「右ひじ、左ひじ、交互に見て…」などのリズムネタで知られる2700。そのリズミカルなネタは幅広い層から人気だったことを覚えています。

そんな2700の踊るほう、ツネさんが、現在では「賃貸物件の紹介」のお仕事をしているとの情報をキャッチ!

いったいなぜビジネスの世界に足を踏み入れたのか? 一時は激減し、復活を遂げたという現在の収入は…?

〈聞き手=ライター・於ありさ〉


【ツネ】1982年生まれ、大阪府出身。高校卒業後、NSCに入学し、2008年に八十島と「2700」として活動開始。同年の「キングオブコント」で結成8カ月ながらも決勝進出。2011年には「キングオブコント」で準優勝を果たした

ツネさん:
こんにちはー! 今日はよろしくお願いします!



於:
うわ〜、(髪型以外)普通の企業で働いているビジネスマンのようですね。

不動産の仕事を始めたきっかけは、奥さんの一言

於:
早速ですが、なぜ賃貸の仲介を始めたんですか?

ツネさん:
やっぱり、芸人の収入って不安定なんですよ

ブレイクしていた2011年ぐらいのころは月収が100万円を超える月もあったんですけど、ブームが過ぎたら、生活するのに厳しいぐらいになってしまって。

於:
すごいギャップですね…

ツネさん:
それで、2017年の秋ごろ、奥さんに「いつまで芸人続けるの?」って言われたんです。



ツネさん:
実際、5人家族いてかなり苦しかったです。仕事は減る一方でしたし…

於:
家族から言われるのはツラいですね。

“一発屋”なんて呼ばれることもあったそうですが、なぜ人気が続かなかったんですかね…?

ツネさん:
ブレイクするのが早すぎたんです。

2008年に八十島と2700を結成して、その年のキングオブコントで8位に。2011年にはTHE MANZAIで準優勝。2012年にはきゃりーぱみゅぱみゅさんとCMで共演して…これがわずか4年の間に起こってますからね

於:
結成から4年できゃりーと…。すごいスピード感。

ツネさん:
たとえば、若手芸人って劇場でコントやネタだけでなく、大喜利やトークなどを披露することもあるんですね。

そうやって、芸人としてのスキルを多面的に磨いているんですけど、“下積み”ができないままテレビに出てしまった僕たちは、その場数が圧倒的に少なかった。だから、バラエティー番組に出て、「ツネはどう?」って先輩にふられても、ボケることを忘れて普通に答えてしまって…。ネタ番組以外では、まったく爪痕を残せなかったんですよ。

まあ、すぐに呼ばれなくなりましたよね(笑)。



ツネさん:
そんなときに、今働いている会社の社長に「芸人を続けながらでいいから、賃貸仲介の仕事をやってみない?」と言われて…

於:
それでOKしたと。ためらいはなかったんですか?

ツネさん:
そんなこと言ってられる状況じゃなかったですし…プラスに考えるようにしましたね。

「賃貸の仲介」でフルタイムで働いている芸人ってこれまでいなかったですし、芸人としても幅を広げられそうだなってワクワクしたくらい!

「ぜひお願いします」といって、2017年の11月から働かせてもらうことになりました。

まわりの反応は賛否両論…週7日働いて、芸人とビジネスを両立させる日々

於:
気になるのはまわりの反応ですよね。

芸人さんって、「副業とかやってないで、笑いに集中しろ!」みたいな空気があるじゃないですか。どんな反応でした?



ツネさん:
まさに賛否両論でしたね。おもしろがって「いいじゃん!」と言ってくれる人と「芸人としての活動がおろそかになるんじゃないか」って言ってくる人、半々でした。

僕としては、若手芸人がバイトをしている感覚と変わらないつもりだったんですけどね。

於:
仕事の割合としては、不動産と芸人どれぐらいの比率なんです?

ツネさん:
初めのころは、不動産7の芸人3くらいの比率。今は6:4くらいで両立させるようにしてます。

月から金までは不動産の仕事、土日は芸人の仕事という生活パターンですね。

於:
不動産の仕事のほうがだいぶ多い! 平日会社に出勤してるビジネスマンと同じ感じなんですね…

相方の八十島さんは、どんな反応でした?

