OL八極拳!オフィスでの護身術から恋愛術まで、中国拳法を日常生活で使ってみた。
通勤電車や職場の中など、日常生活で暴力を振るわれるケースが近年増加している。厚生労働省などの調査(※1)でも、その傾向は数値としても明らかになりつつある。

そのような暴力から身を守る“オフィス護身術”として、素人でも使えそうな技を中国武術から紹介したい。
そしてさらに、拳法を仕事や恋愛にも使えないかも試してみた。

今回モデルになってもらったのは女優の長澤奈央さんだ。

参考にしたのは、アジアの巨匠ウォン・カーウァイが これまでのカンフー映画のイメージを根本から打ち砕く斬新な映像美で描いた本格アクション映画『グランド・マスター』だ。

この映画は5月31日(金) から日本全国で公開される。あのブルース・リーの唯一の師匠、伝説の武術家「イップ・マン」をトニー・レオンが演じた話題の映画だ。

中国武術「詠春拳」の達人であるイップ・マンの“知られざる”物語を描いたこの映画では、主人公のライバルとなるゴン・ルオメイ(チャン・ツィイー)が使う「八卦掌」など、様々なスタイルの中国武術が登場する。

特に日本で有名なのは、カミソリ(チャン・チェン)が使う「八極拳」だろう。上の写真のような強烈な肘打ちは、格闘ゲーム「バーチャファイター」にも登場して有名になった。


八極拳の特徴は「体当たり」だ。
通常の拳法が主に「拳」を用いるのに対し、八極拳では「肩」や「背中」などの体当たりを多用する。職場での暴力に対し、いくら身を守るためとはいえ「拳」で殴り返せばトラブルになる。相手から過剰防衛だと訴えられてもやっかいだ。
そこで八極拳の技術を活かし、相手を殴らず、さりげなくスマートに身を守る方法を試してみた。

まず「背中」の体当たりで、相手に反撃する。「鉄山靠」という技だ。

※左は通常の速度で表示し、右は技がわかりやすいようにスローモーションで表示しています。
※画像がアニメ表示されない場合は、画像をクリックしてみてください。


このように拳を使っていないので、たまたまカラダがぶつかっただけと主張できる。

次は「肩」の体当たりだ。

相手の手を払うと同時に金的を「手の甲」で打って、相手を前にのけぞらせる。
その瞬間に肩をぶつければ、相手を吹っ飛ばす事が出来る。
手を払ったらたまたま金的に当たり、たまたま肩がぶつかったと主張できる。

最後に「肘打ち」だ。八極拳では「頂肘」と呼ばれる。

映画『グランド・マスター』では、八極拳の「肘打ち」も写真のように美しく表現されている。ウォン・カーウァイ監督ならではの、それぞれの拳法の特徴を生かした映像美が楽しめる。

さて、オフィスでの「肘打ち」は、相手から技が見えないようにするのがコツだ。

相手の手を回すように払って、相手を前に引っ張り、相手の脇に肘打ちを行う。
相手の腕を使って視界を遮ることで、肘打を隠すのがポイントだ。


これにより、カラダがぶつかっただけと主張する事ができる。
あくまで自分の身を守る場合の技なので、悪用は厳禁だ。

このように相手の死角から攻撃する場合、八卦掌も使いやすい。
映画『グランド・マスター』ではチャン・ツィイーが演じる拳法だ。

八卦掌の特徴は「回転」だ。
相手の攻撃を、自分のカラダを回転してかわしつつ反撃する。
映画では、チャン・ツィイーが雪の中を華麗に回転しながら舞う姿が印象的だ。