幼少期に、空想の友人である「イマジナリーフレンド」を持つ子どもがいることは知られていますが、カールトン大学で認知科学部の教授を務めるジム・デイビス氏は、イマジナリーフレンドを大人になってからも生み出そうとする「タルパマンサー」について語っています。

Can You Treat Loneliness By Creating an Imaginary Friend?

https://nautil.us/blog/can-you-treat-loneliness-by-creating-an-imaginary-friend

イマジナリーフレンドとは、子どもが作り出す「想像上の友達」のことで、子どもたちはイマジナリーフレンドと本物の人間と同じように会話したり遊んだりすることが報告されています。デイビス氏によると、イマジナリーフレンドは「忙しくて遊べない」と返事することもあり、まるで「心」を持っているかのように振る舞うとのこと。

イマジナリーフレンドが自律的に行動することは奇妙に思えますが、デイビス氏は、「誰しも、夢の中で自律的に動く人々と出会った経験があるはずです。彼らは、自分の心が生み出した人であるにも関わらず、自律的に行動しているように認識できます」と語っています。

イマジナリーフレンドは幼少期に生み出され、遅くとも10代後半には消失しますが、大人になっても「タルパ」と呼ばれるイマジナリーフレンドを作り出そうとする「タルパマンサー」たちのコミュニティがRedditや4chanといった交流サイトに存在しています。

Tulpas: Intelligent companions imagined into existence

https://www.reddit.com/r/Tulpas/



タルパという名称は、チベット語で変化身・化身を指す「トゥルパ」に由来しています。タルパマンサーのコミュニティについて研究したマギル大学で精神医学の助教授を務めるサミュエル・ヴェイシエール氏は、タルパを「瞑想(めいそう)によって想起されたあと、完全な感覚を得るに至った仮想の仲間」と説明しており、デイビス氏は、これを「良性の幻覚」と言い換えています。

幼少期に自然に生み出されるイマジナリーフレンドと異なり、タルパを生み出すには長い時間がかかります。タルパを生み出す方法は科学的に検証されておらず、タルパマンサーたちはインターネット上で綿々と受け継がれたアドバイス・推奨事項を参考に、1日1時間以上の瞑想(めいそう)を数カ月間続けることでタルパを生み出すとのこと。

タルパマンサーは、「ロックミュージックが好き」「創造的な性格」といった自分好みの人格のタルパを生み出そうとしがちです。しかし、タルパに対して好みの人格を押し付けても、思い通りのタルパを生み出すことはできないとのこと。デイビス氏によると、長い瞑想(めいそう)の末、「準備が整った」時にタルパはタルパマンサーの前へと姿を表すそうです。



また、デイビス氏がタルパマンサーたちに「タルパを生み出そうと考えた理由」を尋ねたところ、そのほとんどが「孤独を和らげるためにタルパを生み出した」と回答したそうです。

デイビス氏は、閉じ込め症候群の患者のような、他人とのコミュニケーション能力を失った人々の孤独を和らげることにタルパが役立つと考えており、記事作成時点では、閉じ込め症候群の患者にタルパの生み出し方を教える研究プロジェクトを立ち上げるべく共同研究者を募っているとのことです。