フルカワユタカ最新コラボSG、背景にあるHAWAIIAN6とのリアルな人間模様
フルカワユタカ、2018年のリリースは、コラボ・シングル2作品、ということになった。
一作目は、6月リリース、the band apart原昌和と一緒に作った「ドナルドとウォルター」。二作目である12月5日発売のシングルには、HAWAIIAN6の安野勇太と作った「クジャクとドラゴン」、POLYSICSのハヤシヒロユキと作った「インサイドアウトとアップサイドダウン」の2曲を収録。前者は、キャリア上で初めて2ビートでストレートで陽性なメロコアに挑んだ曲で(ただし歌詞が日本語なのがフルカワらしい)、後者はふたりの共通点であるデジタル・ビートが基調の、ポップだがマッドなダンス・チューンに仕上がっている。
このふたりとコラボするまでの経緯、特にHAWAIIAN6との関係を訊けば、それがそのままフルカワユタカのキャリアの解説にもなるし、現在につながる日本のパンク・シーンを振り返ることになるのでは、と期待して、フルカワユタカに話を訊いたところ、まさにその期待どおり、いや、期待以上に正直でリアルな話をしてくれた。
「パンクやんないと呼ばれないよ。英語にしないとダメだよ」って、ハコの人に言われた
─今度のシングルでコラボしたふたりのうち、HAWAIIAN6とは古い付き合いですよね。POLYSICSのハヤシくんとは?
フルカワ:ハヤシくんはDOPING PANDAの解散直前くらいからの付き合いなんですよね。ドーパンの最後の1〜2年ぐらい、FEVERで『DP SUMMIT』っていう対バンイベントをやってたんです。その時にPOLYSICSにも出てもらってからの付き合いだから。
─HAWAIIAN6はアマチュアの頃からですよね。
フルカワ:それこそ僕が21~22歳の頃だから、18年前とかになるのか。その頃から、2005年にメジャー・デビューする直前ぐらいまで一緒にやってました。最初に会ったのは、高円寺のGEARだったかな。その頃のライブハウス、パンク、メロコアとかが集まるブッキング企画が多かったんですよ。その前は僕ら、ミクスチャーっぽいことやってて、歌詞も日本語だったんです。そうすると、当時のライブハウスでは、箸にも棒にもかかんないというか。主流は全部英語でメロコアだから、1996年くらいは。
─Hi-STANDARDのファーストが出た翌年ですね。ライブハウスがそれ一色になっていた時期。
フルカワ:もう片っ端からメロコアで、ハコのブッキングもそういうイベントしかないんですよ。「パンクやんないと呼ばれないよ。英語にしないとダメだよ」って、ハコの人に言われたぐらいで。それで英語に変えて、呼ばれるようになって、っていう。
─でもメロコアはやらなかった?
フルカワ:そうですね。もともと僕はパンクの素養がなかったんで。タロティ(ベース)が詳しくて、いろいろ教えてもらって、その中で自分的にハマるものが、ロック・テイストのあるパンクで。LIVING ENDとか、All、Descendentsとか。そういう感じで、自分の許容範囲の中で、一所懸命パンクに寄せた、っていうことですかね。そうしないとライブハウスに出れないから。
─メロコアではないけれども、そこに交じっててもおかしくはないくらいに。
フルカワ:そうですね。当時、2ビートやってないバンドもいましたしね。それで、先輩のあのラインに当てはまってたらライブハウス出れる、みたいなのがあって。たとえば僕らだったら、HUSKING BEEは、速い2ビートの曲、ないじゃないですか? 8ビート主体で。「ハスキンみたいだね」っていうところで、仲間に入れてもらうみたいな。「このバンドはWRENCHだね」「このバンドはBRAHMANだね」って。
─はははは。
フルカワ:今考えるとバカげてるんだけど、ほんとにそういう時代で。だから僕、逆説的にHUSKING BEEを好きになりましたからね。似てるって言われて、聴いて、「ああ、こういうバンドもいるんだ、上の世代には」っていう。変な感じでしたよ、だから。
─そういう中で、メロコアどまんなかのHAWAIIAN6と親しくなったのは?
