日本ケンタッキー・フライド・チキンの広報部長 新井晶子さん

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2019年11月13日に新施設「南町田グランベリーパーク」が開業した。同施設の中でも、ひと際注目を集めているのが、ケンタッキーの体験型店舗「KFC Restaurant 南町田グランベリーパーク店」だ。“食べ放題”の同店は、オープンから1カ月以上経った今でも連日行列が続いている。日本では、「クリスマスにケンタッキー」「お誕生日パーティーに」と、特別な日に食べるイメージも強い同ブランドにおいて、新業態出店の狙いを、日本ケンタッキー・フライド・チキンの広報部長 新井晶子さんに話を聞いた。なぜ今のタイミングで体験型店舗をオープンさせることになったのか、また、2020年に迎えるケンタッキーの日本上陸50周年に向けて大切にしていることを語ってもらった。

【写真】気になる「食べ放題」店舗のオリジナルメニュー

■ オープンから1か月。「KFC Restaurant」は、午前で整理券が終了するほどの人気ぶり

11月13日に南町田グランベリーパークの開業とともにオープンした「KFC Restaurant 南町田グランベリーパーク店(以下、南町田グランベリーパーク店)」は、定番のオリジナルチキンのほか、パスタやスープカリーなどがブッフェ形式で楽しめる新業態の店舗であり、関東エリア初出店。その真新しさからSNSでは「オリジナルチキンが食べ放題だなんて」「行ってみたい」と多くの話題を呼んだ。その反響について新井さんはこう話す。

【新井さん】「おかげさまで、予想していた以上の反響をいただいております。毎日、午前10時から店頭にて整理券を発券させていただいているのですが、おかげさまで午前中にその日の整理券が終了してしまうこともしばしば。また、SNSやメディアでの反響を見て、久しぶりにケンタッキーが食べたくなったとお近くの店舗を訪れる方も多く、KFCブランド全体で見ても売り上げが伸びています」

「また、実際に店をご利用いただいたお客様からは、親子3代で来ることができて嬉しいとの声もありました。既存の店舗の場合、店内でお食事をしながらゆっくりくつろぐというのはあまり機会がないので、家族みんなで、大人数で楽しめるのはレストランスタイルならではの強みだなと実感しました。訪れたお客様の中には、ブッフェで食べたオリジナルチキンとスープカリーの組み合わせがおいしかったからと数日後にご自宅の近くの店舗を利用して、今度は家で試してみるという方もいるようで、大変嬉しく思います」

■ 「新しいことをしたかったわけではない」、食べ放題レストランの意図は「日常化への入り口」

ケンタッキーといえば、自分の住む街に1店舗はある、日常に溶け込んだお店とのイメージが強い一方、今回オープンした「南町田グランベリーパーク店」にはわざわざ食べに行くお店との印象がある。このようなわざわざ食べに行くお店を打ち出した理由はいったいなぜなのか。そのことを新井さんにぶつけてみると、「新業態へのチャレンジではありません」と明かす。

【新井さん】「レストランスタイルとしては大阪、名古屋に続き3店舗目ですが、もともとKFCブランドは創業当時からレストラン店舗として展開していますので、特に新しいことにチャレンジしているとは思っていません。ケンタッキーを利用してくださるお客様の7割がテイクアウト利用なので、我々としては、店内でスープカリーと食べてもらったり、サラダと一緒に食べたり、お酒と合わせたりと、オリジナルチキンの楽しみ方を発見していただきたいと思っています」

「そういう意図もあって、南町田グランベリーパーク店では日常化を想像しやすいようなメニューを提供しています。通常店舗とは違ったイートイン体験を軸に、そのおいしさを改めて感じてもらって、お近くの店舗をもっと利用していただければと思っています」

■ 1本1本丁寧に向き合う作り手を通して、子どもたちに食の楽しさや大切さを学んでほしい

今回オープンした「南町田グランベリーパーク店」には、オリジナルチキンの調理体験が出来るキッズスクール専用スペースを常設している。

【新井さん】「2013年からスタートしたキッズスクールの専用スペースが常設されているのは、今回の店舗が日本で初めてです。そういう意味では、レストランスタイルというよりも、『体験型店舗』と言う方がしっくりくるなと思っています。フライドチキンは、唐揚げとは違って、チキンの表面に味付けをしている料理ですから、素材の質と手づくり調理がおいしさの源です。ケンタッキーが提供している手づくりならではのおいしさを子どもたちとそのご家族に体感していただけたらなと思っています」

