コンビニの「成人誌」規制で、売上が140%UPした不思議の国ニッポン

コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を徹底レポートする当シリーズ。前回の「コンビニのトイレ事情」に続いて今回取り上げるのは、雑誌棚の隅にひっそり置かれる「成人向け雑誌」の扱いについて。できるだけ目立たないようにしようという方針が、思いもかけない結果を招いたんだそうで……。
コンビニ「成人誌」にまつわるあれこれ
平成16年7月1日より、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が作成した「『成人誌』取扱いガイドライン」が開始されました。
これは、成人向け雑誌に「青いシール止め」を付け、立ち読みができなくなるようにするという、青少年の健全な育成に向けた取組みです。ガイドラインには6項目がありますが、わかりやすいのは下記の4項目でしょうか。
・「成人誌」のシール止めをされていない雑誌は販売しない。
・「成人誌」を陳列する際は、上下段の区分(仕切り)什器を導入し、前面に18歳未満の方への販売・閲覧禁止の表示板を取り付ける。
・「成人誌」をサンプルディスプレイに使用しない。
・未成年者(18歳未満者)への販売・閲覧防止に努め、年齢確認の徹底を図る。
これによりコンビニの雑誌コーナーでは、成人誌コーナーが明確に区分され、納品される雑誌には青いシールが留められてくるようになりました。
ガイドラインの施行前、コンビニ各店舗は戦々恐々の心境でした。立ち読みが減ることで、売上が下がるはずだと想定していたのです。成人誌は販売単価が高いため、お客様は事前チェック(立ち読み)をした後に、納得した物を購入していると、それまで考えられていたからです。
ところが、その心配は杞憂でした。成人誌の売上はなんと前年比140%以上で推移したのです。恐らくそれまで、立ち読みで納得していた方、事前チェックで納得できるものではなかったため購入を取りやめた方が、きっと多くおられたのでしょう。ガイドライン施行によって中身はわからなくなったことで、「思い切って買ってみよう!」という購買行動に変化したようです。
ただ、成人誌が立ち読みができなくなったことで、売上自体は大きく伸びるという嬉しい誤算となったものの、集客効果が見込まれる立ち読み客が減ってしまったのは困った問題でした。というのも、男性(成人)客はコンビニの主要客。それまでは、そんな主要客が雑誌売場で立ち読みをしていることで、類は友を呼ぶではないですが、目に見えない来店効果となっていたのです。
ただこの取り組み、女性客からは大いに好評でした。そのため結果的には、コンビニ業界にとって追い風となる取組みとなったのではないでしょうか。
ちなみに雑誌は一定の販売期限を終えると、取次会社に返品します。具体的には返品する商品を売場から引き下げて、段ボールに詰めて伝票を記入するのですが、この返品作業は深夜の時間帯に行うことが常。深夜勤務に従事する男性アルバイトが最も喜ぶ作業が、これら成人誌の返品でした。
また余談ですが、コンビニでの買い物の際に成人誌もレジに持っていくと、清算時に成人誌のみ他の商品とは別に“茶色のレジ袋”に袋詰めされた経験はありませんか。最近ではこの取り組みは減っていますが、10年ほど前まではこれがレジマニュアルに記載されていました。それがなくなってしまったのは、恐らくお客さんから「余計目立つじゃないか!」というクレームが多かったからでしょう。
文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp
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出典元:まぐまぐニュース!