どうしていつもうまく行かないのだろう。

気がつけばアラサーにもなり、恋愛ならいくつも重ねてきたはずなのに…。

なぜかいつも男に振り回される。逃げられる。消耗させられる。幸せとは程遠いダメ恋を繰り返してしまう。

一体、何がいけなかったのか。どこで間違えてしまったのか。

この連載では、自身のダメ恋を報告してくれる女性の具体例を基に、その原因を探っていく。




【今週のダメ恋報告者】

名前:今泉茜(仮名)
年齢:32歳
職業:外資系アパレル
住居:恵比寿


ダメ恋報告No.1: 「彼氏の浮気が発覚。でも、別れたくないんです…」


「彼…圭ちゃんの浮気が発覚したのは、2週間前のことです」

今回の報告者・茜は、そう言って小さく眉を顰めた。

仕事帰りの茜は、白のブラウスにデニムのパンツスタイル。清楚で愛らしい雰囲気だが、その受け答えや話し方は仕事のできる女のそれだ。

ただ、時折瞳を泳がせる仕草にどことなく“弱さ”を感じる。男性から見れば“隙”とも言えるかもしれない。

『PLUS TOKYO』のバーカウンター。茜は頼んでいたジントニックを口に運び、一つ大きなため息をついた後、ぽつぽつと語り出した。

「彼の家に泊まった夜、つい見ちゃったんです。彼の携帯。女の勘ですよね。なんとなく嫌な予感がして、寝ている彼の枕元からそっとスマホを抜き取って。

…暗証番号ですか?圭ちゃん不用心だからLINEにロックかけてないの。スマホ自体のパスコードなら知ってました。覚えてられないから123456にしてるって自分で話してたから」

さらりと恐ろしいことを言っているが、茜は特に悪びれもせず先を続けた。どうやら彼氏のスマホをチェックするのは、彼女にとって初めてではないらしい。

「LINEを覗いたら、案の定…Kaoriって女とのやりとりが残ってて。何度も家に呼んでる感じだった。圭ちゃんの家で…つまり私と彼が寝ているこのベッドで、このKaoriって女とも抱き合ってたんだと思ったらもう、発狂しそうでした」


彼氏・圭ちゃんの浮気を知ってしまった茜がとったNG行動とは?


「圭ちゃんは私と同い年、32歳で代理店勤務。爽やかで一緒にいて楽しい人だから、モテるのはわかってました。だけど私たち、付き合ってまだ3ヶ月ですよ?

すぐに彼を問い詰めたかったけどできなくて…翌朝、彼が起きる前にベッドを抜け出し、声もかけずに帰りました。だってスマホを勝手に見たなんて言ったら、ものすごく怒るのが目に見えていたし…」

茜は、その場では彼に理由を告げることなく家を飛び出したのだという。

「私がいなくなったことに気がついた圭ちゃんから、もちろん何度も着信がありました。だけど私は出なかった。気持ちの整理もついていなかったし、どうするべきか一人で考えたかったから」

そうして彼との連絡を一方的に絶ち、3日が経ったころ。

傷つき、ただ動揺していた茜の心に変化が訪れた。自分を裏切り傷つけた彼に対する怒りの感情が、ふつふつと沸き上がってきたのだ。

「もう嫌われてもなんでもいい。とにかく言ってやらないと気が済まないと思って、LINEを送ったんです。他の女を家に連れ込むなんてひどいじゃないかって。もう会いたくないって。スマホを勝手に見たことについては、きちんと謝りました」

突如音信不通となった彼女からの連絡を、彼の方も待っていたのだろう。送ったLINEはすぐに既読になった。

…しかし待てど暮らせど、返信は届かなかったという。

「スマホを勝手に見たことに対して怒ってるんでしょうね。だけどそもそも疑われるようなことをしたのは圭ちゃんのほう。先に私を裏切って傷つけたのも圭ちゃんなのに逆ギレするなんてありえない。全然返事がこないから、その日の夜、私から電話をかけました」




彼はすぐ電話に出てくれたという。しかし彼の対応はというと、茜が望んでいたものではなかった。

「私はただ…謝ってほしかった。本当は茜のことが一番で、もうしないから許してくれって、そうやって必死で縋ってほしかったの。それなのに圭ちゃんは私が責めても言い訳すらしない。ただ“ごめん”を繰り返すだけ。挙げ句の果てには、俺もちょっと一人で考えたいから、しばらく距離を置きたいとか言い出して」

その時のショックを思い出したのだろうか。痛みに耐えるように、茜はきゅっと唇を結んだ。

「どうして?って。それだけ言うのが精一杯でした。まさか、圭ちゃんの方から距離を置きたいなんて言われると思わなくて。私たち確かに付き合ってまだ3ヶ月だけど、その前に友達の期間もあったし、お互い真剣に向き合っていたはず。それなのに…」

しかし、いったん引きモードになった彼の心を無理やり戻すことなどできない。距離を置きたいと言われれば、茜としてはそれを受け入れるしかなかった。

「自然消滅みたいにだけはされたくなくて、気持ちの整理がついたら必ず連絡してねって念押ししました。圭ちゃんもわかったと言ってくれて。…これで終わりじゃないんだって、少しだけホッとしました」


彼のほうから「距離を置きたい」と言われてしまった茜。そしてついに、恐れていたことが起こる


だがそれから1週間が経っても、彼から連絡はこなかった。

その間、茜はというと、彼からの連絡を取り漏らすまいとバスルームにもスマホを持ち込んで待ち続ける日々。

そして2週間後。しびれを切らした茜は、自ら彼にLINEを送った。

「もう一度会って、話がしたいと送りました。彼もわかったと言ってくれて。週末の夜に会うことになったんです。…その時から不穏な空気は感じていました。もしかしたら別れを切り出されるかもしれないなって」

そして残念ながら、その予感は的中した。




土曜の夜。

指定された麻布十番の小料理屋(彼の家の近所らしい)に、茜は甲斐甲斐しくも、彼好みの服装…つまり女子アナ風の、シンプルだが女性らしいノースリワンピにカーディガンという王道の装いで出かけた。

茜は、別れるつもりなどなかった。浮気の証拠を見つけ、存分に傷つき怒りはしたが、彼を失う覚悟などなかった。

「悪い予感、的中。会った瞬間にわかりましたよ。ああ、もう別れるつもりなんだなって。だけど圭ちゃんって優しい男なんです。モテるのもわかる。

だから私…彼が別れ話を始める前に、自分から宣言したんです。浮気のことならもう忘れる。だから別れるなんて言わないでって。スマホも、もう絶対に勝手に見たりしないからって」

彼は「いや、でも」と最初こそ抵抗をしていたが、茜が「お願い」「もううるさく言わないから」と懇願し続けると、そのうちに折れた。

そして結局その日の夜も茜は彼の家にお泊まりし、現在もそのまま交際を続けているのだという。

「それでいいのかって…?ダメだってことはわかってます。嫌われて、また別れるって言い出されたら困るから、ワガママを言うどころか明らかな非も責められない。そんな関係、いつまでも続くわけがないってことも」

すでに飲み干してしまったジントニックを片手に、茜は遠い目をしたまま続けた。

「だけど私、どうしたら良かったんでしょう。本当は、彼が浮気したこと許してない。疑いながら付き合うのも嫌。…だけど彼と別れるのはもっと嫌だから。その場合、もう許すって言うしかなくないですか?」

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結婚を決めてくれない彼氏に振り回される女の、ダメ恋報告