ツネさん:
う〜ん、今でこそ認めてくれてますけど、最初は理解してもらえませんでしたね

「平日に不動産の仕事をしてたら、コンビの仕事なんて入れられないだろ!」って。



於:
なるほど…。しかし、ほぼ休みなく働いてるってことですよね? 芸人と不動産のお仕事の両立って大変じゃないんですか?

ツネさん:
大変ですよ!!

もともと芸人になる前はフリーターだったので、まともな社会人経験も初めてですし、週7で働いているから体力的にもキツイ!

於:
休みなしかあ。よくそんなに頑張れますね…やっぱりまわりの芸人たちの目もあるし、途中で投げ出せないと。

ツネさん:
いや、まわりの目が…とかでなく、家族の存在が大きいですね。

僕自身が家族の生活をしっかり支える存在でありたい、でも芸人としてもまだまだ輝きたいという気持ちを、どちらも捨てきれなかったんです。



数え切れないほどの失敗をするも、とろサーモン久保田さんへの対応で自信がついた

於:
ビジネスの世界では、最初からうまくいったんでしょうか?

ツネさん:
慣れないことだらけで、何度もやらかしましたよ!



ツネさん:
たとえば、いくつか内見する予定が、お客さまが最初の物件に一目ぼれしてくれて「ここにします!」って決めてくださったことがあって。

僕も「よっしゃー!」って気分が上がってたんで、「よかったらおごらせてください!」って一緒に牛丼食べに行ったんです。

その後で事務所に戻ったら…



ツネさん:
別の方から申し込みが入っちゃったみたいで、物件が埋まっちゃってたんですよ…!

於:
え…ふつう不動産屋さんって一刻を争って申し込みしてくれますけど…

ツネさん:
スピーディーに対応しなきゃとは聞いていましたけど、まさかこんなことが起こるなんて…お客さんにも平謝りで。

それ以降、申し込みをいただいたら、ダッシュで事務所に戻ることにしています。


心当たりのある方、どうかお許しを…

於:
逆にうまくいったエピソードはありますか?

ツネさん:
ありますよ!

賃貸の仲介って内見に連れて行くだけじゃなくて、あくまでも決めてもらうのが仕事なんですね。

でも、お客さまのなかにはなかなか決断できない人もいて…

於:
まあ、住むって考えたら慎重になりますよね…

ツネさん:
とろサーモンの久保田さんが、まさにそういうタイプだったんで、何度も何度も内見に連れて行ったんです。

「どうしたら決めてくれるかな〜」って考えて、内見のやり方を工夫してみたんですよ

於:
へぇ〜! どのように工夫したんですか?

ツネさん:
いつもは事務所から距離が近い順に見せていたところを、松竹梅でいう梅から…つまり、3番手、2番手、1番手の順で見せてみたんです。

そしたら久保田さん、「ツネ、やり方が汚いぞ」とか言いながら、「もうここに決めるわ!」って松の物件に決めてくれて! もう思惑通りすぎて、自信がつきました(笑)。



ツネさんの気になる現在の収入は…

ツネさん:
自分で言うのもアレですけど、最近では僕の仕事ぶり、評判がいいんですよ!

於:
芸能人の方への紹介もしていらっしゃるんですよね?

たとえば、どなたの物件探しを手伝ったんですか?

ツネさん:
結構いますよ!

今言った久保田さんでしょ? あとは、EXITのりんたろー。とか、おばたのお兄さん、NON STYLEの井上さん… 芸人以外だとカリスマトレーナーのAYAさんとか、あとはLOLの佐藤友祐さんとか…



於:
豪華なメンバー! なぜそんな方たちに支持してもらえてるんですか?

ツネさん:
家を借りるときって収入を言わなきゃいけないじゃないですか?

芸能人の方ってプライバシーが晒されるのが怖くて、お部屋探しに困っている人が多い。でも、僕自身が芸能人なこともあって、そこへの理解は徹底していると信頼されているんでしょうね!

於:
たしかに…

ツネさん:
でも、もちろん一般の方にご案内するときも同じくらい丁寧にやっています。

もし僕がテキトーな対応をして、それがネットに書き込まれたら、不動産屋としての評判だけでなく、芸人としての評判も落ちちゃいますからね。

於:
ふと気になったんですけど、一般の方を案内するときってどんなテンションなんですか…?

