「Xperia 10 / 10 Plus」の実機をじっくり触ったら「Xperia 1」が待ち遠しくなった
今年のソニーモバイルのフラッグシップモデル「Xperia 1」の前哨戦?として、「Xperia 10」と「Xperia 10 Plus」を触ってみたところコレが実に良く。
筆者のまわりの反応をみても上々で、一年前(のXperia XZ2)はなんで駄目だったんだろうと思ってしまうほどです。
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デザインは、奇をてらった様子もなくスダンダード。
ひとまず有機ELではなく、液晶ディスプレイではあるものの、新しく採用された21:9というアスペクト比の画面は新鮮です。
「Xperia 10」は 約6.0インチ、「Xperia 10 Plus」は約6.5インチの画面サイズで、どちらも解像度は"フルHD+"
フルHDというフレーズだけを切り取ると、今となってはたいした解像度ではないかと思いがちですが、正確には1080x2520。
横解像度は1080ドットを保ったまま、縦方向に600ドットぶんだけのびていると考えると得した気分になれます。
縦長イコール、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSのタイムラインを一度に表示して見られる範囲も広くなってかなり快適です。
スマホでやってることの大半がSNSだという人にとってはこれだけで元がとれたような気分なれるはず。
21:9のウルトラワイドなディスプレイは、Xperia XZ3に採用された18:9よりもさらに長辺方向に長いということになりますが、横持ちにしてみるとシネスコサイズ(2.35:1)とほぼ同じアスペクト比。
映画コンテンツがほぼ黒帯なしでディスプレイいっぱいに広がるこの迫力。
これは楽しい!の一言につきます。
もちろん都合よくたくさんあるわけではなく、16:9の動画や、静止画にいたっては3:2や1:1など様々ではあるので、どれが最適解というのは難しいのですが、一定方向に突き抜けてしまってる点では評価できます。
ちなみに、最近でもYou Tubeなどに21:9のコンテンツも増えてきています。
ここまでテンションが上がってガックリしたことは、「Xperia 10/ 10 Plus」ともにスピーカーが本体の底面にスピーカーが備わっているので、横持ちにすると片側からしか音が聞こえません。
しかもすっかり「Xperia XZ2シリーズ」から搭載されていたコンテンツに合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーションシステム」もないので、急激に寂しく感じてしまいます。
いろいろと妥協点も見えてくるので、4K有機ELや、BRAVIAの高画質化技術「X1™ for mobile」、色設定「クリエイターモード」、Dolby Atmosなど、映像と音質にまでガッツリ手を入れた「Xperia 1」が余計に待ち遠しくなってしまいました。

2画面でアプリを同時に使う場合でも21:9へとのびたことでの恩恵は大きくなります。
16:9で2画面にすると、1つの画面が逼迫してしまって使いにくいという弱点がありましたが、21:9になるとそれも軽減されるので実用としてマルチウィンドウが使いやすくなります。

さわってちょっと面食らったのは、Xperiaの操作系(Xperiaホーム)が変わっていたこと。
いつも画面上部にあるはずのGoogleの検索バーが一番下にきて、ホームボタン以外の戻る・アプリ切り替えボタンがすっかりなくなっていることで気づきました。
Android 9.0 Pieの新しいUIで、アプリ切り替えは画面下から上に向けてスワイプ、ホームボタンを右にスワイプしてアプリ切り替え、マルチタスク画面から上にスワイプしてアプリ終了など。
Xperia XZ3のOSも、同じくAndroid 9.0 Pieでしたが基本操作系は今までどおりだったので、「Xperia 10/ 10 Plus」から新たに操作体系を変えてきたようです。
まぁ毎日使っていればすぐ慣れるでしょう。

そして、Xperia XZ3に搭載された「サイドセンス」も引き続き搭載。
この「サイドセンス」は、ディスプレイの左右のフチをダブルタップすると、時間や場所、使用頻度といったユーザーのライフスタイルに合わせて次に使いたいアプリを予測して9つ表示するというもの。
本体を掴んでそのまま指でタップできるので、XperiaのUI操作のひとつとして重宝します。
しかも、Xperia XZ3のものよりもさらに細かく設定できるように進化しました。
有効範囲は、両側もしくは左/右のいずれかなど、利き手や掴む好みによって選べるほか、サイドセンスバーの長さや位置、透明度の変化といった細かい設定ができるようになっています。
Android 9.0 Pieの新しいUIに最初はとまどいつつも、こういったときに「サイドセンス」があると操作を補完できてとてもありがたく感じます。

また、本体が縦に長いために指が届かないよ... という時にも安心な「片手操作」モードも搭載。縦長ディスプレイでは今まで以上に使える機能になったように思えます。縮小した画面の大きさは自由に変更したり自由に配置でき、好みのサイズに調整できるので、万が一にも手から滑って落とすことも防げそうです。

オマケに、「Xperia 10/ 10 Plus」ではイヤホンジャックが復活しました。
ワイヤレスが主流になっているとはいえ、有線派のユーザーもまだまだ多いはず。
サイドに指紋センサーがもどったことで、本体を掴んだ一連動作でスリープ解除できるのでこれはこれで快適。
ただし、電源ボタンと分離してしまったので、スリープにしたいときに間違って指紋センサーを何度も押してしまうという間違いは何度かやらかしました。

