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ドライブインシアターとは?

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

広々とした駐車場に設置された巨大なスクリーンで上映される映画を、クルマに乗ったまま鑑賞する……これがドライブインシアターの一般的なスタイルだ。1930年代にアメリカで生まれ、50〜60年代には全米で大ブームとなった。

『東宝五十年史』によると、日本では1962年11月に東京都北多摩郡砂川町(現在の立川市)に設置された「ドライブイン劇場」が最初とされている。当時、在日米軍立川飛行場が近くにあったことも関係していると思われる。

日没とともに駐車場に集まるクルマたち。いまドライブインシアターという映画鑑賞のスタイルが見直されている(写真は過去に開催したときの様子)。

その後、モータリゼーションの拡大と共に増え続け、バブル期の90年前後には全国20か所以上で営業していたが、2000年代に入ると閉業が増え『ドライブインシアター大磯』が2010年10月に閉館。

これにより完全常設型のドライブインシアターは姿を消した。

現在は熊本県西原村にある、『ドライブインシアター阿蘇』が国内唯一の常設シアターとなっている。同シアターでは2018年11月『スパイダーマン・ホームカミング』から月1回の定期上映が行われており、来たる4月25日(土曜日)に『松田拓真’s film story』の上映が予定されている。

「Drive in Theater Asoがある阿蘇一帯は火山の噴火でできたカルデラという窪地に5万人以上が暮らす世界でも珍しい場所です。1000m級の雄大な山々の中、見渡す限りの草原や、一面の空を染める夕暮れ、そんな絶景阿蘇をドライブしたあとにクライマックス、満天の星空のもと、映画を楽しめます。きっと素敵な思い出のワンシーンになります」(ドライブインシアター阿蘇)

首都圏でも様々な形で上映活動は始まっている。

埼玉・山梨開催 3月から変化

現在、日本国内で不定期、不定地でドライブインシアターを運営している個人や団体はいくつかあり、コロナ禍で動きが加速したのは確かだが、ほとんどはコロナ禍以前から上映活動を行っている。

コロナ禍以降の3月20〜22日には『ドライブインシアターを作る会』の主催で埼玉県川越市内のオフロードパーク内で、また、先週末4月4〜5日には地元映画館などの主催によって山梨県甲斐市のスーパーマーケット駐車場にてドライブインシアターが実施された。

クルマから降りない映画鑑賞。いつも一緒にいる家族と、自宅にいる時と同じ環境で過ごせるのは安心(写真は過去に開催したときの様子)。

いずれも家族連れを中心に予想をはるかに上回る賑わいとなり、入場制限が出るほどの大盛況となった。

来場者からの反応はどうだったのか? 『ドライブインシアターを作る会』の柿沼代表に話を聞いた。

同会は所有する500インチの巨大なスクリーンや関連機材で、2019年10月と12月に上映を実施している。

「クルマの配置や会場整備などについて意見を頂戴することもありましたが、会場の雰囲気を含めて楽しんでいただけたと思います。3月に開催された第3回ではテレビなどのメディアに取り上げられたこともあり、来場者数が第2回と比べて3倍になりました。

今後は、コロナの影響を見ながら、川越での上映を不定期で続けていきつつ、首都圏を離れたところでも上映を行ってみたいと思い会場を探している最中です。

すでに、いくつかお問い合わせいただいているのですが、上映依頼を受けて出張上映などもできたら良いなと思っています」

OUTDOOR THEATER JAPAN 47都道府県へ

野外映画のプロ集団『OUTDOOR THEATER JAPAN』は「映画館の無い街に映画館を届ける」取り組みを通してこれまで北は北海道、南は奄美大島まで、日本全国様々な場所で野外映画イベントを実施してきた。

4月1日に出したプレスリリースでは、『接触は最小限に、思い出は最大限に』をコンセプトに、「クルマに乗ったまま巨大スクリーンで映画鑑賞が出来るドライブインシアターを日本全国、47都道府県で開催します」と宣言した。

ドライブインシアターは、1930年代にアメリカで生まれた。その後、全米でブームに(写真は過去に開催したときの様子)。

運営会社の株式会社ラコル(札幌市)は、
「コロナウィルス感染拡大により、学校の休校や映画館・ライブハウスをはじめとした多くのエンタメ施設の閉鎖など気が滅入るようなニュースが続く毎日の中、“我々に出来る事は何だろう?”を検討しました。

そこで思いついたイベントが、クルマの中で安全に映画鑑賞が出来る“ドライブインシアター”の復活です。

私たちは今、一生に一度あるかないかの歴史に残るような時代を生きています。

コロナウィルスの拡散防止・感染予防のための安全対策は最大限に行ったうえで、この局面を楽しんで乗り切る方法を模索しています」と説明している。

「そして数年後、“コロナの時期は大変だったけどこんな事をして楽しかったよね”と笑顔で語り合いたいと思っています。

イベントを体験できるのは数百人かも知れませんが、全国47都道府県をまわる『ドライブインシアター・ジャパンツアー』が、1つの明るいニュースとなりコロナ疲れの発散や、地域の活性化につながって行ければと考えています」

5月に『ドライブインシアター大磯』復活?

この原稿を書いている本日4月10日にドライブインシアター実現に向けて『ドゥイット・シアター(Do it Theater)』から、新たなクラウドファンディング『Drive in Theater 2020』が発表された。

クラファンを通じて得た資金は「『ドライブインシアター2020』プロジェクトの中長期的な継続」と「新型コロナウイルス対策活動基金およびミニシアター支援基金への寄付」の2つの用途に活用するという。

5月以降の開催になるが、大磯ロングビーチで上映するドライブインシアターの企画が発表された(写真は過去に開催したときの様子)。

同社は2014年10月に浜名湖パルパル駐車場で開催された『ドライブインシアター浜松』を皮切りに、『MINI ドライブインシアター』(2016年9月30日 MINI TOKYO BAY)、『Suchmos DRIVE IN THEATER』(2016年12月10日大磯ロングビーチ駐車場)など、数々の屋外映画イベントをプロデュースしてきた。

そして、『Drive in Theater 2020』の第1回として5月以降、日本のドライブインシアターの聖地ともいえる大磯ロングビーチにて上映を行うことを発表した。

「私たちは、6年前からドライブインシアター活動を始めており、昨今の状況から、多くの方面からお声がけいただきました

今、とても求められている・期待いただいている体験なのだと信じて、本日クラファンという形で動き出しました。懐かしい! 小さい頃連れていってもらった! などの一言に背中を押していただいています」

「5月以降の開催ということで詳しい日程や上映映画などは未定ですが、大磯プリンスホテル様に本企画へのご賛同をいただき、協力体制にて会場として使用させていただくことは決まっております」と同社は説明している。

新型コロナウィルス感染拡大によって緊急事態宣言が出された地域を中心に、多くの映画館が閉鎖される昨今。

クルマという個空間において、独りで、またはふだん生活を共にする家族と観る映画なら感染リスクはかなり低い。

5月に大磯で開催予定の『Drive in Theater 2020』には約10年ぶりに筆者も出かけてみたいと思っている。