フルカワ:僕の記憶ですけど、最初の高円寺GEARの対バンで……5、6バンド出てたんですけど、そのうちの1バンドに「HAWAIIAN6ってバンドは横山健とつながってるから、仲良くなったほうがいいよ」って言われて。なんてくだらないことを言う奴なんだろうと思って──ドラムのはっちゃん(畑野行広)がいたんで、その話をして、そいつの悪口で盛り上がったのが、はっちゃんと僕のスタートでしたね(笑)。
─すぐ気が合った?
フルカワ:はっちゃんと、今もHAWAIIAN6のスタッフやってる中村ゴウ、そのふたりととにかくウマが合って。すごいおもしろかったんですよ、話してて。だからもう、打ち上げの記憶しかない、みたいな。

HAWAIIAN6の安野勇太
─遅れて来た青春?
フルカワ:そうですね。僕、高校のときは、とにかく学校が合わなかったんで。ほんとに友達いなかったんですよ、1日中ギター弾いてて。で、上京して、同世代のハワイアンとかSTOMPIN BIRDとか、とにかくウマが合ったというか。一緒にツアーも行きましたしね。青春っていう言葉が年齢的に当てはまるかはわかんないけど、ほんとにそういう感じでしたね、楽しくて。
─その季節が終わりを告げるまでは、どれくらい?
フルカワ:2年ぐらいですかね。それが終わるのは、まあ、頭ひとつ抜けちゃうんですよね、HAWAIIAN6が。『FANTASY』ってミニ・アルバムを出したら、それがすごく売れて。新宿ACBにびっくりするくらい人が入ってたりして。そうなった時に、バランスが崩れちゃったんですよね。それまではほんとに僕らだけで──「民族大移動」って言ってたんですけど、1週目は渋谷で一緒にやって、2週目は西荻で一緒にやって、3週目は高円寺。関係者しか観に来てないし、それで打ち上げやってるだけなんですよ。でも、HAWAIIAN6を慕う若いバンドが増え始めて、はっちゃんのスタンスも少し変わったというか。お客がいることによって、MCが熱い感じに……まあ今のはっちゃんのMCですよね。それが俺からすると急に始まって、なんかイヤだったんです。急に他人事になった気がして、その現場が。あとはまあ、嫉妬もあって。
─それはまああるでしょうね。
フルカワ:うん。一抜けされて追いつかないし、どんどん差が開いていくし。その頃に僕、SCAFULL KINGと仲良くなるんですよ。TGMXさんからパンク以外の音楽を教わるようになって、どっぷりそっちに入って行って。練習もあんまりしなくなってたんですね。練習とかじゃなくて、まあ、どだい無理なんだけど、パンクスになろうとしてたっていうか。お酒飲んで、騒いで、ライブやって、っていう。でもTGMXさんと会って、また練習もするようになって。
─高校の頃に戻った?
フルカワ:そう、そもそも音楽に初期衝動を覚えて、どっぷりのめり込んだ頃に一気に戻る感じで。そうしてると「こっちの方が全然おもしろいじゃん」ってなって、HAWAIIAN6とは乖離していくんです。気持ちもそうだし、実際に一緒にライブをやることも減っていくし。その頃にthe band apartと一緒にやるようになるんですね。
─で、向こうは向こうで「なんだよフルカワ」みたいな。
フルカワ:間違いなくあったと思いますよ。俺、覚えてんのが、『PINK PaNK』っていうミニ・アルバムを作ってた時、レック(レコーディング)に勇太が遊びに来て。「Transient happiness」って打ち込みの曲を勇太が聴いて……俺は勇太がびっくりしてると勝手に思ってたんですけど、こないだ答え合わせをしたら「なんだこれ。何やってんだこいつら」って思ってたらしくて(笑)。そこは変な空気だったのはすごい憶えてます。
─そこからはしばらく疎遠に?
フルカワ:でも、なんだかんだで会ったりはしてましたよ。最初に言った、ポリに出てもらった2009年の対バン企画、HAWAIIAN6にも出てもらったし。それより前も、俺らがHAWAIIAN6のイベントに出てるし、メロコア、ハードコアの中に交じって。でもその時も、ツアー先でケンカした。
─はははは。
フルカワ:バンドのやりかたの違いで。ずっとお互い遠巻きに「何やってんだこいつら」って思ってたのが、ツアー先でぶつかって爆発して。それでもイベントに出してくれてたり、こっちも誘ったり。これもよく言ってる話だけど、解散を決めた時、最初に電話したのは、はっちゃんだったし。
─不思議な関係なんですね。
フルカワ:なんかそこは……なんですかね、あんまり説明がつかないんですね。だから結局、一回も離れてない気もするんですけどね、HAWAIIAN6とは。
─それで今回、一緒に曲を作ろうということになったのは?