そして、デュアルカメラになった「Xperia 10/ 10 Plus」。
カメラについてはそれぞれ構成が異なり、「Xperia 10」には、約1300万画素 1/3インチセンサーとF2.0レンズと、約500万画素 1/4インチセンサーとF2.4レンズの組合わせです。
「Xperia 10 Plus」には、約1200万画素 1/2.8インチセンサーとF1.75レンズと、約800万画素 1/4インチセンサーとF2.4レンズの組合わせ。
遅れに遅れて、しかもフラッグシップモデルの「Xperia XZ2 Premium」にのみデュアルカメラを搭載した昨年と違って、今回はあっさりとミッドレンジモデルもデュアルカメラを搭載。
片側がモノクロセンサーでもなく、画像融合処理プロセッサ「AUBE(オーブ)」を載せているわけでもないので、高感度に強いといった機能はなく、シンプルに2眼化。

撮影できる静止画の画像サイズは、「Xperia 10」が、4:3(13MP)、16:9(10MP)、1:1(10MP)、21:9(8MP)。
「Xperia 10 Plus」が、4:3(12MP)、16:9(9MP)、1:1(9MP)、21:9(7MP)。
画素数では「Xperia 10」のほうが少し大きいのですが、センサーサイズからすると多少なりともノイズに対しては「Xperia 10 Plus」のほうが優位になります。目に見えての差異はほとんどないとは思いますが。
動画の画像サイズは「Xperia 10/ 10 Plus」共通で、4K(16:9)、4K(21:9)、フルHD、フルHD(60fps)、HD、VGA、MMS。
静止画も動画も、21:9のアスペクト比での記録ができるのが特徴です。

2眼カメラになった恩恵として、ぼけモードの利用ができるようになったので、1回のシャッターで背景にボケ感のある写真を撮ることができます。
「Xperia XZ3」の場合、シングルカメラのため2回撮影して擬似的にぼけを作る「ぼけエフェクト」という機能がありましたが、2回シャッターをきるうえでどうしても動いている被写体に対しては有効ではありませんでした。
そう考えると、気軽にボケ感のある写真を撮りやすくなりました。

また、「Xperia 10 Plus」に限っては、約800万画素のカメラを利用して光学2倍ズームが使えます。
やりかたは簡単で、【x1】、【x2】のアイコンをタップするだけでいつでも画角を変えることができます。
だいたいシングルカメラの場合は広角を優先するカメラの場合が多いので、風景や背景をいれた撮り方には便利なものの、もうちょっと被写体をクローズアップしたいというときには撮ったあとから加工するしかありませんでした。
光学2倍ズームがあれば、簡単に被写体に近づいた画角に変わるため、撮影時からイメージどおりの写真が撮りやすくなるので、あるとやっぱり嬉しいもの。
そういえば、Xperiaといえばのシャッターボタンはなくなってしまいましたが、設定からボリュームキーをシャッターボタンに割り振ることはできます。

どちらも使ってみるとそれぞれに良さがあります。
「Xperia 10 Plus」は、やはり疑似「Xperia 1」が体験できるというか、21:9アスペクト比の6.5インチという大画面を扱える楽しさ。
かつてファブレットとよばれたXperia Z Ultraのインチ数を越えています。
当然コンテンツによって見え方も違うため(まだ現時点では16:9比率以下のコンテンツなどが多い)、まだまだXperia Z Ultraで迫力を感じられることもありますが、余計なベゼルもなくなんとも手に持ちやすいサイズ感に収まっているというのは魅力ではないかと思います。
しかも、デュアルカメラでボケモードや光学2倍ズームを使って写真を撮れる楽しさもあります。

そうすると「Xperia 10」がいまいちなさそうに思えますが、同じく21:9アスペクト比をもちながら6.0インチになるだけでなんとも持ちやすい本体サイズ。
タテにはもちろん長いものの、横幅が68mmに抑えられていてほとんどCompactシリーズを握っている感覚と変わりません。
それでいて表示領域は「Xperia 10 Plus」と同等なので、SNS専用端末としては最高。
デュアルカメラのボケモードも使えるおまけ付き。
有線イヤホンをつかってのオーディオプレーヤー代わりとしても良さそうでこのサイズ感はアリです。
願わくば、「Xperia 1」のCompactバージョンも出して欲しいと思ってしまうほど。

良いところばかりではなく残念なところは、防水防塵機能がないこととワイヤレス充電Qiがないことです。
また、プロセスはミッドレンジ向けのものなので、いつもどおりのフラッグシップ系を使っている感覚で使っていると、負荷のかかるしょりでモタつくときにイラっとする可能性があります。
今回のラインナップでみれば、たくさんの欲求を満たしてくれるのは「Xperia 1」に違いないと思いつつも、価格的に半額以下?でこれだけの体験ができれば十分という人もかなりいるのではないかと思われます。
何度も言うようですが、国内でもぜひ「Xperia 10/ 10 Plus」を発売していただきたく。
そして結局は「Xperia 1」に対する期待値が俄然上がってしまって余計に待ち遠しくなりました。
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