「初のキッズスクール専用スペース常設店舗がなぜ南町田なのか、それは街全体が“体験を提供するということ”をコンセプトにしている南町田グランベリーパークの思想と我々の思想がマッチしていたからです。ぜひ体験を楽しめる施設の1つとして、私どものキッズスクールにも参加いただけたらなと思っています(キッズスクールは事前申し込み制)」

■ ケンタッキーの50年、“赤字続き”の日本上陸当初から続く信念

来年2020年に、50周年を迎える日本ケンタッキー・フライド・チキン。その始まりは、1970年に開催された大阪万博に出店したことにあるというが、最初は逆風続きだったそう。

【新井さん】「今でこそ全国に1130店舗を展開していますが、50年前にオープンした1号店から3店舗目くらいまでは赤字続きでした。当時の日本にはまだ素手で食べるという文化が定着していない上に、フライドチキンというカタカナの食べ物になじみがなくなかなか受け入れていただけなかったそうなんです。ただ”食べてみたら絶対においしいとわかってもらえる”ということを当時の創業メンバーは信じていたので、時には無料で試食してもらったりしながら少しずつファンを増やしていって4店舗目ができた頃くらいから手応えを感じ始めたそうです」

「4店舗目から出店形式を変えたと聞いています。アメリカのモータリゼーション文化にならい、日本でも郊外の車が止められるところに店舗を作ったのですが、当時の日本はまだ一般家庭の車の所有率も高くなく、来店のきっかけを狭めてしまっていたそうです。そこで4店舗目は車がなくても行ける、いわゆる商店街の一角にオープンしたのですが、その結果“一回食べてみよう”という方が気軽にお越しいただけるようになり、リピーターが生まれ、ケンタッキーの認知度が広まったといわれています」

世の中にケンタッキーが広まった理由のひとつに、「クリスマス」との相性もあったという。

【新井さん】「1974年からクリスマスの施策も始めました。日本人がなぜクリスマスにKFCに行くようになったかは諸説ありますが、ひとつは日本にいた外国人が日本に七面鳥がいないから仕方なくKFCのフライドチキンを食べたという話から。もうひとつは日本KFC当時の社長がクリスマスイベントにサンタクロースの格好をしたところ、みんなが喜んでくれたのでこれはチャンスだと思って、クリスマスはケンタッキーで、という施策を仕掛けたという話です。いずれにしても西洋の文化がどんどん取り入れられていくタイミングで、KFCが良い提案が出来たということかなと思います。それから約10年後の1985年にはパーティバーレルが誕生しています。創業から15年で、今と同じように” クリスマスといえばケンタッキー”というブランディングが定着したのは、ケンタッキーが認知度を広げる上で大きなきっかけだったかなと思います」

■ 「クリスマス=ケンタッキー」は日本だけ!? 50周年を機に“特別感”から脱却し身近な存在を目指す

【新井さん】「実は、クリスマスにこんなにケンタッキーが混雑するのは世界中で日本だけの特殊な事例。あまりの物珍しさに、日本を訪れた海外の方がクリスマスに行列ができているケンタッキーの写真を撮っている光景も見られるほどです」

「ただ、50周年を迎えるにあたり、その伝統的なクリスマスブランドが逆に確立しすぎてしまったことは課題だと感じることもあり、もっと“日常的な存在”になりたいなと思っています。ケンタッキーといえば、クリスマスやお正月など”ハレの日”に食べるものというイメージが強く、現状は年間2回くらいの利用頻度というお客さまがすごく多いです。これからは、ブランド全体を元気にしていくこと、もちろん“ハレの日”にも楽しんでいただきながら、お客さまにとってもっと日常的にご利用いただける存在になれるよう、まずはケンタッキーのチキンのおいしさに気づいてもらうためのきっかけづくりをしていきたいなと思います。今回の南町田グランベリーパーク店のオープンは、そのためのレストランスタイルなのです」

新井さんは、「ケンタッキーのコールスローサラダをチキンに載せるとさっぱりしておいしい」「スープカリーとチキンもいいですよ」「お酒のおつまみに」…と、意外なおいしさを取材陣に紹介してくれた。体験型店舗「KFC Restaurant 南町田グランベリーパーク店」は“特別なお店”ではあるが、伝えたいことは、“特別でない日”の家庭での楽しみ方だった。50年目で盛り上がるケンタッキー、2020年はフライドチキンの新しい楽しみ方に挑戦してみてほしい。(東京ウォーカー(全国版)・於ありさ)