フルカワ:前作のシングル、「ドナルドとウォルター」(2018年6月リリース)が……Base Ball Bearや市川さん(LO IQ 01)のサポートをやったのがきっかけで、人と一緒にやるようになって。アルバムをTGMXさんにプロデュースしてもらったのもそうですけど、いろんな人と一緒にやった方が、実は自分の伸びしろが増えるのがわかって。それまで僕はずっと、全部ひとりでやったほうが純粋なものができると思ってたけど……それは正解なのかもしんないけど、それによって可能性を止めてしまう部分も大きくて。で、人とやった方がおもしろいというので、まあちゃん(the band apart原昌和)と曲を書いてみて。
─あの曲すごくよかったですよね。
フルカワ:そう、すごくよかったんです。いい曲が書けたし、自分の中ですごく身になった。だから、こういうコラボをもうちょっと続けたいなと思った時に、最初に思いついたのは「これまでやんなかったメロコアを作ろう」と。で、それを作る相手は勇太しかいないんだろうな、っていうのは、もう即決で。
─昔は避けていたメロコアをやろうと思ったのは?
フルカワ:いや、なんか、やってみたくなったんですよね。市川さんのバンドでツアーを回って、locofrankとかdustboxとかと対バンするじゃないですか。で、ライブを観るんですよ。俺、昔はメロコアのライブ、観てなかったんで……いや、メロコアに限らず、対バンのライブを観てなかったんですね。
─それはなぜ?
フルカワ:いや、とんがってたからじゃないですか?(笑)。でも今はよく観るんです。で、やっぱかっこいいんですよ。みんなこうして生き残って、これだけの人を湧かせてるってことは、そこに何かがが絶対あるわけで。そういうのを観てるうちに、自分もチャレンジしてみたくなったというか。もしそういう曲ができて、受け入れられたら、フルカワユタカとしてこの人たちとも対バンできるなと思ったし。という時に、一緒に作るのは勇太しかいないと思って。それで、『PLAY WITH』っていう、(下北沢)シェルターの自分の自主企画に、ポリとハワイアンを誘ったあたりで、勇太に相談したのかな。
─そのときはハヤシくんには相談しなかったんですか?
フルカワ:ポリは順番が逆なんですよ。そのふたりとやるのが決まってたからイベントを組んだ、みたいに結果的になっちゃったけど、イベントを組んだあとに、まず勇太とやるのが決まって、あともう1組ぐらいやりたいというミーティングをしていたときに、スタッフから「ポリのハヤシくんいいじゃん」っていう意見が出て、「あ、その手があった!」と思って。結果それで、シェルターに出てもらった2組が、そのままこのシングルになってるんですけど。
─POLYSICSというバンドは、どんなふうに見ていたんですか。
フルカワ:対バンで会ったのは2010年なんですけど、それまでは長いこと……お互い打ち込み使うロック・バンドで、でも俺とハヤシくんは接点ないままで。

POLYSICSのハヤシヒロユキ
─おもしろいとは思っていた?
フルカワ:それはずっと思ってました。思ってたし……そうだ、思い出した、POLYSICSのレックに行ったんだ。俺、DOPING PANDAの最後の頃、自分でミックスまでやるようになってたじゃないですか。そこでポリの音、レックの作り込み方、ドラムの音とかギターの音とかすっげえいいと思って。ポリ、外人のエンジニアとか連れて来てたんで、どうやってレコーディングしてるのか知りたくて。それでスタジオに行ったんです。ペンと紙を持ってそのエンジニアに話を訊いて。
─今回一緒にやってみて、2曲とも、思った感じに仕上がりました?
