。まろやかさを引き立てあう感じ。何より2僂曚匹妨切りされたトースト、かじりつくとふかふかのベッドに沈んでいくかのようで、実に気持ちいい。口内いっぱいに焼きたてパンのいい匂いが満ちます。

添えられたピクルスやサラダ類もまたみずみずしくて。なるたけ地元産野菜を使われているそうですよ。

ドリンクは「発酵を旅する」という今回のテーマに合わせ、あま酒(ノンアルコール)をチョイス。米麹100%、砂糖不使用。甘さがなんとも穏やかで、ホッとするなあ。つぶつぶがまるで大粒の雪のよう。

支配人の齋藤眞紀さん。「地元である、ここ由利本荘市石脇地区は、日本酒をはじめ、みそ、醤油など発酵食文化が豊かな地域です。先ほどのピザに使っているみそも地元のものですし、ショップでは酒粕や奈良漬けなど、当蔵の発酵食も販売しています」

トイレはなんと蔵を改装!

地元食の魅力を発信する拠点にしたいとオープンしたのが、2019年7月のこと。店内はバリアフリーの配慮もされていました。

先ほどの眞紀さん、齋彌酒造店・現社長とはご夫婦でもあり、大学ではワイン造りを学ばれたのだとか。ひょっとしたら近い未来、「雪の茅舎」ワインができるかも?

「いえいえ、それは今のところ予定ありません(笑)」とのことでしたが、もしそうなったら由利本荘の発酵文化がさらにまた豊かなものに……なんて楽しく想像。

ごちそうさまでした!

すぐ向かいが酒蔵ですが、コロナの影響で現在は酒蔵見学休止中。1902年(明治35年)創業の齋彌酒造店は、蔵や店舗など11棟が登録有形文化財。1階が和風、2階が洋風となる趣深い建築をせめて外観だけでも楽しんできました。

御食事処 永楽

地元でも屈指の人気の日本酒居酒屋へ

平日の早い時間でも予約は必須ですよ

さて秋田駅に戻り、日は暮れて夜となり。「秋田の美酒とつまみを楽しむなら、ここ!」と地元の方におすすめしてもらった「御食事処 永楽」へ向かいました。秋田駅より徒歩5分ぐらい。

店内は壁一面に日本酒メニュー!

おおーっ、テンション上がりますねえ。真ん中から右が県内のお酒、左がそれ以外の各地のお酒だそうです。3種飲み比べセットも豊富で、いろいろ飲んでみたい派には嬉しいだろうな。

昼にお世話になった齋彌酒造店さんによる「本荘 純米吟醸」(1合 800円税込)をいただきました。ああ……華やかないい香りだ……。香りがきれいでうま味しっかり、モロ好み。さっき訪ねたあの地で、お米が発酵してこのきれいな液体になったんですよねえ。そう思うとまた感慨もひとしお。

さあ、アテをどうするか。

つまみの数も日本酒に負けず、たくさんあるんです! 悩んだ末に選んだのが「しょっつる鍋」(時価/600円程度)。

しょっつるとは秋田ならではの調味料で、ハタハタという魚を塩漬けにして作られる魚醤(ぎょしょう)のこと。はい、ここでも発酵の力。うま味やコクに富み、お湯に少々溶くだけでもいい鍋のベースになるのだそう。

「うちの鍋は昆布だしにハタハタと野菜を入れて煮て、しょっつるを加えて作るんですよ」と教えてくれたのは、女将の菅原エイ子さん。

味わってみれば塩気の加減が絶妙で、実においしい。作り方は簡単だけれど、複雑なうま味があって食べ飽きません。

鍋には卵をもったハタハタが一匹入っていました。ハタハタの卵、地元の人は「ブリコ」と呼んで珍重します。弾力の強い、生命力を感じさせる卵なんですよ。そして卵だけでなく、身付きのしっかりしたいいハタハタでした。

その後も何杯か秋田の美酒をいただき、すっかりいい気分に。大満足の心持ちで、秋田駅近くのホテルへ戻りました。さあ、ぐっすり寝て明日に備えよう。

納豆専門店 二代目福治郎

納豆好きの秋田人が長年支持するお店へ

翌日、よーく晴れてくれました! 発酵をテーマにした今回、秋田のおいしい納豆を買って帰ろうと決めてたんです。秋田駅から徒歩約10分、1959年(昭和34年)創業の納豆専門店「二代目福治郎」へ。

店内に入ってみれば……おお、粒の大・小、ひきわりはもとより、枝豆や黒豆のものなど、種類も豊富にそろっていましたよ。値段も1パック2個入りが200円台からあるのがうれしい。「塩で食べて」「オリーブオイルが合う」なんておすすめの食べ方も書かれています。

ご主人によると「秋田は納豆好きが多いところなんです。日常的にもよく食べられてきましたし、こだわりをもって選ばれる方も多いですよ」とのこと。

店内は販売のみ。持ち帰って、家で「鈴丸」なる小粒タイプをいただきました。粒立ちがよく、噛むうちに大豆自体の甘みが感じられてきます。そして臭みがほぼ無し。クセの無い、なんとも素直な味わいなので、納豆は苦手という方にもおすすめですよ。

あきたくらす

日本酒好きならぜひ寄って帰って

さあ、旅も終わりです。新幹線の時間まで、秋田駅直結の駅ビル・トピコ2階の「あきたくらす」で過ごすことにしました。

いわゆる立ち飲みスタンドで、厳選された秋田の銘酒が手ごろな値段で楽しめます。「本日のおまかせ3種利き酒セット」(各45ml、990円税込/その日提供する銘柄により変わります)をお願いしました。スッキリ、バランス良し、芳醇と、それぞれ個性も違う3タイプを楽しめて、いい構成! いずれも秋田を代表する人気酒ですよ。

ひとりで「うめえなあ、おいしいなあ秋田の酒……」とニヤニヤしてたら、「他にもおすすめありますよ」と店員さんが話しかけてくれました。

スタッフリーダーの黒澤涼太さん、聞けば秋田の生まれで大のお酒好き。「あきたくらす」にはお土産品もいろいろ売られているのですが、「どれを買うべき?」なんて質問にも丁寧に答えてくれましたよ。

あ、「あきたくらす」は旅のはじめに立ち寄って、市内どこで飲むか、何を食べるかなんてことを相談するにもいいと思います。

秋田の発酵食といえば欠かせない、いぶりがっこをお土産に購入。ほどよく酔って、お土産も買って、さあそろそろ新幹線の時間だ。東京に戻らねば。

まだまだご紹介したいところいっぱいあるのですが、とりあえず今回はここまで。ああ……だまこ鍋も、ハタハタずしも紹介したかった。またご紹介できる機会がありますように!

東京駅

掲載情報は2021年2月16日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。