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公務員ですがパワハラにあいました。今後どうしたら良いでしょうか」。弁護士ドットコムニュースのLINEに公務員の方からこんな相談が寄せられました。

女性は入庁後、複数の上司から職場でのミスを皆の前で怒鳴られたり、できそうもない仕事をわざと押し付けられたりしています。仕事のことで相談しても、面倒臭い様子で無視される始末。他部署の上司が、見るにみかねて仲裁に入ったこともありました。

民間企業で働く人が労働問題で悩んだときには、もよりの労働基準監督署に相談することができますが、公務員はどこに相談すれば良いのでしょうか。波多野進弁護士に聞きました。

●人事委員や人事委員会へ相談

公務員といっても様々で、職種によって相談窓口は違います。

例えば、労働基準法の適用のある特定独立行政法人など(独立行政法人国立印刷局、独立行政法人造幣局など)の職員は、民間の労働者と同じく労基署に相談ができます。

しかし、警察官や消防職員のように、労基法の適用のない公務員では異なります。

一般職の国家公務員は人事院の相談窓口など、地方公務員は地方公共団体ごとに設置された人事委員会や公平委員会などに相談ができます。

●ハラスメント相談「明確な証拠を」

ーー相談の際に注意することはありますか

これは労基署の場合ですが、賃金の不払いなど明白な労基法違反がある場合には、比較的積極的な指導や是正の措置などが期待できます。

しかし、ハラスメントの相談については、ハラスメントがそもそもあるのかあるとしてもどの程度かなど、事実関係がシビアに争われるケースがほとんどです。

労基署が積極的に指導するなどして、ハラスメントの解決に至るのは難しいことが多いように思われます。中途半端な介入によって事態が悪化したり、ハラスメントの実行者が被害者より会社で力を持っている場合には特に報復を受けたりする危険もあり、悩ましいところです。

労基署や人事院などへの相談にしても、裁判を行うにしても、一番大切なことは、ハラスメントを基礎づける動かぬ証拠があるかどうかです。

証拠があれば、加害者が事実を否定しても、人事上の処分や指導、損害賠償ということに繋がり、解決の可能性が高まると言えます。

【取材協力弁護士】
波多野 進(はたの・すすむ)弁護士
弁護士登録以来、10年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。
事務所名:同心法律事務所
事務所URL:http://doshin-law.com