フルカワ:ある意味、思った感じですけど、ある意味、思った感じではない。でも、思った感じにならないことを期待して、一緒にやるわけですから。それで、これはまあちゃんのときも思ったけど、一緒に作り終わると、もう1曲作りたくなる。勇太もそうだったし、ハヤシくんもそうだった。ということは、一緒にやってよかったということなんだろうな、と思いますけどね。作品の出来がどうかはリスナーが決めることだけど、このプロジェクト自体は僕にとってむちゃくちゃプラスでした。すごく刺激にもなったし。どういうふうに聴かれるか、すごい楽しみですね。

クジャクとドラゴン / インサイドアウトとアップサイドダウン
フルカワユタカ
Niw! Records
発売中
一作目は、6月リリース、the band apart原昌和と一緒に作った「ドナルドとウォルター」。二作目である12月5日発売のシングルには、HAWAIIAN6の安野勇太と作った「クジャクとドラゴン」、POLYSICSのハヤシヒロユキと作った「インサイドアウトとアップサイドダウン」の2曲を収録。前者は、キャリア上で初めて2ビートでストレートで陽性なメロコアに挑んだ曲で(ただし歌詞が日本語なのがフルカワらしい)、後者はふたりの共通点であるデジタル・ビートが基調の、ポップだがマッドなダンス・チューンに仕上がっている。
「パンクやんないと呼ばれないよ。英語にしないとダメだよ」って、ハコの人に言われた
─今度のシングルでコラボしたふたりのうち、HAWAIIAN6とは古い付き合いですよね。POLYSICSのハヤシくんとは?
フルカワ:ハヤシくんはDOPING PANDAの解散直前くらいからの付き合いなんですよね。ドーパンの最後の1〜2年ぐらい、FEVERで『DP SUMMIT』っていう対バンイベントをやってたんです。その時にPOLYSICSにも出てもらってからの付き合いだから。
─HAWAIIAN6はアマチュアの頃からですよね。
フルカワ:それこそ僕が21~22歳の頃だから、18年前とかになるのか。その頃から、2005年にメジャー・デビューする直前ぐらいまで一緒にやってました。最初に会ったのは、高円寺のGEARだったかな。その頃のライブハウス、パンク、メロコアとかが集まるブッキング企画が多かったんですよ。その前は僕ら、ミクスチャーっぽいことやってて、歌詞も日本語だったんです。そうすると、当時のライブハウスでは、箸にも棒にもかかんないというか。主流は全部英語でメロコアだから、1996年くらいは。
─Hi-STANDARDのファーストが出た翌年ですね。ライブハウスがそれ一色になっていた時期。
フルカワ:もう片っ端からメロコアで、ハコのブッキングもそういうイベントしかないんですよ。「パンクやんないと呼ばれないよ。英語にしないとダメだよ」って、ハコの人に言われたぐらいで。それで英語に変えて、呼ばれるようになって、っていう。
─でもメロコアはやらなかった?
フルカワ:そうですね。もともと僕はパンクの素養がなかったんで。タロティ(ベース)が詳しくて、いろいろ教えてもらって、その中で自分的にハマるものが、ロック・テイストのあるパンクで。LIVING ENDとか、All、Descendentsとか。そういう感じで、自分の許容範囲の中で、一所懸命パンクに寄せた、っていうことですかね。そうしないとライブハウスに出れないから。
─メロコアではないけれども、そこに交じっててもおかしくはないくらいに。
フルカワ:そうですね。当時、2ビートやってないバンドもいましたしね。それで、先輩のあのラインに当てはまってたらライブハウス出れる、みたいなのがあって。たとえば僕らだったら、HUSKING BEEは、速い2ビートの曲、ないじゃないですか? 8ビート主体で。「ハスキンみたいだね」っていうところで、仲間に入れてもらうみたいな。「このバンドはWRENCHだね」「このバンドはBRAHMANだね」って。
─はははは。
フルカワ:今考えるとバカげてるんだけど、ほんとにそういう時代で。だから僕、逆説的にHUSKING BEEを好きになりましたからね。似てるって言われて、聴いて、「ああ、こういうバンドもいるんだ、上の世代には」っていう。変な感じでしたよ、だから。
─そういう中で、メロコアどまんなかのHAWAIIAN6と親しくなったのは?
フルカワ:僕の記憶ですけど、最初の高円寺GEARの対バンで……5、6バンド出てたんですけど、そのうちの1バンドに「HAWAIIAN6ってバンドは横山健とつながってるから、仲良くなったほうがいいよ」って言われて。なんてくだらないことを言う奴なんだろうと思って──ドラムのはっちゃん(畑野行広)がいたんで、その話をして、そいつの悪口で盛り上がったのが、はっちゃんと僕のスタートでしたね(笑)。
─すぐ気が合った?
