東京〜北海道の移動 飛行機と鉄道、フェリーを比べてみた
東京〜北海道間の移動において、多くの人は飛行機を使っています。しかし、使える交通機関は飛行機だけではありません。それぞれの交通機関で、所要時間や運賃などで比べてみました。
9割以上が飛行機を利用
国土交通省の旅客地域流動統計によると、東京都内と、札幌を含む北海道の道央地域のあいだを移動する旅客人員(2016年度)は903万8500人。このうち893万7900人は飛行機を利用しており、全体の98.5%を占めています。

茨城県の大洗と北海道の苫小牧を結ぶ商船三井フェリーの「さんふらわあ ふらの」(2017年5月、乗りものニュース編集部撮影)。
しかし、東京(首都圏)と北海道を結ぶ交通機関は、飛行機だけではありません。東京駅から札幌駅まで移動するケースで、飛行機と鉄道、そしてフェリーの所要時間や運賃などを比べてみました。
飛行機の場合、東京(羽田)〜札幌(新千歳)間の所要時間は1時間30〜50分程度です。これに東京駅〜羽田空港間と新千歳空港〜札幌駅間のアクセス時間を含めると、鉄道利用(山手線、東京モノレール、快速「エアポート」)が3時間半〜4時間程度、リムジンバス利用が4時間半〜5時間程度になるとみられます。乗り換え回数は、鉄道なら3回、リムジンバスは2回です。
これに対して鉄道の場合、東京〜新函館北斗間の東北・北海道新幹線「はやぶさ」と新函館北斗〜札幌間の在来線特急「スーパー北斗」の乗り継ぎで7時間44分〜8時間32分。乗り換えは飛行機を使う場合より少なく、新函館北斗駅での1回だけです。
価格で比べてみると…?
フェリーは現在、東京と北海道を直接結ぶ航路はありませんが、茨城県大洗町の大洗港と北海道苫小牧市の苫小牧西港を結ぶ商船三井フェリーが運航されています。所要時間は、夕方出港便が17時間45分(大洗発)か19時間15分(苫小牧発)、深夜出港便が18時間。いずれも船内で一夜を過ごすことになります。

東京〜札幌間で「はやぶさ」「スーパー北斗」を使うと、乗り換えが1回だけで済む。写真は「スーパー北斗」(画像:photolibrary)。
港までは飛行機利用と同様、ほかの交通機関を使ってアクセスする必要があります。大洗発の夕方出航便で、東京駅から大洗港までは高速バスと路線バス(水戸駅で乗り換え)を利用、苫小牧西港から札幌駅までは高速バスを使うなら、全体の所要時間は23時間48分。乗り換え回数は3回です。
また試験運行ですが、東京駅と大洗港を結ぶ直通バスが2018年7月より走っています。これを使うと、乗り換えは1回減って2回に。東京駅から大洗港に向かう便は乗り継ぎに余裕のあるダイヤになっており、出航時刻(19時45分)の約3時間前には大洗港に到着しますが、17時半ごろには船内に入れます。
「所要時間」と並んで重要な要素である「価格」はどうでしょうか。
まず所定の運賃で比べると、飛行機はJAL(日本航空)とANA(全日空)の普通席が約4万円、AIRDOは3万3790円、スカイマークは2万8190円で、会社により大きく変わります。空港へのアクセスで使う交通機関の運賃は合計で2000円くらいです。
なお、LCC(格安航空便)は「所定の運賃」と呼べるものがありません。最も高い運賃タイプを「所定の運賃」とするなら、成田〜新千歳間はジェットスター、バニラエアともに2万円台。利用者が多い時期は3万円台です。
鉄道利用の「はやぶさ」「スーパー北斗」乗り継ぎは、普通車指定席(通常期)を使う場合で2万6820円。JALやANAより約1万5000円安く、スカイマークとほぼ同じ程度ということになります。
フェリーはシーズンごとに所定運賃が変わります。夕方出港便の一番安い客室「ツーリスト」の場合、2018年の9月は9050円で、10月1日から12月25日までは8740円。最も高い年末の12月28〜31日でも1万4910円です。港までのアクセスに要する追加費用は4000円くらいで、全体でも2万円を超えることはありません。
割引価格で比較すると、また変わってくる状況
割引価格で比較すると、状況は変わってきます。とくに飛行機の場合、早めに予約すると大幅に安くなる割引制度が充実。羽田〜新千歳間を1万円台、もしくはそれを切る価格で利用することもできます。

最近は成田空港と北海道の各都市を結ぶLCCも充実してきた(2017年10月、草町義和撮影)。
LCCの安い運賃タイプは日や便によって差が激しく、早めに予約すればするほど安くなるわけでもありません。ただ、払い戻しができないものや、持ち込める荷物の重さに制限のある運賃タイプは総じて安いといえます。成田〜新千歳間をジェットスターかバニラエアで移動する場合、払い戻し不可で荷物の重量に大きな制限がある運賃タイプなら、5000円未満で購入することも可能です。
鉄道利用の「はやぶさ」「スーパー北斗」乗り継ぎでは、東京〜札幌間の利用向けに設定された割引きっぷがなく、割引きっぷと所定運賃のきっぷを組み合わせるなどの工夫が必要です。たとえば、東京〜新函館北斗間はモバイルSuica限定の割引きっぷ「スーパーモバトク」、新函館北斗〜札幌間は通常の乗車券と特急券で利用する場合、合計額は所定の運賃、料金より約2500円安い2万4290円になります。
大洗〜苫小牧間の商船三井フェリーも、割引きっぷを各種発売しています。東京〜札幌間の割引きっぷ「パシフィック・ストーリー」の場合、発売額は「ツーリスト」客室の利用で9990円から1万6330円です。所定の運賃より高いですが、これには東京駅〜大洗港間の高速バスと路線バス、苫小牧西港〜札幌駅間の高速バスが含まれており、全体としては2500円くらい安くなります。
こうしてみると、所要時間は飛行機が最も短いですが、乗り換えの回数は鉄道、所定運賃はフェリーが有利です。割引価格に関しては飛行機、とくにLCCが有利ですが、利用する日や出発日までの残り日数などによって金額が大きく変わりますし、払い戻しができないといった制約もありますから、一概にはいえません。
ただ、これらの交通機関は、所要時間や乗り換え回数、価格以外にも、さまざまなポイントがあります。鉄道なら、たとえば函館で一泊して観光するなど、途中下車しながらの旅も楽しめます。フェリーは展望浴場やレストランなどのサービス施設が充実しており、海を眺めながらお湯につかったり、食事したりすることができます。どの交通機関を使うかは、こうした「特徴」も含めて検討すると、より旅が楽しくなるかもしれません。
【写真】北海道行きフェリーの展望浴場

大洗〜苫小牧間を結ぶフェリーには大きな船体を生かして展望浴場やレストランなどの各種サービス施設が船内に設けられている(2018年8月、恵 知仁撮影)。