ツネさん:
このままですよ! 僕を知っている方がほとんどですから、変にきっちりしすぎるのも違いますし、どうせならエンターテイメント性もかけ合わせたいなと… 

「ツネ」というある種のブランドだという気持ちで、信頼第一! でも、楽しくフレンドリーに! お客さま一人ひとりと真摯に向き合っています!!!!

於:
(CMみたいになってきたな…)かなり軌道に乗っていることはわかりました。

このテンションならイケる気がするんで聞いちゃいますけど、今って不動産のお仕事でいくらぐらい稼いでるんでしょう?


「まあ、聞くよね〜」

ツネさん:
そろそろ来るかと思いました!(笑)

於:
笑っていただけてよかったです。 それで、いくらぐらいですか?(笑ってごまかさないで…)



ツネさん:
だいたい月に30万円ぐらいですね! 本当はもっと稼ぎたいですけど!

於:
おお〜! それにプラスして芸人としてのお仕事もありますから…

家族5人でもゆとりある生活ができそうですね!

手に入れたのは、安定した生活だけではない。芸人としても仕事が増えだした

ツネさん:
ありがたいことに、不動産の仕事がうまくいきだしたのと同じタイミングで、芸人としての仕事も増えはじめたんです!

最近だと高級物件とか、IoT化がすすんでいる“スマートホーム”なんかを不動産屋目線で案内するテレビのお仕事とか…

於:
まさにツネさんにしかできない仕事ですね。



ツネさん:
あとは「いい不動産屋さんと、よくない不動産屋さんの見分け方」という雑誌のインタビューを受けたり、いきなり電話がかかってきて「最近の不動産事情についてコメントいただけますか?」って言われたり…

於:
もう専門家みたいになってるじゃないですか(笑)。

ツネさん:
そんな姿を見て、芸人とビジネスの両立にいい顔をしてくれなかった人たちも、徐々に認めてくれるようになりましたね。

「不動産」×「芸人」は、クラスの人気者・ツネの理想形

於:
ちょっといじわるな質問なんですけど、このままどんどん不動産のお仕事が軌道に乗っていったとして、芸人を続けますか?

ツネさん:
「辞めよう」とは思わないかな。

僕って結局、「クラスの人気者・ツネ」でいたいんですよね。



於:
クラスの人気者。

ツネさん:
僕の使命って、元気のない人とか、ちょっとネガティブな感情を持った人を笑顔にすることだと思っているんですよ。

お笑い芸人になったときこそ「目立ちたい」の一心だったけど、しだいに僕を見て「元気になりました」って言ってもらえるのが、すごいうれしいと思えるようになって…



ツネさん:
お客さまを内件にご案内してみて気付いたんだけど、「ここだ!」っていう物件に出会えると、人ってぱーっと表情が明るくなるんですよ。

そうやって誰かを理想の物件に連れて行けたとき、人が笑顔になる瞬間に立ち会えると「やっててよかったな」って思えるんです。

於:
芸人もビジネスも、モチベーションは一緒なんですね。

ツネさん:
そう、クラスの人気者って、おもしろいだけじゃなくて、困っている子を助けたり、優しくてニコニコしているでしょ?



ツネさん:
僕は小学生のころから、ずっとそうでありたいと思ってるんですよ。

だから「不動産」と「芸人」どちらかを辞めるとか考えられない! 両方の仕事を通して、たくさんの人を笑顔にしたいですね。



2017年8月、番組の企画で占い師に見てもらい、コンビ名を「ザ ツネハッチャン」に改名するなど、苦労が絶えなかった「2700」。 

でも、そんな苦労を感じさせないくらい、終始笑顔でエピソードを話してくれるツネさんから、「芸人とビジネス、どちらにも真剣に取り組んで再起する」という強い意志を感じました。

 現在では都内全域を駆けまわり、家賃月5万円代のアパートの紹介も笑顔でこなしているというツネさん。

 やっぱりクラスの人気者は、皆が見てないところでも努力をしているんですね…!

〈取材・文=於ありさ(@okiarichan27)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=森カズシゲ〉

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