フルカワ:はっちゃんと、今もHAWAIIAN6のスタッフやってる中村ゴウ、そのふたりととにかくウマが合って。すごいおもしろかったんですよ、話してて。だからもう、打ち上げの記憶しかない、みたいな。

HAWAIIAN6の安野勇太
─遅れて来た青春?
フルカワ:そうですね。僕、高校のときは、とにかく学校が合わなかったんで。ほんとに友達いなかったんですよ、1日中ギター弾いてて。で、上京して、同世代のハワイアンとかSTOMPIN BIRDとか、とにかくウマが合ったというか。一緒にツアーも行きましたしね。青春っていう言葉が年齢的に当てはまるかはわかんないけど、ほんとにそういう感じでしたね、楽しくて。
─その季節が終わりを告げるまでは、どれくらい?
フルカワ:2年ぐらいですかね。それが終わるのは、まあ、頭ひとつ抜けちゃうんですよね、HAWAIIAN6が。『FANTASY』ってミニ・アルバムを出したら、それがすごく売れて。新宿ACBにびっくりするくらい人が入ってたりして。そうなった時に、バランスが崩れちゃったんですよね。それまではほんとに僕らだけで──「民族大移動」って言ってたんですけど、1週目は渋谷で一緒にやって、2週目は西荻で一緒にやって、3週目は高円寺。関係者しか観に来てないし、それで打ち上げやってるだけなんですよ。でも、HAWAIIAN6を慕う若いバンドが増え始めて、はっちゃんのスタンスも少し変わったというか。お客がいることによって、MCが熱い感じに……まあ今のはっちゃんのMCですよね。それが俺からすると急に始まって、なんかイヤだったんです。急に他人事になった気がして、その現場が。あとはまあ、嫉妬もあって。
─それはまああるでしょうね。
フルカワ:うん。一抜けされて追いつかないし、どんどん差が開いていくし。その頃に僕、SCAFULL KINGと仲良くなるんですよ。TGMXさんからパンク以外の音楽を教わるようになって、どっぷりそっちに入って行って。練習もあんまりしなくなってたんですね。練習とかじゃなくて、まあ、どだい無理なんだけど、パンクスになろうとしてたっていうか。お酒飲んで、騒いで、ライブやって、っていう。でもTGMXさんと会って、また練習もするようになって。
─高校の頃に戻った?
フルカワ:そう、そもそも音楽に初期衝動を覚えて、どっぷりのめり込んだ頃に一気に戻る感じで。そうしてると「こっちの方が全然おもしろいじゃん」ってなって、HAWAIIAN6とは乖離していくんです。気持ちもそうだし、実際に一緒にライブをやることも減っていくし。その頃にthe band apartと一緒にやるようになるんですね。
─で、向こうは向こうで「なんだよフルカワ」みたいな。
フルカワ:間違いなくあったと思いますよ。俺、覚えてんのが、『PINK PaNK』っていうミニ・アルバムを作ってた時、レック(レコーディング)に勇太が遊びに来て。「Transient happiness」って打ち込みの曲を勇太が聴いて……俺は勇太がびっくりしてると勝手に思ってたんですけど、こないだ答え合わせをしたら「なんだこれ。何やってんだこいつら」って思ってたらしくて(笑)。そこは変な空気だったのはすごい憶えてます。
─そこからはしばらく疎遠に?
フルカワ:でも、なんだかんだで会ったりはしてましたよ。最初に言った、ポリに出てもらった2009年の対バン企画、HAWAIIAN6にも出てもらったし。それより前も、俺らがHAWAIIAN6のイベントに出てるし、メロコア、ハードコアの中に交じって。でもその時も、ツアー先でケンカした。
─はははは。
フルカワ:バンドのやりかたの違いで。ずっとお互い遠巻きに「何やってんだこいつら」って思ってたのが、ツアー先でぶつかって爆発して。それでもイベントに出してくれてたり、こっちも誘ったり。これもよく言ってる話だけど、解散を決めた時、最初に電話したのは、はっちゃんだったし。
─不思議な関係なんですね。
フルカワ:なんかそこは……なんですかね、あんまり説明がつかないんですね。だから結局、一回も離れてない気もするんですけどね、HAWAIIAN6とは。
─それで今回、一緒に曲を作ろうということになったのは?
