君は、セガのゲーム機を知っているか? 媚びない姿勢ゆえ、ゲームの難易度はいずれも高め。グラフィックはつねに最先端。アクの強い、愛すべき “オレたちのセガ” が、誕生60周年を迎える。

「子供のころから僕は『セガ派』で、学生時代もゲームセンターや『メガドライブ』で、セガのゲームを遊んでいました。

 もちろん、他社のゲームも楽しいですが、セガはおもしろさだけでなく、『当時の最先端技術が、ゲームのために使用されている』という点がいちばんの魅力でした。たとえるならセガは、“普通の乗用車” ではなく、“レーシングカー” のような存在だと思います」

 自身のセガ愛を熱く語るのは、セガゲームスで「メガドライブミニ」の開発を手がけた、奥成洋輔氏(48)。セガサターン時代からセガでソフトの開発に携わり、現在は過去の名作を最新ハード用に移植、開発している。

 2019年9月に発売されたメガドライブミニは、手のひらサイズながら電源ボタンやリセットボタンまでも、メガドライブオリジナルを忠実に再現したゲーム機。冒頭の写真で、奥成氏が手に持っているものが「ミニ」、右下にあるのがオリジナルだ。

 収録されている名作ソフトは42本。メガドライブ発売初期から末期までのタイトルから万遍なくセレクトされていて、1台でゲーム機の歴史すべてを疑似体験できる。さらに、未発売の2作品が収録されているのも魅力だ。

 販売台数は、当初の目標を、1カ月で大きく超えたという。奥成氏に、その開発秘話を聞いた。

「『手のひらサイズに42本のソフトを完全収録し、1万円以下の価格で出す』というのが、まずは至難の業でした。操作感を損なわないように、コントローラーは当時と同じサイズで設計しています」

 各ソフトの移植再現には、奥成氏の強いこだわりがある。

「『忠実な移植』という意味で、そのゲームの当時の雰囲気や操作感を、いかに再現するかに注力しました。ゲーム画面を、たんに現在の高解像度ディスプレーに合わせてきれいにするのではなく、ブラウン管で見ていた当時のゲーム画面に近い発色まで、再現するようにしています」

《メガドライブミニに収録されている名作》
・「大魔界村」
 難易度が高いことで知られる「魔界村」シリーズの第2弾。「魔界村」(ファミリーコンピュータ)、「超魔界村」(スーパーファミコン)は有名だが、家庭用で本作をプレイしたことがないというゲーマーも多く、今回、感動の収録に。

・「スペースハリアー2」
 メガドライブ本体と同時発売されたシューティングゲーム。人気アーケード版の続編が、いきなりメガドライブで登場したということで、当時は大きな話題となった。キャラクターデザインは、アーケード版から一新されている。

・「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」
 相棒として「テイルス」が初登場し、2人同時プレイが可能に。高速スクロールで、画面狭しと動き回る2体のキャラクターが楽しい。ソニックは、ハリウッドでの実写映画化が進行中。

・「テトリス(R)」
 世界中で大ブームを巻き起こした「落ちもの」パズルゲーム。当時、メガドライブ版発売がアナウンスされるも突如、中止となり、セガファンには幻のタイトルとなっていた。メガドライブミニでは「ダライアス」とともに、初収録。

 次のページでは、家庭用ゲーム機を発売する前から、ゲームセンターを席巻していた、セガのアーケードゲームを紹介する。

UFO CATCHER(R)

セガの歴史はここから「アーケードゲーム」】

●「UFO CATCHER(R)」(1985年)
 横移動ボタンと縦移動ボタンでクレーンを操作し、アームで景品をつかんでゲットする、ゲームセンターの定番。大ブームを巻き起こし、クレーンゲームの代名詞的存在に。いまもバージョンを変え、世界中で稼働中だ。

●「ハングオン」(1985年)
セガ体感ゲーム」第1弾のバイクレーシングゲーム。サーキット、シーサイドなど、全5ステージを駆け抜ける。写真のライドオンタイプのバイク筐体では、筐体にまたがり、車体を傾けて操作する。

●「スペースハリアー」(1985年)
 高速立体スクロールを駆使した、体感シューティングゲーム。写真のローリングタイプ筐体では、操作するアナログスティックの角度に連動し、筐体が前後斜めに豪快に可動する。

●「アフターバーナー」(1987年)
 ジェット戦闘機を操縦し、ドッグファイトを体感できる。地上攻撃、離着陸、さらには空中給油まで再現。写真の筐体は、コックピットが前後左右に激しく動く「ダブルクレイドル・タイプ」。

●「アストロシティ」(1993年)
 対戦格闘ゲームには欠かせないスタンダードな筐体が、このアストロシティ。横並びでの対戦や共同プレイはもちろん、向かい合って設置された筐体では、相手の姿を知らぬまま対戦することも。

●「デイトナUSA」(1995年)
 当時は斬新だった、ポリゴン表面に画像を貼りつける「テクスチャマッピング」で表現されたゲーム画面が特徴。逆走や敵車への激突もできたため、ゲームでしかできないような運転も可能。

 以下の関連リンクでは、メガドライブミニに収録されている名作ゲームのプレイ画像を公開する。

おくなりようすけ
1971年6月14日生まれ セガゲームスアジア事業部CSパブリッシング部 ライセンスチーム プロデューサー。メガドライブミニでは全収録タイトルの選定と、ソフト開発を担当した

アーケード機の写真提供・セガゲームス

(週刊FLASH 2020年1月28日号)