アメリカ育ちの長男があえて「日本の大学」を選んだワケ。日本人の母が明かした当時の心境「正直ショックでした」
長男のカイくんが「日本の高校に通いたい」と希望したことから、2021年に悠子さんと3人の息子さんたちは日本に移住。ビルさんは仕事の都合でアメリカに残ることになりました。
2025年のインタビューでは、長男のカイくん、次男コビくんが日本の高校受験に挑戦した経緯が、大きな反響を呼びました。
そして今年、カイくんは日本の大学に合格を果たしました。しかし、その道のりは決して平坦ではなかったといいます。カイくんは帰国生入試制度を使うことができず、日本の高校生たちと同じ土俵で受験に臨むことになったからです。
◆アメリカ育ちの長男が、日本の大学に行きたかった理由
――カイくんが、日本の大学を志望したのはなぜだったのでしょうか。
悠子さん(以下、悠子):高3の夏頃までは、アメリカの大学への進学を考えていました。アメリカの大学受験は、日本とは違い、高校の成績や、継続的なボランティアやスポーツの実績、複数の指導者からの推薦状が重要です。カイがその準備をしているうちに、通っている高校で受験対策の夏期講習が始まりました。周りのみんなが受験モードになっていくなかで、カイは『自分はこれで本当にいいのかな』と感じるようになったのだと思います。
――日本の大学とアメリカの大学では、入学後の生活も大きく違うといいますね。
悠子:カイが日本の大学を選んだ理由は、そこが1番大きいかもしれません。アメリカは高校まではラクですが、大学は別物。成績が悪ければ容赦なく留年させられるので、常に必死に勉強しなければ卒業できません。
一方で、日本の大学生には自由な時間がたくさんあるイメージですよね。カイも高校の先生から「日本の大学は楽しいぞ」と聞いたみたいなんです。その言葉が、頭の片隅にあったのだと思います。
カイは、中学3年生で日本に移住してから、慣れない環境で高校受験に挑戦し、入学してからは授業についていくために格闘する毎日でした。あっという間に今度は大学受験。本人も「俺、勉強ばっかりで日本の生活全然楽しめてないじゃん」と言っていました(笑)。だから、大学4年間はもう少し日本の生活を楽しみたかったんじゃないかな。物理が大好きで、将来は研究をしたいと言っているので、博士課程はアメリカの大学を目指すつもりでいるようです。
――カイくんが日本の大学を受験することを決めたとき、悠子さんはどう思いましたか?
悠子:正直にいうとショックでした。というのも、カイがアメリカの大学へ進学したら、家族全員でアメリカにいる夫の元に戻って暮らすというプランが何となくあったからです。でも、カイが日本に残ったら海を隔てて離れ離れになってしまいます。
ただ、本人の決めたことは応援したいし、もっと日本の素晴らしさを味わってほしいという気持ちもありました。大学についても、知名度や偏差値よりも、物理を勉強するのに特化した大学で、同じものを好きな人達に囲まれて過ごしてほしいと思っていました。だから、日本で希望に合う志望校が見つかったのはよかったと思います。
◆帰国生の受験はラク?
――カイくんが、大学受験で帰国生入試(海外経験を生かす入試制度)を利用しなかったのはなぜですか?
悠子:大学によって条件は違うのですが、カイの志望校は、アメリカの高校に2年以上在籍し、3年生までの課程を修了していないと帰国生入試が利用できなかったんです。カイは中学3年生から日本に移住したので、条件に当てはまりませんでした。
