スカイマークの「サービス・コンセプト」に賛否両論
航空会社のスカイマークが「サービスの簡略化などへの理解を求める内容の文書」を機内に備え付けたという。2012年5月31日付の共同通信が「スカイマークがサービス簡略化 機内での苦情受け付けず」という記事で報じている。話題になっている「サービス・コンセプト」という文書には、客商売とは思えないような記述がならぶ。内容を見てみよう。
まず、「お客様に対しては従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉遣いを当社客室乗務員に義務付けておりません」と「客室乗務員のメイクやヘアスタイルやネイルアート等に関しては『自由』にしております」。言葉遣いやメイク、ヘアスタイルなどに関しては、お客が不快になるようなものでなければ、特に問題ないと思う。しかし、こうして明言されると、引いてしまう読者も多いのでは。
「客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております」。これも、航空会社はサービスをひとつの売り物にしてなんぼ、という既成の概念をくつがえす強烈な記述である。そして、「機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運行遵守のため退出いただきます」という記述で、文書は締めくくられている。
一読して、小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』を思いだしてしまった。「サービス・コンセプト」という文書の冒頭に、「ごーまんかましてよかですか?」と書かれていたら、しっくりくるような内容の記述なので……。とはいえ、この文書は「安かろう、悪かろう」という商売の基本ルールに基づいて書かれているとも考えられる。値段が安いのだから、サービスには期待せず、多少の不備は我慢せよ、と。
商売の態度として、スカイマークのやり方は「あり」だと筆者は考える。「ウチのサービスはよくありませんが、その代わりに値段は安いですよ」と宣言しているのだから、それでいいと思う人は利用すればいいし、それがイヤなら利用しなければいい。航空会社の選択でもっとも重要なのは、サービスよりも、値段よりも、安全性である。一定の安全性さえ確保されているのなら、そこから先はお客が自由に選択すればいい。
ただし、「安かろう、悪かろう」と宣言するにしても、それを宣言する文書くらいは、もう少していねいな記述のものにしたほうがよかったのではありませんか、スカイマークさん。この内容では、傲慢だとか居丈高だと思われても仕方がない。まさか、サービスのクオリティが下がるということを、まずは「サービス・コンセプト」の作文技術で表現したということなのだろうか?
(谷川 茂)