フルカワ:前作のシングル、「ドナルドとウォルター」(2018年6月リリース)が……Base Ball Bearや市川さん(LO IQ 01)のサポートをやったのがきっかけで、人と一緒にやるようになって。アルバムをTGMXさんにプロデュースしてもらったのもそうですけど、いろんな人と一緒にやった方が、実は自分の伸びしろが増えるのがわかって。それまで僕はずっと、全部ひとりでやったほうが純粋なものができると思ってたけど……それは正解なのかもしんないけど、それによって可能性を止めてしまう部分も大きくて。で、人とやった方がおもしろいというので、まあちゃん(the band apart原昌和)と曲を書いてみて。
─あの曲すごくよかったですよね。
フルカワ:そう、すごくよかったんです。いい曲が書けたし、自分の中ですごく身になった。だから、こういうコラボをもうちょっと続けたいなと思った時に、最初に思いついたのは「これまでやんなかったメロコアを作ろう」と。で、それを作る相手は勇太しかいないんだろうな、っていうのは、もう即決で。
─昔は避けていたメロコアをやろうと思ったのは?
フルカワ:いや、なんか、やってみたくなったんですよね。市川さんのバンドでツアーを回って、locofrankとかdustboxとかと対バンするじゃないですか。で、ライブを観るんですよ。俺、昔はメロコアのライブ、観てなかったんで……いや、メロコアに限らず、対バンのライブを観てなかったんですね。
─それはなぜ?
フルカワ:いや、とんがってたからじゃないですか?(笑)。でも今はよく観るんです。で、やっぱかっこいいんですよ。みんなこうして生き残って、これだけの人を湧かせてるってことは、そこに何かがが絶対あるわけで。そういうのを観てるうちに、自分もチャレンジしてみたくなったというか。もしそういう曲ができて、受け入れられたら、フルカワユタカとしてこの人たちとも対バンできるなと思ったし。という時に、一緒に作るのは勇太しかいないと思って。それで、『PLAY WITH』っていう、(下北沢)シェルターの自分の自主企画に、ポリとハワイアンを誘ったあたりで、勇太に相談したのかな。
─そのときはハヤシくんには相談しなかったんですか?
フルカワ:ポリは順番が逆なんですよ。そのふたりとやるのが決まってたからイベントを組んだ、みたいに結果的になっちゃったけど、イベントを組んだあとに、まず勇太とやるのが決まって、あともう1組ぐらいやりたいというミーティングをしていたときに、スタッフから「ポリのハヤシくんいいじゃん」っていう意見が出て、「あ、その手があった!」と思って。結果それで、シェルターに出てもらった2組が、そのままこのシングルになってるんですけど。
─POLYSICSというバンドは、どんなふうに見ていたんですか。
フルカワ:対バンで会ったのは2010年なんですけど、それまでは長いこと……お互い打ち込み使うロック・バンドで、でも俺とハヤシくんは接点ないままで。

POLYSICSのハヤシヒロユキ
─おもしろいとは思っていた?
フルカワ:それはずっと思ってました。思ってたし……そうだ、思い出した、POLYSICSのレックに行ったんだ。俺、DOPING PANDAの最後の頃、自分でミックスまでやるようになってたじゃないですか。そこでポリの音、レックの作り込み方、ドラムの音とかギターの音とかすっげえいいと思って。ポリ、外人のエンジニアとか連れて来てたんで、どうやってレコーディングしてるのか知りたくて。それでスタジオに行ったんです。ペンと紙を持ってそのエンジニアに話を訊いて。
─今回一緒にやってみて、2曲とも、思った感じに仕上がりました?
フルカワ:ある意味、思った感じですけど、ある意味、思った感じではない。でも、思った感じにならないことを期待して、一緒にやるわけですから。それで、これはまあちゃんのときも思ったけど、一緒に作り終わると、もう1曲作りたくなる。勇太もそうだったし、ハヤシくんもそうだった。ということは、一緒にやってよかったということなんだろうな、と思いますけどね。作品の出来がどうかはリスナーが決めることだけど、このプロジェクト自体は僕にとってむちゃくちゃプラスでした。すごく刺激にもなったし。どういうふうに聴かれるか、すごい楽しみですね。

クジャクとドラゴン / インサイドアウトとアップサイドダウン
フルカワユタカ
Niw! Records
発売中
